近づく恐怖と真実
1
深夜2時、救急車の音が鳴り響く。あとを追うようにパトカーのサイレンも鳴る。静哉は夜のこういうことが嫌いだった。最近、よく鳴る気がする。多分気のせいだろうと、思いながらも不安をいだいていた。
ピーポーピーポーピーポー,,,とっ、止まった,,,10分ほど止まっただろうか。あれ、また音が鳴り響く。きっとここの病院では治療できないのだろう。すぐ近くには静哉が掛かり付けの病院があった。評判は良いのだが―。きっと余程悪い病気だったのだろう。災難な人だな。
2
あさが来た。新聞を広げる。たまたま見たページには、昨日、救急車が鳴っていた時間に死んだ人の写真と名前が掲載されていた。あ、死んじゃったんだ。本当に災難な人だな,,,
お悔やみ申し上げます,,,
今日の深夜にも、また次の日にもサイレンは響く。そして皆死んでいく,,,
3
疑問になることがあった。皆救急車で運ばれているのは、同じアパートの住民だった。しかも、死んでいく人ははだんだん静哉が住んでる部屋に近づいていった。次第に、何かがとりついているように体が重くなっていく気がした。うん、気のせい気のせい,,,そう、信じるしかないから―。
「幽霊とか、信じないんだ。いるわけない。」
静哉は友人にいつもそう話していた。
次第に、相談を持ちかけるようになった。
「なぁ、最近同じアパートの人が死んでいくんだけど。」
「病気とかだろう?」
その言葉に静哉は、
「いや、新聞を見ると、急死って人がほとんどなんだ。しかも、皆若いんだ,,,」
「何なんだろうな,,,お前も気お付けたほうがいいぞ。」
静哉はうつむいて言葉が出なかった。
4
ついに隣の住民が死んだ。もう終わりだ,,,
次の日の深夜、静哉は布団の中に隠れた。体が震える。
「こ、怖い。なにをしたって言うんだ,,,」
しばらくすると、ドアをノックする音が聞こえた。静哉は開けなかった。声も聞こえてきて、
「ねぇ、いるんでしょ。知ってるんだからね。」
なにを知ってるんだ。何もしてない,,,
「ねぇ、ねぇ、早く出てきてあっちで遊ぼうよ。」
や、やだ,,,早く,,,朝になって,,,
「私から、そっちに行くわよ?さぁ、さぁ。」
早く、早くどこかに行って,,,
「,,,」
そ、そうだ、警察呼ぼう,,,電話電話,,,
「警察は止めて。私キライなの。」
キライなら呼べばいい。
「よし,,,」
「聞いてるの?」
電話が繋がった。
「僕の部屋のドアの前に変なおんなの子が,,,」
住所を言って切った。
「止めてって言ったのに。」
その言葉を最後に、ノックの音と声は消えた。
その後、警察と一緒に外を見ると、血痕が残されていた。
5
朝早く、アパートの大家に話をした。しばらくすると、口を開いた。
「このアパートが建つ10年前くらいに、豪邸が建っていたんだよ。そこには、当時五歳くらいのおんなの子がいてね。その子は家を気に入っていたんだ。しかし、父の会社が倒産してしまってね、家を壊しての土地を売ることにしたんだ。しかし、おんなの子は反対したんだ。この家を壊さないでって。父と母は困り果てていたようだよ。」
「ふうん。それで?」
「そ、そのあとは知らないんだ。ごめんよ。」
「なんかすいません。」
話していると、急に知らない女性が現れた。
「その後の話。ついに家を壊す日が来たの。父と母とおんなの子は、家の最期を見届けようと、外に居たの。父は、今までありがとう。母も、ありがとう、と。ついに解体が始まったの。」
「へぇぇ,,,」