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番外編1:ビビビっと電撃結婚!

今話入れてあと番外編3話で第三章が終わり、そのまま第四章(最終章)へ入ります!


いいね!ありがとうございます!反応頂けるととても励みになります(^^)


<恋する秋>


******



「ああ……アオイ、想像以上です、とても綺麗ですよ」

「ありがとう、ルティもすごくカッコいい……」



 見つめ合う二人に、脳内でリンゴーン♪と教会の鐘が鳴る。私達は新郎新婦……ではない。会話が挙式当日にお互いの衣装見た時みたいになっているけど。

 ルティはいつも通りだし、私は見慣れないカチッとした服装をしているルティに見惚れてしまっただけ。ルティはたとえ布切れ一枚しかなくても完璧に着こなしそうな気がする



「アオイちゃん、新婦が準備出来たから訪ねても大丈夫ですって」

「あ、アイさん!行きます、行きます!!ルティ、ちょっと待っててね」

「あぁ……!!もうすでに寂しいので、早めに戻って来て下さいね」



 おい、しょんぼりするのはさすがに早いよ……もうちょっと我慢を覚えましょうね。ルティは新郎を見てきたら?え、『興味ありません』とか正直に言わないの!!まぁ、ルティが新郎に『いつも以上にカッコいいですね』なんていう姿は全く想像もできないけどね



 コンコン、とノックを鳴らし、そっと扉を開ける。花嫁は後ろを向いていて、自分で刺繍を施したというロングトレーンが一番に目に入った。こちらは結婚=白いドレスというわけではないので、とても新婦らしい深紅のドレスにたくさんの薔薇の花びらがドレスの裾に縫い付けてある



「シルバーさん、本日はおめでとうございます!ドレスもすごいし、すっごく似合ってて綺麗~!!」

「いやぁ~ん、アオイちゃんありがとう~♡あなたも……うん、わかりやすいくらいルーティエちゃんの色まみれな服装ねぇ……」



 あ、やっぱりわかっちゃいます?こういったパーティー衣装なんて私にはわからないから、いつも以上にルティに丸投げなんだけど……見事に全てがルティ色だった。シルバーのパーティードレスに小物や宝飾がラズベリー色となっている。


 さすがの私も人様の結婚式なのに、なんでこんなに独占欲丸出しなチョイスにしたのかと思ったけど、『結婚式は当然、皆が着飾るのですよ?普段よりも輝きを増したアオイを見て、恋に落ちてしまう輩が出てしまうかもしれないじゃないですか。そして、それに気づいた私がうっかりなことを起こさないように、アオイのパートナーは誰なのかをキチンと明示しておくことは、相手の為にもなるのです』とまぁ、ツッコミどころしかないけど、私が大人しくこれさえ着ておけばリイルーンの平和が守られると言うのなら、着るしかないわけだよね。


 でもさ、輝きを増しちゃってるのはルティですから!!と声を大にして言いたい。ルティはお揃いの生地のシルバースーツに、小物などの細々した部分に私の黒を取り入れている。


 でも、全く私如きでは牽制になんぞなりゃしないのよ。隣に私が立っていようとも恐らくモザイク処理か、自分の顔に加工修正しているのか?普通に美女軍団がルティに見惚れていたからね。むむぅ~



「でも、ホント電撃婚でしたよね!びっくりしました」

「うふ、ごめんなさいねぇ♡もう、一目見た瞬間に電撃が走ったような衝撃があって、何が何でもGETしなきゃって思っちゃったのよ~」


「何が何でもはいいけど、さすがの私でも、まさか出会ったその日にGETしてきちゃうとは思わなかったわよ」

「えぇ!?あのビビビからの即GETだったんですか!?」



 やっぱり、周囲のエルフ族に対する認識がおかしい気がするんだよねぇ。どの辺が淡白なんだろうか?シルバーさん猛獣、ルティも猛獣、コーディエさんも学園長と戦ってGETって言ってたし。どう見ても熱い集団じゃない?たまたまがこんなに集結しているとでも言うのだろうか?



「でも、気合で捕まえたのは私だけれど、きっかけはアオイちゃんなのよね。この歳になってようやくこの人!って思える人に出会えて幸せよ♡」

「シルは結婚願望が強い方だったものね……本当に良かったわ、私も嬉しい」



 直接的ではないものの、私が小ネタを流しつつ、すんばらしい詩的な純文学を書き上げる、店長の作品にぴったりな挿絵を提供していたSさんと言うのが、なんとシルバーさんと判明。

 

 なんでわかったかというと、私のウエディングドレス案のスケッチなるものを見せてもらった際、『このタッチどこかで見たような…?』と腐女子の勘がピーン!ときましてね。

 もしかして……?って聞いたらビンゴだったという訳です。


 そして、逆に『アルバイトの籍を置いている先のブクマ―店長がモノクルPOLさんなんですよ』とサラ~っと教えてあげたら、すごい形相で『今すぐ紹介して!!』と迫られ、シルバーさんの脇に抱えられたまま、速攻でお店へ。私はセカンドバックですか?


