春の囁き
肌寒いけど夕暮れは、
明るくて、何かいいこと
ありそうな、もうすぐの
春の気配。
有りふれた道、膨らんだ
蕾がほら、歌い出す。
見つけては、喜んだ、
勤め帰りの道。
何をすればよかったか。
何をしなくてよかったか。
そんな風に気になって
人はしょうがない。
訪れる季節には、
詰めよる心はない。
風や花やできること
照らす光だけ。
何もかもが便利へと、
押し寄せてどこか怖い。
ゆっくりで、かまわない
春の歩みで。
柔らかな顔していたい。
できることを頑張って、
ときどきは、あなたの顔、
思い出しながら。
何をしたかったのか。
何をしたくなかったか。
そんな風に聞かれると、
人は戸惑う。
夕暮れ通り過ぎて、
今日が春に近づく。
どんな時も誠実に、
生きればいいからと。
何を感じられるのか。
何を感じられないか。
そんな風に尋ねたら
春は囁く。
なだらかに全てを
愛していたいからね。
人や恋やできること
ただ見守るだけ。