表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
インディ娘ちゃんのノーテンキ学園冒険隊  作者: マックロウXK
第二章 上沢高校を巡る陰謀

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/93

クラウドとインディ娘

「ぐおっ!」


 クラウドは、その一瞬のひるみを見逃さない。

 背中のリュックから、便所掃除のカッポンってするやつを取り出し、ヨガ男の顔面にペタンと張り付ける!


「む、ぐぐーーーっ!」


 唸りながら引きはがそうとするが、三雲雑貨店特製の用品はヤワではない。

 苦しさのあまりに、もがき続けるヨガ男。

 次第にその動きも鈍り、そのまま崩れ落ちて、あお向けに倒れた。


 戦場に静寂が訪れる。

 クラウドはヨガ男の顔から、カッポンをペリッとはがす。

 実はコツさえつかめば、はがすのに力は要らないのであった。


「どう? もう起きてこない?」

「うん、白目向いてるから、しばらくは動かないと思うよ」


 敵の戦闘不能を確認して、勝利を実感するクラウドたち。


『やったあーーーーーっ!』


 右手同士をパチンと叩き合わせて、思いきり喜び合う2人。


「さっきはどうやったの? 何か光ったみたいだったけど」

「じゃーん。これよ」


 晴海の手の上に現れたのは、カメラのフラッシュ。


「クラブ棟に行った時に持って来たの」

「ああ。だから、あの時……」


 晴海が写真部で、フラッシュの使い方を聞いて来たのを思い出す。


「こんなタイミングで使うとは思わなかったけどね」

「オレもあんな土壇場でコイツを使うなんて、我ながらよく思いついたな」


 クラウドは、手にしているカッポンを見つめる。


「あたしたち、意気が合うかもって言ったでしょ」

「なるほど。そうかもな」



 *



 クラウドと晴海は情報を聞き出すべく、ヨガ男を詰問する。

 縄抜けをされてはかなわないので、ロープを縦横にぐるぐる巻きにして、ロースハムの様にしてやった。


「さあ、あんた達、考古研……いや、『カリスマ教』の事を喋ってもらうわよ」

「ほぉ……。すでに、考古研とカリスマ教の繋がりを知っていたか」

「伊達に冒険家をやってる訳じゃないんでね」


 この時点で、事件にカリスマ教が絡んでいるかも知れない、という事しか分かっていなかったのに、カマをかけた一言で、カリスマ教の存在と、考古研がカリスマ教の刺客である事が確実になった。

 晴海は意外と誘導尋間が上手い。


「お主ら、カリスマ教の目的は何だと思う?」

「どうせ、邪教集団の考える事と言ったら、信者を増やす事と金儲けくらいなもんでしょ。上沢高校を征服して、カリスマ教の巣窟を作るとかかな?」 


 ヨガ男の逆質問に、晴海は訳なくさらりと答えたが、男は大地を振るわせる様に笑う。


「おい! お前、自分の立場分かってんのか? 言われた事に答えろ!」

「そう急かすな。ワシも武人の端くれ、戦いに敗れた身だからな。話せる事は話してやる」


 ヨガ男は大きく息をつき。


「カリスマ教の目的は、上沢高校の征服ではない。上沢高校の消滅だ」


『なあにぃーーーっ!!』


 思わぬ答えに、クラウドと晴海は絶叫する。


「消滅って、上沢高校を潰すって事?」

「一体、何の為に?」


 2人は、ヨガ男の答えを待つ。


「それは教えられない。それを教える事は雇い主を裏切る事になる」

「じゃあ、質問を変えるよ。考古研の、いやカリスマ教のアジトはどこにあるの?」

「それも答えられない」

「また、雇い主を裏切る事になるってか?」

「それもあるが、お主らの為でもある」


 ヨガ男の意外なセリフに、2人は目を点にする。


「お主らも目的があって、ワシらと戦っているのだろう? 与えられた答えではそれ以上の進歩は無い。人間は苦しむ事によってしか、悟りを開く事は出来ないという事だ」

「つまり、自分らで探せって事か? 学校が無くなる瀬戸際かもしれないってのに?」

「まあ、言ってる事は分かんなくはないよ。これ以上この人に聞いても、得る物は無さそうね」


 言いながら、晴海はヨガ男を縛っていたロープを解き始める。


「おいおい、いいのか?」

「いいじゃない。かかってきたら、またやっつけちゃえばいいよ」

「ワシを逃がすつもりか? 後悔するぞ」

「あたしたちはもう行くから、このままにしておくのもあんまりだしね。でも、今度敵として会った時は容赦しないよ」


 バキューンと、指でピストルの形を作り、撃つふりをする。

 ヨガ男は何か考え込んでいた様子だったが、最敬礼をしてその場から立ち去った。


「案外、気がいいんだな」

「そうよ、見直した?」

「まあな」

「えヘヘっ」


 晴海は上目使いで、クラウドの顔をのぞき込む。


「……どうしたの、夏山さん」

「そうじゃないでしょ。あたしを呼ぶ時はインディ()って呼んでよ」

「えっ……。それはちょっと、恥ずかしいな」

「えー、さっき助けてくれた時は、呼んでくれたじゃない。ねー、いいでしょー」


 あの時、夢中でインディコと叫んでしまった事は覚えている。

 とっさだったので、ぽろっと口から出てしまったのだが。


「ねーねー、ねーねー、お願い、おねがいー!」


 あんまり、晴海にせがまれるのでクラウドはついに観念する。


「分かったよ、インディコ。……これでいいだろ?」

「わーい、やっとあだ名で呼んでもらっちゃった♪」


 言いながら、晴海はクラウドに抱きつく。


「わー、また抱きつく! やめてくれよ!」

「どうして? クラウドくんって、女の人に抱きつかれるのが好きじゃなかったの?」

「また、それかっ! もう、ドキドキするから勘弁してくれ!」

「へー。クラウドくんは、あたしでドキドキするんだー」


 ふーん、そっかー、と妙に満足げな晴海。

 よく分からないけど、ようやく晴海の機嫌を直すことができて、クラウドはホッとする。


「なーに、ラブのコメしてるんだよー」


 2人の世界に入っていたクラウドと晴海は、ブラザーズの存在に気付き、パッと離れる。


「ブラザーズ、今まで何やってたんだよ!」

『便所っ!』


 ガッツポーズで力強く答えるブラザーズに、パコンパコーンとメガ正宗でツッコむ。


「痛てえな、何すんだー!」

「いつまでかかってんだよ、オレらがどれだけ苦労したと……」

「いてててて、ひどい目にあったでござる」


 そこへ、目を覚ました雷也もやってくる。


「あれ? あの軟体男はどうしたでござる?」

「もう、あたしたちがやっつけちゃったよ」

「えっ! 本当でござるか? 一体、どうやって倒したのでござる?」


 雷也の問いに、クラウドとインディ娘は顔を見合わせると、こう答えた。


「オレらのチームワークだよな」

「ねっ♪」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただきありがとうございます!
ブックマーク評価感想
レビューをいただけると狂喜乱舞します。

小説家になろう 勝手にランキング

『水兵チョップ海を割る ~西の島国の英雄譚~』
i410077
海洋バトルアクションファンタジー(完結済)です!

『パンダ娘は白黒つけない』
i457072
日常系学園ゆるふわラブコメディです!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