第一章 落ちる太陽
初めて小説を書きます。読んだあとの誹謗中傷は受け付けませんので、大丈夫な方のみ読み進めてください。今後の展開でR18要素もありますが、読まなくても話が合うように作ります。
宜しくお願いします!
太陽族は負けない。
それは誰もが疑わない常識だった。
あの日までは。
太陽の魔力は強い。
燃えるような魔力は戦場を焼き、敵を押し返す。
王族の血はその象徴だった。
そしてその頂点にいたのが――旭。
彼女は第1王女であり、太陽族随一の魔法使いだった。
戦場では彼女の周囲だけ光が濃い。
その背中を、梓はいつも見ていた。
「遅いわよ、あんた」
振り返る旭の顔は険しい。
「戦場でぼんやりして死んだらどうするの。あんたには別の役割があるでしょう。」
「……はい」
梓は頷く。
同じ王族の血でも、力はまるで違う。
旭の魔力は太陽そのもの。
梓の魔力はかすかな灯火。
「コレだから私生児は…」
と、王宮では昔から言われていた。
梓は外交の道具としか周りから思われていない。
だから教育は受けている。
礼儀も、政治も、そして、夜の作法も。
拷問にも耐えられるように訓練された。
だが戦う力はない。
それでも梓は戦場にいた。
王族は勝利の象徴だから。
そして何より、旭が連れてきたから。
「置いていったら、あんた何するかわからないんだもの」
旭はそう言って笑った。
その笑顔は、いつも自信に満ちていた。
太陽族が負けるはずがないと、信じている笑顔。
梓もそう思っていた。
――見違えた姿の星族が現れるまでは。
戦場は昼なのに暗かった。
空に星の魔力が満ちている。
星族は昔、弱かった。
光の魔法は繊細で、戦場には向かないと言われていた。
だが今は違う。
彼らはそれを極限まで研ぎ澄ませていた。
一点に集めた光。
収束された熱。
それはもはや魔法というより――
兵器だった。
旭が前に出る。
「雑魚は私が片付けるわ」
「お姉様、前に出過ぎると危険です!敵は直ぐ側におります!」
「あんたに姉などと呼ばれたくないわ。それに、私は最強なんだから口出ししないでくれる?」
そう言いながら、旭の魔力が弾ける。
爆炎が走り、敵兵が吹き飛ぶ。
圧倒的だった。
やはり太陽族は強い。
そう誰もが思った。
その瞬間。
空が、光った。
細い。
細すぎる光。
まるで糸のような線。
それが、最前線にいた旭を貫いた。
「……え?」
旭は自分の胸を見る。
穴が空いていた。
血も、炎も、噴き出さない。
ただ、心臓が焼けて消えている。
「……なに、これ」
理解が追いつかない。
旭は周囲を見た。
「訳が……わからないわ」
それが旭の最後の言葉だった。
旭の体が崩れる。
倒れるのは一瞬だったはずなのに、
スローモーションを見ているようだった。
太陽族最強の魔法使いは、あまりにも簡単に死んだ。
周囲で爆発が起きる。
星族の魔法は続いていた。
今度は広範囲。
圧縮された光が拡散し、兵が一斉に焼き払われる。
「いやーーーー!やめて!」
「死にたくない!誰か助けて!」
叫び声。
悲鳴。
太陽族は混乱する。
今まで一方的な戦いしかしてこなかった者たちは、恐怖で反撃もままらなず、無残に死んでゆく。
梓は動けなかった。
旭の体が目の前の地面に横たわっている。
ついさっきまで立っていた姉。
最強だった姉。
誰より誇り高かった姉。
それが――
あまりにも簡単に死んだ。
戦場は煩いはずなのに、何も耳に届かない。
涙が出る。
でも、声が出ない。
そして梓は気づいてしまう。
胸の奥で、
何かがほどけた。
ずっと比べられてきた。
旭と梓。
太陽と影。
梓は弱い。
梓は役に立たない。
そう言われ続けてきた。
でも今、
旭はいない。
その瞬間、
梓は口角が上がっているのを感じた。
涙を流しながら。
喉の奥で、小さく
「…やっと解放されたのね。」
そう言って、笑ってしまった。
自分がそんなことを思ったと気づいた瞬間、
絶望が押し寄せる。
姉が死んだ。
なのに、心のどこかで、
解放されたと思ってしまった。
そのときだった。
背後に気配が落ちた。
「へえ」
男の声。
軽い声。
「面白い顔してるじゃん」
梓はゆっくり振り返る。
そこにいたのは、
黒い外套の青年だった。
星族の紋章。
そして、恐ろしく濃い魔力。
星族第二王子――ルクス。
他にも気配はあるが、姿は見えない。
彼は興味がなさそうに旭の死体を見る。
それから梓を見る。
そして笑った。
「ちゃんと当たったか確認しに来ただけだったけど」
「泣いてるのに笑ってるやつがいるじゃん」
「なにそれ」
「最高じゃん」
梓は後ずさる。
姉を殺したのはこいつだ。
こんな化け物に私は勝てない。
逃げなければ。
そう思うのに、
腰が抜けて動けない。
ルクスはゆっくり近づく。
(…この髪色。コイツは王族だな)
「姉ちゃん死んだの?」
「それとも、もしかして恋人?」
ルクスのおちゃらけた質問に
梓は何も言えない。
ルクスはしゃがみこむ。
目線が合う。
夜のような瞳に吸い込まれそうになる。
「いいね、その壊れてる顔」
そして、
トン、と。
首の後ろを軽く叩いた。
梓の視界が揺れる。
(ああ)
死ぬんだ。
そう思った。
祖母の星の話を思い出す。
星が一番強く光る夜。
人は願いをかけるのだと。
視界が暗くなる。
最後に見えたのは、
ルクスのニヤッとした笑顔だった。
「いいモノ拾ったな」
その言葉と共に、
梓の意識は途切れた。
お読みいただきありがとうごさいます!
需要がありそうだったら続き書いていこうと思いますので、応援宜しくお願いします!




