表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/136

14:素敵な兄と困った兄/ドタバタな昼休憩

㊗10000PV感謝です!!

今週も宜しくお願い致します!



******



 午前の部が早くも終わり、お昼休憩の時間となった。

 

 朝からゴーちゃんの家の料理人さんと一緒に10段の重箱のようなものに、二人からリクエストのあった塩唐揚げ、竜田揚げ、甘い卵焼き、出汁巻卵、オニギリ、ナッツ入りサンド、ドッグパン、サラダ、デザート等々……大量に詰め込んだ特製弁当を用意してある。

 

 アイさんら美魔女ペアには、少しオシャレにバゲットに具を載せたタパスや、小口でも摘まみやすいピンチョス風なものを作ってきたので、小さめの葡萄酒ボトルと共に渡しておいた。



「ナニコレ?めっちゃKawaiiんだけどぉぉ♡」

「手が汚れにくいし、色んなものをちょっとずつ摘まめるっていいわねぇ。へーリオス兄様に教えてあげようかしら?バーで出したらいいと思うわよ」

 


 本日も変わらず商魂逞しいアイさん、その辺はお任せしまーす。



 そして、先ほどの種目でぶっちぎりのMVPであるゴーちゃんを労う為に、私は彼の隣へ移動し、ついでに手も痛めているかもしれないと思い、おかずを取り分けに行った。

 

 ゴーちゃんは自分のリクエストしたもを見つけたのか、キラキラと目を輝かせていた。ちなみに塩唐揚げと出汁巻卵が一番のお気に入りで、少し甘い卵焼きが好きなルティとは好みが違う為、二種類焼いたのだ。



「うわぁ!朝早くから起きて、たくさん作ってくれたんだねぇ。アオちゃんありがとう!どれも美味しそうで、何から食べようか迷っちゃうくらいだよ」


「ううん。私が役立てるところなんて少ないから、せめて体力回復くらいには役立ちたいなって。それにゴーちゃん、手は大丈夫なの?最後にゴーちゃんが頂上の屋根を叩き折って地面につけたから勝てたのは嬉しいけど、それでケガでもしてたらって心配したんだよ」


「そっか、心配かけてごめんね。でも、ほら大丈夫だよ!いつも通り、指先がちょっと冷えているくらいかな。僕……少しはアオちゃんにカッコいいところ見せられた?」



「一位を取りたかったのに、三位でごめんね」と少し眉を下げて謝りつつも、伺うようにそんなことを聞いてくる、無自覚エンジェルブラザーの破壊力ったら……萌えしかない



「少しどころじゃないよ、MVPだよ!すっごく、すっごく、すーーーっごくカッコ良かったよ!!指また冷えてるの?あったかいの飲む?緑茶だけど。あ、指マッサージしてあげるね、午後の部の最初は二人二脚からだもんね」


「ふふふ。MVPかぁ嬉しいな、頑張った甲斐があったよ。アオちゃんのマッサージ気持ちよくて好きだな。いつもありがとう!」


「ううん。でも、考えたら、私あんまり食べ過ぎないようにしないといけないよね……重くなっちゃうし」


「ダメダメ、アオちゃんは食べないと軽すぎて飛んで行っちゃうから、ちゃんと食べないと!食事は基本なんでしょ?」


「やだ、ゴーちゃんやっぱり天使♡飛んじゃうのは翼を持ったゴーちゃんじゃない」


「うぅん……それはどうかなぁ~」



**



 ゴーシェとアオイが兄妹愛を炸裂させていた一方で、二人の斜め向かい側に座っているキラはげんなりと、ルーティエは嫉妬の混ざる眼差しで二人を見ていた…いや、見せつけられていた。

 キラは好物の唐揚げを頬張ってはいたが、中々咀嚼が進まない。



「なぁルーティエ、、先生……オレは何を見せつけられてるんだ?功労賞で弁当の唐揚げわけてくれるっつーから来たけど、口の中が甘ぇ……うげぇっ」


「くっ、大人の男の方がアオイ好みなのはわかりつつも、あの年の差を感じさせない甘酸っぱいカップルみたいな雰囲気は許容できません!アオイの隣は私の指定席なのに……アオイ!もう場所移動のお時間です!私の膝の上が空いておりますよ!!」



 個人競技ではなく、団体のチームプレイだったからこそ、一位を狙えなかった。それでもきちんと最後に自分一人の見せ場を作り上げたゴーシェは、あっさり終わった一位、二位のチームよりもある意味目立っていたと言える。

