表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

86/136

17:私の考える清いデートとは①

今週は甘い一週間をお送りします☆

今日はその序章、ほんのり甘い


ブクマ登録ありがとうございます!



******



 褒賞式、ぶっちゃけパジャマパーティ、別荘へのお泊り、頭の痛い夏の勉強会を経て、残すは二人きりのお泊りデートだけだ。

 一泊の予定が、自分で言い出したことではあるけれど、二人きりで二泊というのもとても久しぶりなのでとても楽しみである。




 少々時を遡るが、ルティを無視し、ゴーちゃんとピアス作りをした翌日に、デートの計画について話し合っていた。



******



「アオイ、私達は【愛し合っている恋人同士】という認識で合っておりますよね?」

「うん?そうだけど、どうしたの急に?」



 いつも突拍子もないこと言うけど、一体何事だろうか?昨日のピアスで機嫌が直ったと思っていたのに気のせいだったとか?

 それにしても、彼の【愛し合っている恋人同士】というフレーズはもはや定型文と化していて、『Dearアオイ』と手紙の冒頭に書く感覚と同じに思えるようになっていた。慣れとはすごい。



「ですが、まだまだ照屋さんなアオイは中々恋人同士のスキンシップを増やして下さらない……それに求めるのもいつも私からじゃないですか」


「あーーうん。そう…なの、かな?」



 そもそも、私が求めたいと思う前に、ルティがガンガン攻めてくるから、求める隙間がないのではないかと密かに思っているんだけど……まぁ、ここは何も言うまい



「しかし、私から求めることは今後もやめるつもりはないですし、もはや生活の一部のようなものなのでそれは構わないのです」


「え?あれらは全て生活の一部だったの!?」



 <洗顔・歯磨き・愛の囁き>みたいにセットだったとは!?ようするに「おはよう」と「愛してます」は同じようなレベルのものってことなのかな?

 いや、逆にそれだと愛が軽く感じるような……しかしそれを今彼に伝えても、さらにパワーアップした愛のなんちゃらシリーズみたいなものが生まれても困るので、やはりここは何も言うまい



「私の方がだいぶ重たい愛情なのは仕方がないと思っておりますが、それでもその1/3でもいいので私を求めて欲しいと思うことは、それほど罪深きことなのでしょうか……」



 意外にも自分の愛がヘビー級であることは自覚していたらしい……かといって控える気は全くないようだけど。



「いや、言い方がズルいくない?……その言い方だと現状は1/3以下にしか感じられないってことだよね?」



 今はハグもキスもするし、なんなら給餌もしてるよね?あと膝枕でしょ……あ、部屋がわかれてから一緒に寝ていないからかな?それとも水着混浴風呂か……じゃあ、今は1/4くらい?



「……私の体感によれば1/7程度かと」

「まさかの低さっ!しかも若干わかりづらっ!」



 恋人とは言え、異種族同士。だから私も恥ずかしいなりに結構頑張ってる方だと思っていたんだけど、これって結構ショックなんですが。

 しかし、どうみても溜息をつきながら悲しそうにしているのはルティの方で……まるで私が悲しませている側で罪悪感がビシバシ突き刺さるじゃないの!!


 恋愛レベル1から随分私も成長したものだと自分で褒めていたくらいだっていうのに。

 それに膝上での食べさせ合いを、我慢して人前でやってもコレなのかぁ……うーん。元の世界の私の青春期の頃…の周囲がどうだったのかを思い起こしてみるけど、自分のことではないせいかほぼ思い出せない


 でも少なくとも私がやったレベルまでなら見掛けたことがあったような気も…しなくもないので、付き合いたてのようなカップルなら許されるのだろうかと思ってはいる


 それにしたって、まさか口移しを人前でやってようやく1/3じゃないよね?それは私が社会的に死ぬよ?



