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【完結】アテンションプリーズ!ガラポンの特賞は異世界でした!?~アオイ50歳。異世界でエンジョイしろと言われても…若くないので出来ません!~  作者: 三星
第三章:夏休みをエンジョイしたい!

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8:夏休み、海へのお誘い



 ― 時は少しだけ戻って、夏休み前のテスト最終日 ―



******


 


♪キーンコーンカーンコーン


「あ゛~やぁっとテストが終わった~。もう脳みそ50年分は使った気分だぜ…ねむっ!」


 

 チャイムと同時にポイッとペンを投げ、コキコキと腕や首を回すキラ君。本人はさながら朝一で提出予定の資料を徹夜で仕上げたサラリーマンかのような雰囲気を醸していた。一夜漬けか……



「そうだとしたら、キラ君の脳みそは普段活動しなさすぎじゃない?っていうかまだ20年分しか使ってないでしょ」

「あ゛ぁ゛?失礼な奴だな。どうせアオは学校でも家でも、お優しいルーティエ先生からマンツーマンで勉強見てもらってんだろ?」


「はぁ…キラ君は全然わかってないね。だったら誘ったときに一緒に勉強会に参加したら良かったじゃない」


「なんで放課後までルーティエ先生と過ごさなきゃいけねぇんだよ。ぜってぇヤダね」

 

 むしろ君にはぜひとも参加して欲しかった……

 生贄と言う名のギャラリーがいた方が、多少は分散されると踏んでいたのに!結局クラスの誰も誘いには乗ってくれず、目を泳がせながら『予定があって…ごめん』と断られた。

 謝罪はともかくナゼ目を逸らす?


 少々、完璧主義な傾向にあるルティは<指導>となると、途端に軍曹っぽくなる。

 別に叩かれたり、暴言飛んだりはないけど、優しい口調のようでいて、ほとんど脅しじゃないっすか?それ…みたいな勉強法は中々に苦行だった。


 でもお陰で苦手だった魔国史は、それなりに点はとれるはず……いや、とる!!

 合格点がとれないとお仕置きが待っているので、テスト返却日まで生きた心地がしない。



「はぁ、ゴーちゃんは流石だよねぇ……」



 ゴーちゃんは本の虫だけあって、勉強は非常に得意だという。

 そもそも、初等部から始まり、進級する度に休学と復学を繰り返していたはずなのに、家でしっかり勉強しているのか、授業の遅れなんかも全くない上に、成績は常にベスト3には入っているとか。

 本人曰く、『実技がとても面倒』と言うほど、生粋のもやし君であるはずなのに…MBA祭で見た彼はそれとは程遠く、惚れ惚れするほどカッコよかった。お陰でブラコン度が益々上がってしまったではないかっ!



「そんなことないよ。魔国史は…僕はあまり覚えていないんだけど、カーモスが毎晩寝かしつける時の絵本代わりに魔国史を読んでくれていたみたい。そのせいか、なんとなく記憶に残っているんだよ」



 なんとなくで記憶に残せるゴーちゃんも、魔国史を絵本代わりにチョイスするカーモスさんの英才教育っぷりもどちらもスゴイとしか言えない。魔国史って1万年以上もあるんだよ?何年間読み聞かせたっていうの!?

 

 ちなみに縄文時代と同じくらいの歴史の長さ。なのに日本の歴史では1、2ページくらいで終了されちゃう可哀想な時代だよね。魔国史なんて1年1ページぞ?ようするに1万年で、、、ガタガタガタ……

 縄文時代に謝れ!と言うべきか、魔国史!縄文時代を見習え!と言うべきか。


 まぁ、前期は魔国史100年分が範囲だったので、良しとしよう

 それよりも、夏休み、夏休みだよー!!



「ねぇゴーちゃん、夏休みってどうするの?なにか予定入ってた?」

「アオちゃん、夏休みも僕と過ごしてくれるの?嬉しいなぁ~」

「……」


「そんなの当たり前じゃない!ゴーちゃんをのけ者にするなんて天罰がくだるよ!!」

「でもルーティエ兄さんに悪いかなって思っていたからさぁ」

「……おい、隣にいるのわかっていながら、フルシカトのまま俺をメンバーから外すなよ!」



 全く…せっかく【兄との思い出プライスレス計画】についてゴーちゃんと話し合おうと思っているのに邪魔してからに。だいたい、誘っても来てくれる方が稀じゃないっ!



