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インディ娘ちゃんのノーテンキ学園冒険隊  作者: マックロウXK
第四章 異世界へGO!

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暴走トロッコの戦い

「わあーっ♪」


 晴海の瞳が光る。だが、それは尋常では無いほど危ない輝き。

 視線の先にはトロッコ。そう、例のアレである。


「いくら何でも、これはねーだろ……」


 鉱山の名残なのだろうか、その割にはレールは錆びていない。

 奥まで連なる、薄暗いランプに照らされて、古ぼけた木製のトロッコは重厚な存在感を示していた。

 すでに乗り込んでいる晴海。


「さあ、みんな行くよ!」

「早っ!」


 とても嬉しそうで、もうこれは何を言っても止められそうにない。


「しょうがねえ、行くか」


 男たちはトロッコの背中を押して、勢いをつける。

 ギイーッと、車輪の軋む音がして、ゆっくりと動き始めた。


「さあさあ、みんな乗った乗った!」


 晴海に促され、クラウドたちはトロッコの縁に手をかけて、一気に飛び乗る。

 5人を乗せたトロッコは、順調に発進した。

 ランプの明かりが、どんどん後ろに流れて行く。次第にトロッコのスピードが上がってきた。


「あはははっ! 楽しいなー! ねえ、クラウドくん、ドキドキしてこない? あたし、今すっごいドキドキしてるー!」


 上機嫌の晴海。それはもう、気分はインディ・ジョーンズなのだろう。

 だが。


「オレ、思うんだけどよ。隣にもレールがあるよな」


 今乗ってるレールとは他に、もう1本の線がある。


「それが、どうしたー?」

「という事はだ、他にまだトロッコがあるって事だよな……」


 クラウドが、嫌な予感を口にしていたその時、何の前触れも無く、そいつはやって来た。

 並走するもう1台のトロッコ。袴を着た乗組員達は、手に手に弓を持っている。


「敵だっ! 弓道部だーっ!」


 クラウドが叫ぶと同時に、敵は一斉に矢を放って来る。

 慌てて伏せる冒険隊。トロッコの壁にガツンガツンと矢がぶつかる音がする。


「カリスマ教の雇われ者でござろうか?」

「たぶん、そうね」

「どうする? ヤツら飛び道具だぜ?」


 こちらの飛び道具は、メガ正宗しか無い。

 だが、ここで使うと回収ができないので、使う訳にはいかない。

 晴海のパチンコは、数の内に入らないし……。


「あたしに、良ーい考えがあるよ」


 思考していたクラウドだが、この言葉に不穏な物を感じる。

 晴海は雷也にこっそり耳打ちをした。


「まずは、あたしが囮になるから、よろしくね」


 晴海はそう言うと、急に立ち上がる。

 弓道部の一斉掃射! 晴海は急いで床に伏せる。


「今よ、雷也くん投げて!」


 投げるって、何を?

 クラウドの疑問は、雷也の次の行動で回答を得る。

 雷也はクラウドの体を担ぎ上げると、弓道部が乗るトロッコに投げつけた。


「うわあああああっ!」


 宙を舞い、クラウドは敵のトロッコの中に転がり込む。

 クラウドはもちろん、敵もびっくり。怯んだ敵は弓をつがえるのも忘れる。

 その瞬間、クラウドは中華ナベを一閃!

 接近戦に弱い弓道部は、全員トロッコの外に放り出される。

 クラウドは、トロッコ同士が再接近するタイミングで、晴海たちが乗っている方に飛び移った。


「こらーっ!」

「クラウドくん、大丈夫?」

「な、わけねーだろ!」


 憤慨するクラウド。当然の帰結ではあるが。


「前もって言っとけよ、死ぬかと思ったじゃねーか!」

「でも、しっかり対応してたじゃない。敵を欺くには味方からって言うし、実際に敵も面食らってたし……ねえ」

「ねえ。じゃねーよ、無茶苦茶すぎんぞ!」

「あははははっ」


 そりゃ、結果的にうまく行ったけれども。

 悪びれずに笑う晴海に、こいつに付いていって本当に大丈夫かなと思うクラウド。

 2本のレールが離れて、トロッコは明かりの無いトンネルに入る。

 再びトンネルから出る。誰も乗ってないはずのトロッコに、新たに弓を持った男たちが!


