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交錯

  (もう2日位過ぎたというのに…)

 ひかりとペトラが行きがかりのきっかけから行動を共にしてずいぶんと時間が過ぎた。


 ペトラ、彼女は自身の境遇もヒカリと同じなのだとヒカリに語った。


 家でオンラインゲームをしていたはずなのに、突然、そのゲームとそっくりな世界に自分の操作していたアバターの姿で迷い込んだのだという。



 二人は街を歩いて回り、街の中で二人で出来そうなことを様々試した。そんなこんなで肝心の現実に戻る見通しはつかないものの、この世界については多少は理解し始めていた。


 ――この世界は、要は高度な技術で造られたVRMMOの様な世界だ。


 ここでは食欲、排泄、新陳代謝、睡眠等の生理現象に悩まされる事は無く、当面の生活に追われる問題は無い。


 ファンタジー世界の中で現実世界と同じ様に体を動かせることが基本だが、いくらか不可視の力で制限される動きがある。例えば殴り合いだ。周囲を見た中では激しく口論している者もいたが、いざ暴力に訴えようとすると体が動かなくなってしまう様であった。


 そして精神を集中すると虚空に『タクティス・アドヴァンテージ』に似た形式の情報画面が浮かび上がり、選択し決定する意思を持つ事でゲームシステム上で可能な行動がこの世界に反映される。

  メール送受信、チャット、システムを介したアイテム取引、パーティーやギルドの合流、チュートリアル情報取得等の行動である。

(ちなみに「不具合報告」も出来たので、ひかりとペトラは全力で現状と苦情を書き殴ったメールを送信しまくった。)


 この世界に存在する人々は、ひかりと同じ迷い込んだゲームプレイヤーと、『タクティス・アドヴァンテージ』でNPCだったと思われる人間だ。


 NPCらしき人間は実際に命と意思を持った存在であるかは疑わしい。二人が会った串焼き露店の親父などは、商品の串焼きを全て取り上げ放り投げても虚空から商品を補充して何事も無く商売を続ける、耳と鼻と口に長ネギを差し込んでもにこやかに笑い続けるという奇行ぶりであった。(実行犯はペトラである)


 そうして、二人は休憩をはさんだ後、どこかのギルドに加入しようと話し合った。


 ギルドとは、オンラインゲームによくあるシステムで、プレイヤー同士集っての行動を円滑にするのに便利なシステムだ。このゲーム内ではギルドチャットの使用、ギルド倉庫の利用などの恩恵が受けられる。


 囚われたプレイヤー達はこの緊急事態に協力して対策をしようと集まり始めている様子なので、ひかり達もその輪に合流しようと考えたのだ。



 ひかり達は始めは大所帯ギルドに加入しようと考えていたが、目当てのギルドに加入出来なかった。人数が多い分混乱の収拾の目途がつかず、見るからに初心者な二人の面倒までは見れないと断られた為だ。


 が、そんな二人の様子を見て声をかけ、ギルドに誘ってくれる二人組が現れた。



「俺は『うぉーりー』、『三丁目』のギルドマスターやってまーす。んで、こっちのはセージね。」


 軽い口調で話しかけたのは金髪にビン底メガネの青年うぉーりー。LV42の魔術師だ。


「ああ、まあ、よろしく。」

 もう一人は青い跳ねた長髪を適当に括った青年風のアバター。LV45の軽戦士だ。不機嫌なせいか元のキャラクターより幾分目つきがきつい。


「ところで、そちらさんは何て呼んだらいいのかな…?」


 うぉーりーはひかりの頭上を見て首をかしげる。彼女の名前欄が奇妙な表記になっているからだ。


 __ LV1 軽戦士 HP:90 MP:30


「あ、ヒカリって呼んでください。実は私、キャラクター選択画面でこの世界に来ちゃったんで、たぶんそのせいです。本当は商人になりたかったのに……」

「何て絶妙なタイミングで……ツイてないねぇー。っていうか、ひょっとして中身女の子?」


 泣き出しそうな赤髪の若者の情けない様子にうぉーりーは眉を下げた。ヒカリの今のアバターは一番最初に画面に出てくる男の姿なので、雰囲気とのギャップが酷いのだ。

 ペトラとセージも苦笑いでヒカリに同情した。


「でさ、俺達ちょうど外行って腕試ししてくるとこなんだ。二人もパーティ入っちゃってよ。4人だから丁度いいな。」


 この世界のシステムでは4人までパーティーを組める仕様になっている。


「えっ……でも、ギルドの人達に挨拶しておきたいんですけど……」

 腕を回してウォームアップを始めるうぉーりーをヒカリは咎める。


 うぉーりーとセージはかぶりを振って答えた。

「昨日は顔出したけどさ、うちのギルドで巻き込まれたのは俺達の他は3人だけなんだ。」

「鬼弁慶さんとグリンクレヨンは掛け持ちしてる他ギルドに顔を出すって言ってたな。buliteliも早速野良パーティー組んで出てっちまったし、メールが送れない現状で集合は無理だ。」


 ――一日前、ひと騒動が起こっていた。


 街の各地に設置された銅像が突如大音声でしゃべり始めたのだ。が、話の内容がおかしいので訝しんだ所、銅像は全体チャットに書かれた内容を音声で伝えている事が判明した。

 面白がったプレイヤー達が悪乗りをして次々と全体チャットに書き込むものの、その騒がしさにぶち切れた一人が王城庭の銅像を蹴り上げ、銅像を壊してしまった。

 すると、なぜかチャット機能とメール機能が一切動かなくなってしまったのだ。


「じゃあ、他のギルドと合流しませんか?」

 ヒカリの提案にうぉーりーが疑問の形で答える。

「どこのギルドに?」

「ええと……一番強い人のギルド、とか……」

「最前線組なら『ファルコンアロー』か?けど、あそこは人望無いだろ?」


 最前線組ギルドは強さを求める余り形振り構わない傾向にあり、他プレイヤーとの摩擦を起こしやすい。特に「ファルコンアロー」に所属するメンバーはプレイヤーを襲ってアイテムを強奪する『プレイヤーキル』行為を行う者がいて快く思わない者が多かった。


「人望や知名度なら『蒼の傭兵隊』や『招き猫商店会』、動画投稿者や攻略サイト運営者なんて線もあるかもな……。あの人達がどこ所属かは知らないが。」


『蒼の傭兵隊』は初心者育成や護衛を引き受ける面倒見の良いギルド、『招き猫商店会』は販売流通の円滑化に勤しむ珍しいタイプのギルドで、どちらも地道で割の合わないプレイスタイルであるが、その分信頼を得やすくはあるだろう。


「どこが主導するのかは当分揉めて決まらないだろう。落ち着いてから合流した方が良いと思うぞ。」

 セージはそう締めくくった。


「それじゃあ仕方ないですね。ヒカリさん、外に行ってみましょう?」

 うきうきとした様子でペトラはヒカリを急かした。彼女はアバターは大人しそうでも中身はアグレシップなタイプらしい。

 ヒカリも仕方なく承諾した。



異世界なんて書くもんじゃないね・・設定でどんだけ文字数使うんだろ・・本題に入れない・・

しかもまだバトル設定が残ってるんですよぅ


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