「そこで、私が提案すると大体がアオイは却下するではないですか?ですからいっそ、旅行の半分はアオイ自ら考えたデートプランをしてみるのはいかがかと思いまして。そうすれば私も今後の参考にしやすいですし」


「え、嘘……ルティがまさかの!?嬉しい!これが私が求めていた話し合いとすり合わせだよ。こうやってお互いの真ん中を見つけていきたいよね。うん、賛成!考えてみるね」



 ついに彼に言語が伝わる日が来ようとは!今日は「ルティに言葉が伝わった記念日」に制定でもいいのでは?ってくらいの驚きだ。誠意を持って伝え続ければいつかは伝わるんだなぁ



***



 私は早速カーモスさんが以前「読んだ方がいい」と言っていた本を貸して欲しいとお願いし、部屋まで持って来てもらった。




<清い男女交際の仕方~基本編~>


 この世界での清い交際のHOW TO本。ちなみに人族対応なのかエルフ族編なのか、はたまた魔国編かで大分内容変わると思うんだけど。でも、参考までに一読しておこう



 そしてチラッと、そうチラッとね、見えちゃったんだけど、カーモスさんが抱えていた本の中に、カモフラージュで<基本の簿記>と<魔人族の心理学>が間に挟んであったけど……



<スマートな男のエスコート~初級・中級編~>


 これって誰用?カーモスさんじゃないよね?さすがに初級って感じはしないし。




<女性にこれだけは言ってはいけないベスト999~永久保存版~>


 そこまでいったなら1000までありそうだけど、999も言ってはいけないことってあるのか……999位だけでも知りたい。




 カーモスさん、これって誰に渡すの?的視線をやってみたけど、笑顔のままスゥーっと視線を逸らされ「では、失礼致します」と言って出て行ってしまった。うむ、逃げたな。




 少しのモヤモヤ感を抱えつつも、このプロデュースが今後の二人の交際のあり方の基準となるのかもしれないと思うと、もしかして、もの凄く重要任務なのではないのか?とプレッシャーを感じる。


 そして作り上げた清い交際デートの概要がこれだ




    ―――――



・あえて待ち合わせをする。服装もその時までお互い秘密にする


・基本は手を繋いで歩く


・魔獣じゃなくて、馬に乗って遠乗りへ行きピクニック(誰もいなければ食べさせ合いOK)


・人目がないところなら口づけもハグもOK



    ―――――


 清い……これは結構清いと言えるんじゃない?さすがに小学生じゃないからね。

 人目に晒すのはいかがなものかと思うけど、人目がなければ…まぁこのくらいはいいんじゃない?って思ったんだけど。あれ、清すぎるかな?いや、初めから飛ばすと大変なことになるかもしれないし



「ルティ、書物を参考にしてみたんだけど、まずはこんな感じでどうかな?ダメ?」


「ふむ……これはこれで、アリですね。やりましょう!!思っていた以上のご褒美です。宿や乗り物の手配、行き先などは私が決めても構いませんか?連れて行きたいところがあるのです」



「そうなの?本当は私が考えなきゃいけないんだけど、許可が出てから考えようと思ってて、まだだったんだ。全く魔国は詳しくないからお任せしてもいい?」

「ええ、もちろんですよ。お任せください」




 私はこの時、舐めていた。勝手に過大解釈し、その条件下であっても最大限 自分の希望を叶えてしまう、この男の恐ろしさを……



******



 そして迎えた二人きりのお泊りデート当日――




「しまった!こんな初歩的なことに今頃気付いてしまったけど、ここ半年くらい朝目覚めたら勝手に大きな妖精さん(ルティ)がその日着替える服を用意してあったせいで……選べない」




 ただの小庶民のくせに私ってば……いつからそんなお嬢様ぶった人間に成り下がったというのか!バカ!目を覚ますんだアオイ!!




