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悪意の蹂躙

 高レベルの二人がパーティーに入っていることも有り、ヒカリとペトラは滞りなくイベントをクリアし、LVも12まで上がった。


 4人が洞窟を抜けようとした時、事件は起こった。


 洞窟の出口手前を塞ぐ4人組が現れたのだ。

ギルド「ファルコンアロー」に属するパーティらしい。


 ガストンLV60 聖職者

 ギーガLV35 魔術師

 グゼルLV35 軽戦士

 ゲジゲジLV40 重戦士


「何のつもりだ?」

 セージの問いに、ニヤニヤと嫌らしい笑みを貼り付けたリーダーの男ガストンは、こう答えた。


「バトルしようぜ?」


 ヒカリ達は耳を疑った。


「お前ら、街の噂は聞いてないのか?死者が出るかもしれないんだ。フィールド対戦なんて冗談はよせ。」

「関係ないっすね。この戦力差で死ぬ訳が無いじゃん。」

「はぁ!? お前らは良くてもこっちは良くないんだよ!!もしもの事があったらどうするつもりだよ!?」


 ガストンは肩をすくめて言った。

「仕方ねぇな……。じゃあ、手荷物全部、我等がギルドの栄光の架け橋の為、差し出して貰おうか。そうしたらバトルは控えてやる。」

「よせ、荷物を渡すな!」

 仕方なくその提案に乗ろうとしたうぉーりー達をセージは鋭く制止した。


 セージは冷や汗を浮かべ、身構えながらうぉーりーに訴えた。

「こいつらは少なくとも俺達をここから出す気は無い。プレイヤーキルの噂が広まれば獲物が減っちまうからな。見張りを立てて俺達を軟禁するつもりだ。」


(チッ!目敏い奴がいるな……。)

 ガストンは舌打ちした。


 うぉーりーはセージの言葉に迷ったものの、矢張り荷物を渡すという結論を出した。

「バトルで殺られるよりは軟禁の方がマシだ。セージも従ってくれ。」


「うぉーりー、お前、こいつら信用出来ると思うのか!?」

「ヒカリとペトラを巻き添えには出来ないだろ?」


 不安そうにこちらを窺うヒカリとペトラを見て、セージは苦悩に顔を歪めるも、大人しく所持品を全て差し出した。

 ガストンは蛇の様な目で4人を睨め付ける。


「これで全部か?特にそこの初心者、ギフトボックスのアイテムが足りないじゃないか。」

「経験値アップ薬か。早速使っちまったよ。」

 ガストン達の獲物は初心者に配られるギフトアイテムだったらしい。


 ガストンは首尾を確認するとシステムを操作した。


 ――辺り一帯が薄闇に染まる――


 ファルコンアローのパーティとうぉーりー達パーティのバトルが開始された。


 軽戦士と重戦士の猛攻が始まる。


 うぉーりーとセージはLVの低い二人を庇う為、前に出て攻撃を凌いだ。

スキルを使われない単調な物理攻撃だが、APを削られ続け、うぉーりーとセージはまともな反撃が出来ない。



「どういう事です!! 話が違うじゃないですか!!」

「私達、ホントにもう何も持っていません!こんなバトル、意味ないじゃないですか!!」


 ヒカリとペトラは叫ぶ。


 ファルコンアローのメンバーは高らかに哄笑を上げる。

「お前らの方こそ何にもわかっちゃいない!!」


「せっかくの夢みたいな世界だぜ?愉しまない方がバカじゃないか。」

「それだけなの!? たったそれだけの理由で人を殺すの!?」


 ガストンは答えた。

「殺っちゃったとしてさ、俺らを犯罪者として裁けんの?」


 おぞましき怪物の如き本性。ヒカリとペトラは衝撃の余り、言葉を失った。


 さらに後方から強力な魔術スキルの支援が入る。

「三人共、早く、逃げろ……!」


 LVが高くも、防御面が脆く装備まで奪われたうぉーりーは攻撃に耐えきれず、力無くその場に倒れ伏した。

「うぉーりー!!」


 うぉーりーのHPは「0」になった。彼頭上に赤の大文字で「20」とカウントが刻まれる。

(まだだ、まだ間に合う)


『タクティス・アドヴァンテージ』のスキルの中には、味方を復活させるスキルとアイテムがある。頭上に浮き出る赤文字のカウントが「0」を切る迄は復帰できる可能性があるのだ。


「頼む、どうか復活のスキルをかけてくれ!!」

 セージはプライドと見栄を捨て、屈辱に身を焼かれそうになりながらも深く土下座をしてガストン達に懇願した。

 ヒカリとペトラも、目に涙を浮かべて追従した。


 そんなセージ達を、ガストン達は優越感に浸りながら眺める。


「けど、惜しいな。そこは「かけて下さい」だろ?」

「「哀れな私どもにお慈悲を下さい」位言って欲しいな。」

「上っ面のおべっかなんかいいからさ、服脱いでサービスしてよ?」


 4人は爆笑していて一向に動く気配が無い。


 ――カウントが一桁を切った――


 セージは爆発した。

「いいからさっさとスキルをかけろ!! 復活はゲージが大量にいるんだよ!!早くしないと間に合わないんだ!!」

「あ?」

 口汚く罵るセージに、4人は真顔に戻って彼を睨みつける。


 ――カウントが3を切った――


 倒れたままのウォーリーが、弱弱しくも言葉を紡ぐ。

「悪いな……セージ……。後は任せたわ。俺は、俺の闘いを……」


 セージは唖然としてうぉーりーに顔を向ける。

(うぉーりー、何を言っているんだ……?)

 うぉーりーを問い質そうと口を開く。


 ――カウントが「0」になった――


 うぉーりーの身体にノイズが走り、分解さる。


 うぉーりー消滅した。


「……っ!!」

 セージはもぬけの殻になった。ヒカリの叫びも、敵の哄笑も、今のセージの意識には上らない。


「ん?――お、おい……?」


 長い様で短い一瞬の間

 ガストン達の焦る声がする。


 伏したままのセージと彼らの間に、幽鬼の如く立ち塞がるペトラの姿があった。

 ペトラは、全員が動揺している隙を突き、冴えた声音でスキルを放つ。


「フォース・フィール・スパイダーネット!!」


 敵全体にかかる足止めのスキルだ。使用者に近いほど成功率が上昇する。

 重戦士と聖職者の足元に蜘蛛の巣状の強靭な糸が絡みついた。


「逃げましょう!!」

 ペトラはセージの腕を引っ張り上げると、洞窟の奥へ駈け出した。

 追いすがろうとする敵の軽戦士に、今度はヒカリがスキルを仕掛ける。


「ファースト・エクス・バウンドショット!!」


 軽戦士の体が吹き飛び、幸運な事に敵の魔術師に衝突した。スキルを放とうとしていた魔術師は怯んでしまう。


 ヒカリ・セージ・ペトラは全速力で洞窟の奥へ駆け抜けた。


 視界が僅かに明るくなる。

 3人は逃走に成功し、バトルフィールドが解消されたのだ。


うぉーりーに意味深な発言をさせましたが

世界設定の謎については適当ににぼかす予定なんで期待しないでください

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