「弓道部、無限増殖っ!?」


 ヒゲの赤いおじさんが、階段で甲羅を踏みまくる姿を想像したが、弓道部とはユニフォームが違う。


「アーチェリー部!」


 またしても、矢を射られるクラウドたち。


「また、さっきの方法でやっちゃおうか」

「もう、オレはやんねーぞ」


 クラウドは立ち上がると、矢の嵐が迫る。

 持ち前の反射神経をフルに使い、メガ正宗で打ち落とす。

 レールが近寄って来る。それに伴いトロッコ同士の距離も狭まって来る。


「ブラザーズ、雷也、蹴っ飛ばせ!」


 クラウドの合図を受け、3人は敵のトロッコの上っ面を蹴る。相手は斜めに傾いで、バランスを崩す。

 すかさず、クラウドもとどめのキックを入れ、ガランガランと敵のトロッコは蹴り倒された。


「クラウドくんたち、ワイルドー。カッコいい!」


 晴海に褒められ、得意げのクラウド。さっきまでふてくされていた事は忘却の彼方である。単純な男である。

 だが、調子に乗る間もなく。


「クラウドくん、後ろーっ!!」


 晴海の叫びに目を向けると、背後から別のトロッコが近付いてくる。


「向こうの方が足が速いよ!」


 グングン迫って来る敵のトロッコ。乗っている奴らは、白いランニングシャツ。


「今度は、体操部みたいだなー」

「次から次へと、めんどくせーな……」

「よし、拙者が相手になるでござる」


 拳を打ち合わせて、気合を入れていた雷也の耳に、晴海の「伏せて!」と言う声は聞こえなかった。


 ドゴッ!


 天井のでっばりに、後頭部をぶつけてぶっ倒れる雷也。


「ああっ!? 雷也くん、しっかりして!」

「くそっ、こんな時に!」


 ガツンガツンと、とうとう敵がトロッコのお尻にぶつかって来た。

 震動で倒れる晴海。体操部がこっちに乗り移ろうとしている。


「ブラザーズ、応戦だ! こっちに来させるな!」


 敵に殴りかかるクラウド。

 だが、さすがは体操部。ひらりひらりと軽い動きでかわされる。

 とは言え、敵も飛び移る事ができず、膠着状態が続く。

 そんな中、雷也の意識が回復する。


「いてて、でござる」

「あ、雷也くんが気が付いた」

「まだ戦っているでござるな。今、行くでござる」

「ちょっと、待って。あれを見て」


 前方やや左、晴海が指さす所にレールを切り替えるレバーがある。


「雷也、気が付いたんだろ! 早く、こっちに手を貸せ……?」


 クラウドが後ろ目で見ると、雷也はトロッコの前面の縁に立っている。


「タイミングが難しいけど、お願いね」


 切り替えレバーが、眼前まで迫って来た。


「今よ!」


 雷也はトロッコを飛び降り、慣性の法則で加速をつけて、切り替えレバーに向かってダッシュ。

 レバーを急いで倒し、レールの切り換えが行われる。

 クラウドたちのトロッコはすでに直進路線に入っており、少し遅れた敵方は別の路線に流れて行った。


 作戦成功!


 雷也は、弾丸のように横を走り過ぎて行く自分たちのトロッコに飛びつき、かろうじてヘリに手をかける。

 腕力で無理矢理、体をトロッコの中に押し込んだ。


「ふう、間に合ったでござる」

「雷也くん、お疲れさま」

「やったな、雷也」

「こういう仕事は、拙者にしかできないでござるからなあ」


 ちょっと鼻高々の雷也、自称忍者の面目躍如だ。

 うわーと、遠くで悲鳴が聞こえる。


「あら、向こうは行き止まりに突っ込んじゃったみたいね」


 トロッコは、さらにスピードを上げて突き進んで行く。


「さあ、敵もいなくなったし、そろそろブレーキをかけましょうか」

「ブレーキ、ブレーキ……。付いてないぞ、これ」

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