「とは言え、今はこの現状どうにかしなければならないというミッションがある……もうこれはお助けアイテムしかないのでは?」



 冠婚葬祭だと割とわかりやすいんだけど、普段のこういう困った時には一枚で解決するアレ

 しかも女子に限っては(多分)男性ウケもいいであろう戦闘服のアレ


 

 ―――ワンピース!!もうまさに平和的解決できそうな名前!



 はい、被ってへんしーん☆



「ふぅ……第一ミッション通過したよ、そして大問題の髪型!!梳かすのと、一つに縛るしかできない私に一体どうしろとっ!?」



 さすがにデートの髪型を、平時ならともかく、兄とは言えゴーちゃんに頼るわけにもいかないしなぁ……

 カーモスさん…もなんか違うし。モルガさんは今日も朝早くから仕事だし

 はぁ、諦めてアレを使うか……ルティが買ってくれたけど、どうしても50歳の羞恥が勝ってしまって封印されたままのアレ。




 ―――ヘアバンド!!




 いや、もうこれごりっごりのデートスタイルやん!間違ってはないけど、昭和、昭和だよ!完全に純情な感情がぐるんぐるんに空まわっているんじゃないのかな!?


 自分でプラン立てたくせに、すでに出だしからコケるとは……私はホントどこでもコケられるな




「いや、いい……今日は特別なデートだよ?それにどれも買ってくれたのはルティだもん。組み合わせおかしいとか言われたら服屋さんに寄ってもらおう」




 よぉし、がんばるぞー!!



***



「ル~ティ~!!お待たせ~遅くなってごめ~ん!!」



 結局、あのあと優柔不断にもアレコレ交換しつつ、一周まわってまた元に戻って来たっていう

 お陰でありがちな「待たせてごめん」をやっちまった次第。ちなみに待ち合わせと言ってもゴーちゃんのお屋敷の入り口前である。そもそも一人で敷地の外に出ることは許可されていないっていうか、安全第一ですから!



「あ、アオイ!いえ、私が先に来て迎える側でいたいと思い早く来た、、、だけ……」

「はぁ、はぁ……少しヒールがあるだけで走りにく……」



 私は転ばないように足元に注意しながら走っていて、入り口についてから呼吸を整え、ルティの方へ顔を向けた。目の合った彼の顔は紅潮し、久しぶりに長い耳がピコピコと忙しなく動いていた。


 

 それよりも私が思ったことは……



「かっ……」

「カッ……」




「可愛いらしいっ!!今日のアオイは髪をおろしていて新鮮ですが、ついにこのデートでヘアバンドをつけて下さったのですね!清楚なワンピースとヘアバンドの組み合わせ……今後の参考にさせて頂きましょう」


「ルティこそカッコいい~~!!もう久々に目が潰れるレベル!!特にこのジャケットの袖を少し捲った先に見える腕の筋肉というか筋というか……好き」


「アオイ…」

「ルティ…」




「ゴホンッ……お忘れのようですが、ここはまだお屋敷の入り口ですので、お花畑劇場は他でやって頂けますか?」



 いつの間にかカーモスさんが私達の横に立っていて、もの凄く良い笑顔だけど、迷惑だと思われているのは間違いない



「チッ!カーモス、また邪魔をして……せめて口づけが終わったあとに声を掛けて欲しいものですね」

「ぎゃーーーー!!すみません、すみません!!ちょっと脳内に久々に花が咲き乱れてしまいました!」




 危ない……キスの時に話しかけられていたら、恥ずかしくて絶対に部屋に引き籠っていたよ!カーモスさん、助かりました!!





「さて、気を取り直して……今日のアオイは馬に乗りたいのでしたね。事前に借りてありますのでそこまで手を繋いで行きましょうか」

「うん。ありがとう!」



 先に手配済な辺りがさずがルティだし、いつも対応がスマートでカッコいいなぁって思う……ん?スマート……?なんかスマートってワードをどこかで見たような、ないような??



 まぁ気のせいか





ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