番外編3:白薔薇の蕾と琥珀色の薔薇~アオイの妄想 DE 暴走 ~ ★
注)心になんら曇りのないゴーシェのように純粋な方にはとても健全な、そちらの方面の知識に明るいキラタイプの方には違った風にとられる内容かと。
<妄…想像の秋>
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―――パチッパチ……
ガサガサ……
朝晩の気温が下がり始め、毎日掃いているのにすぐに落ち葉が溜まるようになった秋の終わり。
ゴーちゃんのお母さん、モルガさんは輸入関係の仕事をしていて、先日ワノ国から“密芋”という芋を輸入してみたといい、持ち帰ってきてくれた。
それがどうみてもサツマイモだったので、子供の頃は当たり前にあった、落ち葉焚きDE焼き芋をしてみたくなり、朝から張り切って落ち葉を集めていた。
「わぁぁ~これなんて結構いい感じなんじゃない?落ち葉で焼き芋なんてどれくらいぶりかなぁ~。そもそも焚火ってロマンの塊だよね!」
「ロマン?う、うん…。それよりアオちゃん……見た感じすっごい黒いけど、これって本当に食べれるの?」
アルミホイルも濡れた新聞紙も使用していない。サツマイモ直入れだし、私も何十年か振りなので、若干表面は黒く焦げたところがあるけれど、なんら問題はない。
おそらく中は美味しくできていると私の嗅覚が言っているのでね。嗅覚は裏切らない!持論
「人も芋も見た目で判断しちゃ駄目だよゴーちゃん!中身はすっごく美味しいんだから!しかも密芋って聞いてるからね、絶対間違いないはず!!香りが『美味しいから食べて♡』って言ってるもん」
「そっか~、香りが言ってるなら間違いなさそうだね!」
「ちょっと……ゴーちゃん今、馬鹿にしたでしょ?」
頭の中がお花畑な子くらいに思われたのなら、とても悲しい。視線が5歳児を見守るお兄さんのそれである。諦めと言う名の悟りを開きだしたのだろうか
「違うよ~!アオちゃんは可愛いなって思っただけ」
「かっ…!!可愛いのは天使なゴーちゃんでしょ!!
もう、ゴーちゃんのそれ、ホントに誰かれ構わず言っちゃ駄目だからね?特にゴーちゃんファンには注意だよ!血の争いになるか、ゴーちゃんが拉致されるかすると思うから!」
「あはは!可愛いと思わなければ、言うことないんだし心配いらないよ。キラじゃないんだから」
「そうだよね、キラ君みたいに来る者拒まず、去る者追わずなスケコマシ野郎じゃないよね!」
キラ君の場合は相手の心配だけど、ゴーちゃんの場合は相手に襲われる心配をしなければならないから困りものだ。兄の貞操を私は守り切れるのだろうか……本気の女は怖いし。ガクブル……
「あ、いや……キラはそこまで見境ない男じゃないはずだよ?一応フォローしておくけど……アオちゃんから見てそんな印象だったの?キラって」
「え、違うの?ルティが『キラは性別が女と見れば、すぐに食い物にしようとする男の風上にもおけないクズ野郎だから気を付けるように』って言われたんだけど??私がキラ君と友人としては関わることをやめないって言った時に注意されたんだよね」
「えぇ……ルーティエ兄さんが?う~ん、まぁとりあえず、彼はそこまで悪い奴ではないからこれまで通り、友人として仲良くしてあげてね」
「うん、それはもちろん。あっそろそろルティも呼んでくるね!
あとこれ、さっき焼けた分なの。中はまだ熱いから気を付けて食べて。まだまだたくさん焼くから、いっぱい食べてね!」
「うん、ありがとう。食べながら火を見張っておくね」
「お願いしまーす」
******
「もーう!ルティってばどこに行っちゃたんだろう」
せっかく呼びに行ったのに、鍛錬していると言っていた場所に彼はいなかったので、再度戻ることにした。
早めに切り上げて、こちらに向かっていたところをすれ違ったのかもしれない。
「ゴーちゃ……」
ん?
ゴーちゃんに声を掛けようと思ったけど、他にも誰かいるらしく、話し声が聞こえる。
ルティじゃない声……キラ君?
