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勇者パーティーを追放されたのに、なぜか王都の大手ギルドに勧誘されまくっているんだが  作者: ☄️星拾いの旅人✨️


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第一話 追放と出会い

「アレク、お前はクビだ、クビ。さっさとこのオレのパーティーを出ていけ」


そう言って冷たい目を向けてくるこの男はシュパッツ。勇者パーティーのパーティーリーダーだ。


パーティーで借りている部屋の掃除をさせられていた俺は、シュバッツからいきなりそんなことを言われた。


「なっ……どうして………!?」


「ああ?アレクお前、そんなこともわからないのか?お前じゃあこの勇者パーティーには釣り合わないんだよ」


「っ、俺は今まで支援魔法士としてこのパーティーに貢献してきただろう……!」


「おいおいアレク、勘違いするなよ?お前の支援魔法が凄いんじゃない。オレ達が凄いんだよ」


シュパッツは自慢げに笑った。


「お前の中級のバフごときで、オレ達に貢献しただぁ?馬鹿なこと言ってんじゃねえぞ」


「確かに俺は中級魔法までしか使えないが、中級魔法を重ね掛けすることで上級魔法以上の効果が――」


「ごちゃごちゃうるせぇなァ!もうお前のクビは決定してんだよ。とっとと失せろ」


俺は他のメンバーに目を向けるが、シュバッツの意見に納得した様子で頷いている。

みんな、俺のクビに賛成なのか?


「リィアは…… リィアはどこだ……!?」


「あぁ!? あいつもお前のクビに賛成に決まってんだろ!」


リィアはパーティーの中でも俺に優しくしてくれたのだが、まさかリィアも俺のことを……


「わかった。抜ける…………」


「ハハハッ、感謝しろよアレク。お前が一応Sランク冒険者って肩書を持ってるのはオレ達のパーティーにいたおかげなんだからな」


俺は、無言で部屋を去った。


頭の向こうからは、元パーティーメンバーの笑い声が聞こえてくる。


「……っ」


唇を噛みしめることしかできなかった。



*



そんなことがあり、フリーのSランク冒険者になった俺は、しかし金は稼いでおかないと生活ができなくなってしまうのでダンジョンへ出向いた。


「転移門、起動」


転移門では、到達したことのある階層まで転移することができる。俺の場合は勇者パーティーで到達した八十二層だ。


「今は一人だし―四十層くらいにしておくか」


俺は転移門を通ろうとしたが、突然肩を描まれた。


「やめておきなさい」

「――え?」


俺が振り向くと、俺に声をかけたダークネイビーの髪の女性と、四人の集団がいた。心に余裕がなかったからか、気配に気づかなかった。


「あなた、一人で四十層なんて危険よ」


四十層くらいなら大丈夫だと思うんだけどな。俺が一見新米冒険者のような軽装備だから、心配されたのか……。


俺は支援魔法士として勇者パーティーに所属していたが、別に支援魔法専門ってわけじゃない。アタッカーとして使えるし、ヒーラーとして回復魔法も使える。


「ご心配ありがとうございます。でも俺は大丈夫です」


「そう………あ、私たちと一緒に来る?私たちもちょうど今から四十層へ行くところなの」


思った展開とは違うものの、俺はこの集団と共に四十層へ転移した。


「改めて、私はシルフィア。『星屑の蒼梟』の副団長をやっているの。よろしく」


「俺は魔法士のアレクです。こちらこそよろし…………え、『星屑の蒼梟(ほしくずのそうきょう)』?」


「ええ、そうよ。今日は星屑の新人パーティーが初めて中層に行くから私が付き添いにきたの」


『星屑の蒼梟』といえば、王都の三代ギルドの一つである超有名なクランだ。クランメンバーの全員がBランク以上の精鋭揃いで、その他二つの大手クランと並んで最強格のクランである。


