03 その笑顔に俺は癒される
その日からたまに心愛ちゃんがここに来るようになった。
それと比例するように心愛ちゃんが来る日は大人しく家にいるようになってきていた。
日に日に心愛ちゃんのおかげか某の夜遊びが減っていた。
今日も竹箒を持って掃きに行くと
一人で遊んでいる心愛ちゃんがいた。
「心愛ちゃん、おはよー」
「お兄ちゃん!おはよー!」
今日も元気に挨拶を返してくれる心愛ちゃん
「今日もそこで大人しく遊んでてね?」
「うん!お兄ちゃんは仕事頑張ってね!」
「あぁー」
ほぼ毎日見ることが出来る心愛ちゃんのその笑顔に俺は癒された。
その笑顔に俺の心は少しずつ浄化されていっている。
竹箒で寺の周りを掃いた後は
小さい頃耐えられなかったお経、写経や座禅をする日常を
この寺を無理やり継がされた頃から続けていた。
心愛ちゃんと出会ってからそれらは苦ではなくなった。
某は一日の仕事が終わると心愛ちゃんがまだ寺の周りで遊んでいないかを確認しに外に出た。
外に出ると案の定まだ一人で遊んでいる心愛ちゃんがいたのだった。
「こーこあちゃん!」
「あ、お兄ちゃん!もう終わったの?」
「あぁー終わったよ」
「おつかれさま!」
某の疲れは心愛ちゃんの笑顔で消えていくのであった。
「心愛ちゃん、もう遅いから今日は帰ろっか」
「あ、うん!」
「はい」
某は左手を差し出すとその左手に心愛は右手を添えた。
最初の頃はなかなか不慣れで2人の間に少しの壁があったものの
今は心愛ちゃんを送って帰る時には手をつないぐまでに2人の仲は縮でいる。