「は?キラ君も……?はぁ~まぁ~遊べばいいんじゃないんですかぁ」

「ほら、キラもメンバー入り出来て良かったねぇ~」

「お前なぁ、どこをどう聞いたら誘われたようにとれんだよ!ほんっと嫌味な似た者兄妹だな!」


「えへへ……似てるって~嬉しいね!」

「ふふ。ホント、お揃いだね~」

「お前らクソだな!!」

 


 渋々メンバー入りさせたというのにクソ扱いとは許せんな。小僧、MBA祭の時の私の様に、感想だけ書く係にしたろか!もしくは肉なしの塩にぎりを出してやろうかな……フッフッフ



「アオイさん、ゴーシェ様、キラ様。夏休みのお話ですか?」



 『お姐様』呼びをようやくやめてもらい、呼び捨てでいいと言ったんだけど「恐れ多いので!」と敬称はついたまま。話し掛けてきたのはお馴染み女子’Sメンバーの一人ハニーちゃん。初日以降は人が変わったように真面目なクラスメイトと化している。彼女に一体何が……



「あ、ハニーちゃん!うん、今どうしようかねぇって話そうと思ったところだったの」


「そうなんですね!あの…もしご都合が合えばで結構なんですけど、宜しければ皆様でうちのプライベートビーチに遊びに来ませんか?

 最近シルバー姉様の特集で、海や湖で着用する【MIZUGI】というものが流行っているらしくて。私もつい先日魔族向けのものを購入したんです……」


「へぇ、ハニーんとこの管理している海か。あそこは透明度も高いし、砂浜も<星の砂>だっけ?あれも中々綺麗でいいよな」

「星の砂?星が死んだ後の灰みたいなもの?」



 なにその尊い砂!さすがゴーちゃんだよね。ロマンの欠片もないけど、星の砂も浜辺に落ちてる珊瑚も抜け殻(死骸)となって押し流されてきたものだ。それを人が勝手に素敵変換しているだけ。

 

 それでも変わらず綺麗だな、素敵だなと思う。自然と共に生き、自然の中で死んでいく、儚さの中にある美しさに人は惹かれやすいのかもしれない。byポエマーアオイ



「ゴーちゃんは見た事ないの?」

「浜辺は日差しがキツくて、ほとんど行ったことがないんだ」



「ふぅん、そっか。多分、星の形をした砂…のようなものがあるってことじゃないかな?」

「はい、よくご存じで!我が家の別荘も海の側にありますので、泊りがけで来て頂ければ丸一日、目一杯遊べますよ」


「僕はアオちゃんが行くなら一緒に行くよ?」

「ハニー、俺も行ってもいいか?」

「う~ん。とりあえず前向きな検討の方向で。保護者(ルティ)に確認とってからでもいい?」


「あ…それが一番大切ですよね……」

「うん、そうだね」

「あー…だな」



***



 このお屋敷に来てからは寝る時は各自の部屋で寝るので、この寝る前に設けた、二人だけの時間をとても大切にしているルティ。

 そんな一日の中で最も糖度が増す時間ならば、案外あっさりと許可をくれるかもしれないと思い、話を切り出した。



「と、いうわけなの。行ってもいい?」

「……なにが『と、いうわけ』なのですか?そんなもの駄目に決まっています。アオイのミズギ姿を獣の前に晒せというのですか?却下です、却下!」



 糖度は増していても、油断はしていないようだ……いつもとほぼ変わらない早さでの「却下」



「水着は一番露出が少ないものにして、Tシャツかパーカーを上から羽織っておくから!」

「それを着たまま水に濡れたら、隠された部分が透けて見え隠れするが故に、より一層獣が涎を垂らすことになるではないですか!」



 なんだそのリアルな表現は!?それってほぼ、ルティの妄想じゃないの!



「そんなことないってば!ハニーちゃんだけじゃないよ?イーロちゃん、ホヘットちゃんも誘ってるんだって。みんなスタイル抜群だし、それに比べたら私なんて貧相極まりないし。見るのはルティくらいでしょ?」


「それは当然ですよ。感想を述べるべく、しっかりと観察しますよね」

「そ、そっか……でも残念だなぁ。泊りで別荘って言ってたから、ルティと同室にしてってお願いしておいたんだけど。やっぱり諦めないと駄目かぁ…久しぶりに一緒に寝れるなって思ったんだけど」



 なぜか急に辺りが暗くなり、部屋の中だというのに雨雲のようなものが見えるのはなぜだろうか?そんな疑問を思ったところでバチバチっと電気を帯び――

 ――――…ピシャーン!!!

「きゃあっ!!」


 え?なになにっ!?なんで急に雷が!あれ?見間違いだったのかな?雲がなくなっている……


「で、それはいつですか?」

「え?」


「え?ではなく。行くのでしょう?プライベートビーチでしたよね?それでしたら普通に海へ行くよりも断然安心できる環境ですよね。それにアオイの夏の思い出作りの為ですから」

「ヤッター!!ルティ大好き!ありがとう~」



 『触れ合いが足りない…』と日頃からブツブツ言っていた彼の心理を利用したようで申し訳ないけど、私だって恋人と海へ行くなんてシチュエーションは初めてで、楽しみにしているのだ。それに<別荘>って響きがいいよね!





 ドラマでしか見たことなかった別荘に、どんな所だろうかとワクワクを抑えきれないでいた





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