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僕の小学校の裏には山があって、そこに入る一本道は立ち入り禁止になっている。
何でも昔、その山で小学生の女の子が行方不明になったそうで、危ないから、と地元の人が立ち入り禁止にしたらしい。
らしい、というのはそれはもうお母さんやおばあちゃんが子どものころからずっと立ち入り禁止にされているもんだから、本当なのかどうか確かめようがないからだった。
僕は、古ぼけてもう字が読めなくなってしまった立ち入り禁止と書いてあったであろう看板と、長い間雨風にさらされて錆びてぼろぼろになったチェーンを横目に、一歩足を踏み入れた。一瞬、行方不明の女の子の話が頭をよぎったけれど、今はそんなことを気にしている場合ではなかった。頭に浮かぶのは最悪の結果ばかりで、僕はとても焦っていたし、不安だった。
家に一人でいても、考えがぐちゃぐちゃになってしまっていても立ってもいられなくなって、僕は家を飛び出したのだ。
僕の前で給食を食べている、イケダさんの声だけが頭で繰り返し、繰り返し再生されながら。