 仕方がないので、私からお互いを紹介させてもらったら、今度は借りてきた猫のように二人共緊張で俯き出してしまった。

 この青春の一ページみたいな空間で私は一体どうしたらいいのか……と暇で剥いていたウサギさんリンゴを一人でシャリついていたところ、ルティがこれまたすごい形相で迎えに来て……


 そこから急展開。シルバーさんが『ルーティエちゃん、私が悪いのよ!私をぶって!!』と店長を庇ったら、『何を言うのですか!ずっと好きだったあなたが殴られるのを黙って見過ごせるはずがないでしょう!!』と店長がズズイとシルバーさんの前に出て来た


『え?ずっと好きだったって……私を…?』『あぁっ!一生言うつもりなどなかったのに!!』と二人で勝手に盛り上がり出しちゃって、シルバーさんがそのままブクマ―店長を脇に抱えて、奥の部屋へ。

 店長は男性なので、それなりに重いと思うんですけど?


 扉の向こうからは、ドシーン!といった大きな音と『大男狩(おおとこがり)~!!ふぅ…落・ち・た♡』という、それは物理的にオチたのでは?と思う不穏なセリフが聞こえた為、とりあえず怖いから立ち去った。


 シルバーさんの腕力はどうなっているんだろうか?そして、出会ったその日に入籍は済ませたっていうけど、物理的にオトされた店長は意識のある時にサインは書いたのか?

 色々と気にはなったけど、二人共何百年と運命の出会いを待ったみたいだし。幸せそうに見つめ合う二人を見れば愚問だよね


 店長の店にシルバー姉さん特集の本が多いなとは思ったけど、売れっ子だからとか、ファンだからではなく、ガチ恋だったとは気付かなかったなぁ

 ふふ、でもなんにせよ、良縁を結ぶお手伝いができたのなら、これほど嬉しいことはないよね!



***



「ルティお待たせ~」

「アオイ、そろそろ迎えに行こうかと思ってましたよ。遅いです」


「……うん、ごめんね。このあとはずっといるから許して?」

「えっ!!?どうしたのです?『遅くないしっ!』と返される場面かと思ったのですが」



 さすがよくわかっていらっしゃる。でもね、シルバーさん達を見て、ルティもずーっと待っているんだよなぁって思っちゃって。私の態度でどうにかなるのなら、優しくしたいなってね。毎回は無理だけど



「どうもしないよ、私がルティと居たいだけ。それに、ルティに見惚れる女子達に牽制の意味もあるの!全く、私が横にいても、いない者として扱われているんだよね!!ルティは私の恋人なのにさ」

「…………」


「あれ?ルティどうしたの?お~い…」

「帰りましょう!今、すぐに!!」


「ええっ!?なにゆえ!?」

「アオイが嫉妬、嫉妬ですよ!?嬉しい反面、そんな思いをあなたにさせたくはないのです。アオイの不快・ストレス指数が高まったら、更に結婚が遠のくじゃないですか!!」



 そこは『嫉妬!?嬉しいです!』じゃないの?前までそうだったよね?お客様満足度みたいに、人の感情を数値化するのはやめて頂きたいですな



「大丈夫!大丈夫だから!!カッコいいルティを…そうだね、()()()()()()()()!私は見せびらかせたいのよ!!」

「え……私達は真実愛し合っている恋人同士だと皆に知らしめたい、と?つけ入る隙など存在すらしないのだと周知させたいとご所望なのですね?」



「なんと!たった八文字の中にそんな意味が込められていたとは……ってバカ!そこまで言ってないでしょうが!!」



 う~んと、どう伝えたらいいのかしらね。よし、面倒だからそれでいいや。いっそタスキに『私達カップルでーす』って書いてつけとく?

 年単位でリイルーンには近づかないかもしれないけど。周知させる前に、私が羞恥に耐えられない。



***



 そんなこんな考えている間にも式は厳かに進み、いよいよシルバーさんから<ブーケトス>をすると独身女性陣にお呼びがかかった。もちろんこれもこの世界にはなかった風習なのだけど、何だかんだで私より仕事をしている<雑誌>の写真から『これってなにをしているの?』と聞かれて教えたんだよね



 私も現状独身ではありますが、もう天変地異でもこない限り…いや、来ても結婚するんじゃないかとすら思うけど、変更不可の未来の夫が隣におりますので、ここは一つ若人たちにブーケは譲ろうかなと後方に下がる。とは言え、一番の若人は私のようですけどね。ええ



 ブーケトス用は小ぶりに作られたブーケだけど、色とりどりで可愛らしいラウンドタイプ。セクシーなスリットの入ったドレスにお色直ししたシルバーさんが、メジャーリーガーも真っ青なほど片足を投球ポーズに挙げて振りかぶる……花嫁が振りかぶるだと!?


 て、店長!うっとり見てる意味がわからないけど、止めないの!?


 ブーケは散り散りにならないのだろうかと思うほどの剛速球で投げられて……どうやら私に向かっているっぽい?ぎゃーーーーー!!!



「いや、無理無理無理無理!!あんなの取れないって!!」

「では……」



 シュタっとブーケをキャッチしたのは独身男性のルティ…女性じゃなくてもいいのか?あの剛速球をも耐えたブーケはド根性ブーケと呼ぼう。星飛○馬もビックリだ



「これは驚きですね。なぜか私の手元にブーケが飛んでくるとは思ってもみませんでした。あ、そういえば、このブーケ伝説によれば、受け取った者が次に結婚するのでしたよね?そうなると次は私達の番みたいですよ、アオイ」



 何かをツッコむ前から一人でペラペラと、草原を通り抜ける風の如く爽やかな笑顔で言ってのけるルティ。二人はグルか……

 じわりじわりと外堀が埋められているよなぁ……



(これはいよいよの、いよいよなのかしら)


 


 ちょっと遠い目で思い始めたけど。でも、ひとまずシルバーさん、店長、コングラチュレーション!!





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