四十層は中層と呼ばれ、上層と比べてモンスターも一気に手強くなってくる。そのため新人の死亡例がとても多いのだ。


「でも『星屑の蒼梟』だったらいくら新人パーティーでも中層くらい問題ないんじゃないですか?」


シルフィアさんが口を開く前に、後ろから声が差し込まれた。


「シルフィアさんは過保護なんだ」


「っ!?ち、違うわよ」


シルフィアさんは、頬を薄く染めて否定する。


「君……アレクだっけか。アレクを俺らと一緒に行こうって誘ったのも過保護だからだ。加えて心配性でもある」


「だから違うわよっ」


「へえ、そうなんですか」


「あなたも真に受けないでっ!」


さっきまで緊張していた新人パーティーに、笑いがこぼれる。


「アレク、俺はこのパーティーのリーダーをやってる前衛アタッカーのルーガだ。よろしくたのむぜ」


「こちらこそ、よろしく」


そうして歩き続けること数分、シルフィアさんが立ち止まった。


「みんな、モンスターよ」


新人パーティーは一瞬で戦闘態勢へ移る。奥から現れたのは、二体のブラックゴーレムだ。


ブラックゴーレムが、鋼鉄の拳を持ち上げる。


「はあっ!」


と、そこを狙ってルーガの大剣がブラックゴーレムの関節あたりを斬る。


ブラックゴーレムの腕が地に落ち、地面の岩にヒビが入る。


ゴーレム系は、物理攻撃にも魔法攻撃にも高い耐性を持っているものの、関節部分を狙った攻撃で簡単に切断することができるのだ。


「タンク、前に出なさい」


「はい!」


ブラックゴーレムは、切断されていないもう片方の腕で殴りかかるが、タンクの盾によって防がれる。


『ウォーターカッター』


隙のできたブラックゴーレムに、上方から水属性魔法が放たれる。


「両方の腕を落としたっ!みんな、一気に畳み掛けるぞ!」


ルーガは大剣を掲げてブラックゴーレムに突撃するが、ブラックゴーレムはもう一体いる。


「ぐっ……おわッ!」


もう一体のブラックゴーレムの拳を、ルーガは大剣で防ぐが、力に堪えきれずに後方へ吹き飛ばされる。


ルーガはすぐに起き上がるが、額の浅い切り傷から血が垂れる。大剣がブラックゴーレムの攻撃に押されてルーガの額を浅く斬ったのだ。


『ヒール』


しかしその傷は、パーティーメンバーの回復魔法によって完治した。


俺も参戦したほうがいいのだろうか。着いてきた部外者が、戦いをただ眺めているだけというこの状況になんだか居た堪れない気持ちになる。


「あなたも戦いたかったかしら?」


「シルフィアさん……いや、戦うためにダンジョンにきたわけじゃないんで」


「そう。でもあなた、一人で四十層に行こうとしていたのだから、あのモンスターくらいなら一人で倒せるのよね」


「ええ、まあ」


「危険だなんて、いらない心配をしてしまったかしら。ごめんなさい」


「いえ、大丈夫ですよ」


ルーガも、シルフィアさんも、とても優しい人だ。おかげでパーティーを追い出された心の痛みが少し和らいでいくのを感じる。


「あっ、アレクとシルフィアさん! 危ねえッ!」


ルーガが俺たちの方を向きながら叫ぶ。戦いによって頭上の地形が破壊されて、岩が降ってきたのだ。


「おっと」


俺はすぐさま魔力障壁を展開し、俺とシルフィアさんの頭上を守る。


「……っ、速……」




「おおおおおおっ!」


ルーガがブラックゴーレムの腹部に大剣を突き刺し、撃破。もう一体は後衛の魔術師が数発のウォーターカッターで首元を斬って撃破。


二つの魔石が転がる。




「ん、シルフィアさん。あそこに人がいるぜ」


「そうみたいね」


ブラックゴーレムを撃破してしばらく歩くと、奥の方に人影が見えた。


「あの二人、怪我してる……!」


それは、血を流して壁にもたれかかっている二人の冒険者だった。


「っ、大丈夫か!」


俺は駆け寄って回復魔法をかける。幸い二人とも俺の回復魔法で完治させることができた。


「……助かった、本当にありがとう」


「俺も、助かったよ」


「ああ、それより何があったんだ?」


俺がそう言うと、二人は俯いて唇を噛む。


「下層のモンスターが……が出たんだ!」


「ああ、こんなところに出てくるわけねえのに!俺たちじゃ何もできなかった。なんとか逃げ切れたが……」


「アビス・ウォーカー……!?八十層に出てくるモンスターよ?」


シルフィアさんもやってきて、二人の証言に目を見開く。


確かに驚きだ。四十層に八十層のモンスターが出現するなんて―――


「ッ!!」


魔法障壁を三重に発動する。


刹那、魔法障壁がガラスのように割れる音が聞こえた。


「三つ張っておいてよかった………」


暗闇の奥から放たれた攻撃は、魔法障壁の二つを貫通し、三つめにヒビを入れた。


「まさか………」


暗闇の中で、濃紫の光が不気味に輝く。


「き、来やがった……! 俺たちを追いかけてきたんだ!!」


足音も立てずに姿を表したのは、アビス・ウォーカーだった。

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