(くふふ……どうせなら驚かせちゃおうかなぁ)
茂みに隠れながら声のする方へと向かい、会話が聞こえる距離まで近づいた
「おい、ゴーシェ、大丈夫か?」
「はぁ…もう無理、限界……僕には大きすぎて、苦しい……これ以上はもう入らないよ」
「おいおい、ひでぇな。俺の方が拷問じゃねーか。少し待ってやるから、もう少し頑張れよ」
「はぁ、ふぅ……でも僕だって今日が初めてだったし、こんなに苦しくなるものだなんて思わなくて……」
「でも、中は想像以上に熱くて……フッ、少し押してやるだけで…ほら、蜜が溢れてきやがる」
「あ、やめっ……強く押すなよっ!零れちゃうだろ」
「くくっ。じゃあ責任もって全部零さず受け取れよ……」
「あ、熱っ…君って嫌なやつだ……」
ぎゃーーーーーーーーーーーーー!!!
やばいやばいやばい!!今私の腐女子脳が全開なせいで、ただ焼き芋を押し付け合っているだけの会話が卑猥な会話にしか聞こえない!!キラ君はワザとじゃないよね?
ゴーちゃんごめんなさい。私は悪い妹です……キラ君×ゴーちゃんにしか思えない。
近い内に滝に打たれてくるので、この内容をちょーっと脚色してしまうことをお許しください……
腐女子人口を増やすための布教活動の一環なの。そう、決して自分の私欲の為じゃないの!!
私は必死に同志のブクマー氏に向けて、この一連の流れ…に若干の尾ひれと葉ひれとエイひれなんかも添えたくらいにして、お手紙という名のネタを書き綴った。
ちなみに時折文通している仲です。あ、たまに抜き打ちで監視の検閲ありきですが、純文学についてはおそらくバレてはいない……はず。
「アオイ、こんなところで何をしているのですか?こちらに来たのにいなかったので、また探しに戻っていたのですよ」
「ほわぁっ!ルティかぁ。
ごめんね……でもルティのお陰で私は今とても満たされているから幸せ。萌え&ピースだからね
はぁ…尊い……天使は羽をもがれようとも尊い!!美形同士ってのがもうムリ!ホント至高!」
「ふむ。半分くらい何を言っているのかわかりませんが、アオイが幸せを感じているのなら私も嬉しいので良かったです」
「うん。ルティがいて、優しいお兄ちゃんがいて、友達もいて……私幸せだぁ~」
「ふふ。私も幸せですよ。さ、一緒に焼き蜜芋というのを食べるのでしょう?行きましょう」
「まだ食べてないのに、口の中も脳内も甘いんだけどね。はぁ……もう少し話を聞いていたかった♡」
***
その後、合流して焼き芋を食べたけど、肉食のキラ君は、ゴーちゃんが食べきれなかった分も食べてあげたので「当面、野菜も甘味もいらねー」と言って帰って行った。
そもそも彼は何をしに来たのだろうか?
「ハッ!!もしかして……密会だったり……!?キャーーどうしようっ!」
「ふふ。アオちゃん、今日はテンション高いね~」
「よくわかりませんが、私とゴーシェがいて、とても幸せらしいですよ」
「え、僕の存在でも幸せになれるの?嬉しいなぁ。へへ」
「私も『幸せ』と言ってもらえて幸せです」
――――…その後
速達便で送ったブクマー氏への密書は、彼のインスピレーションを大いに掻き立て、禁断の恋愛物語『琥珀色の薔薇と白薔薇の蕾~秘密の花園で熱く、甘く蕩ける~』を出版
発売直後は多少の賛否はあったものの、その詩集のような表現の美しさから、じわじわと人気を集め、特に女性から絶大な支持を得ることとなる。
挿絵はあくまでイメージ画として作画してもらったものの、顔出しをしない、謎の人気挿絵師Sさんとのタッグはブクマー氏の作品イメージにピッタリだった。
舞台化しないかとの話もきているらしく、今や書店の仕事はできているのかすら怪しい。
読書が趣味だった店長は多忙を極めているが<執筆>という、新たな趣味ができて非常に充実しているようだ。
私も店長の【アドバイザー】として、一応長期の依頼を受けている体になっているので、作品が売れると、私にも謝礼金が商業ギルド経由で入ってくる。
むしろ私が課金すべきなのでは?と思うんだけど、アドバイザーを受けているお陰で他の依頼を受けずに学園にも悠々通えているので、ありがたく享受している。
今後も良い妄想ネタ提供ができるように励みたい所存です
今日も良い推し事に感謝を!
ただの健全な焼き芋食べてた、平和で刺激的なお話(笑)