 普段ほわほわしている割に、その辺りは確実にカーモスの躾けによるものではないかと思う。



「みっともなくてやぁねぇ~ホント。息子を二人も産んだのに、片やチャラ男みたいだし、片やヘタレだし。一体どこで育て方を間違えたのかしらぁ」

「コーディエさんはああ見えて、結構押せ押せだったわよねぇ?」


「そうなのよぉ、私に求婚してきた他の男と決闘して、勝ったその日に押し倒されたわよ。そのワイルドさに私も一気に惚れ込んじゃったんだけどね、んふふ♡」

「はいはい、ゴチソウサマ♡そう言えば、その求婚してきた男って……」


「シェ、シェー!?ア、アイしゃん…!!な、なじぇこんな所に!?もしや私に会いに…?」

「あ。そうそう、こいつ。スチュアートよね?」

「そうねぇ、こんな感じだったかしらねぇ?」


「シェ?シェ?感動のしゃい会(再会)でしゅのに、なんかしょっけ(素っ気)なくないでしゅか?」


「えぇ……どの辺に感動的な場面があったわけ?アイ、あなた感動したの?」

「さぁ?っていうか相変わらずうちの主人に折られた前歯直していないの?持っているのでしょう。その変なしゃべり方も気持ち悪いわ…」



 えっ?なになに~?アイさんとチュチュアートは顔見知り?こいつはスクープの予感がすると私の感が言っている!!ちょっとシートを移動して話を聞きに行こうかな。



「あの、アイさんとチュチュ…いえ、スチュアート学園長先生はお知り合いだったんですか?」

「う~んそうね、ギリギリ知ってはいるからお知り合いではあるわね。主人から見たら恋敵ってところかしらぁ?」


「え!!こ、恋敵……すごい、さすがアイさんですね。と、いうことは、かつて取り合いなんかがあったり、なかったり、やっぱりあったみたいなっ!?」

「やだぁん、Kawaii顔してアオイちゃんってば、結構そういうお話に興味ある系だったのね?」


「はいっ!お話として聞く分には興味深々ですっ!」

「アオイ、母上の話を聞いてもいいですけど、私の膝の上で聞いて下さいっ!まだ私は怒っているんですからね!!」



 ちぇっ、隣から離れたから、またぷんすこしてるよ。仕方ない、早く続きを聞きたいから言うことを聞いておこう



「はいはい、よいしょっと。これでいい?」

「いいです♡」

 


 はい、座ったままバックハグのシートベルトも着用OKです。ちょっとー、私の頭に顔スリスリしてこないで!!髪型が崩れちゃうから!!え?すぐ直す?じゃあいいや



「シェ!これはもしかして、もしかしなくても、ルーティエしぇんしぇいは……アイしゃんの…」

「は???息子ですが?」


「シェーーーーーー!!では、アオイしゃんは……」

「私の近未来の義娘ね。あ、でも例え息子と別れても娘にするけど」

「アイさん……好き♡」

「アオイ、私と別れて娘になる話の方に感動しているわけではないですよね?」


「しょ、しょれで……どことなく威圧の雰囲気が、あの男と似ているなと思ったんでしゅよ」

「そうですか?私はどちらかと言えば母似ではありますが……」


「しょ、しょうでしゅ!その見た目の美しさはアイしゃんに……」

「見た目では瞳以外、父似と言われておりますけど?」


「シェーーー!!ややこしいぃぃぃぃ!!!」



 ルティはアイさん似だと思うなぁ……今も絶対わかってて揶揄ってるよね?っていうか話をしながらも髪型がお団子ヘアに変わってる!スゴッ!!



「シェーシェーうるさいわよ。まともに話せない人とは話すことなんてないわ。愛娘と息子と甥っ子がお世話になっております~。はい、これで話は終了よっ!」


「ア、アイしゃん……歯は、歯はありましゅ、今差しましゅ……」



 二人にいじめられているチュチュアートが段々不憫になってくる。過去に一体どんなことをしたらこんなに嫌われるのだろうか……

 でも、前歯って持ち歩いていたの?ぜひ見てみた……って、えぇーーーー!?



「アイさん、これで宜しいかな?あ、サングラスも外しますか…あなたの美貌の前では眩しくて直視できそうもありませんけど」



 いや、ダレーーー???オドオドした感じも消えるんかい!

 金○先生とタ○リさんはどこいったの?七三分けになっていた髪をサングラスをあげて押え、初めて見る瞳はキラ君と同じ縦長だから竜人族なのかな?目は青…?深緑?光の加減で色が違って見える……すごくカッコよくはあるんだけど、ちょっと軟派な感じになるのが非常に残念。



「ちゃんと話せるのなら初めからそうしなさいよ。それと私の容姿が美しいという、至極当たり前な世辞をどうもありがとう」


「あぁ、そのゴミ屑を見るような眼差し……相変わらず美しい。戦いに敗れてからはゴーシェ君が生まれた時に魔国へ来たのをお見掛けして以来、20年振りだと言うのに……

 あの日の恋心が再び蘇ってしまいそうです♡もう、ペットでもいいので、飼って頂けませんか?あと、これをどうぞ……」


「えー……この黒い枕カバー??みたいなものはなぁに?それとあなた、魔国に来たのを知ってるって、ストーカーじゃない!?」


「いえ、全ては愛のなせる業ですよ。アイさんへの愛に導かれたのです。

 これは私の髪で編みました……♡髪を伸ばしては編んでを繰り返しておりまして、今はマフラーを編んでおります」


「きゃあーー!!ルーティエ……ちょっとこの生ゴミ、焼却処分しちゃってよ。気持ち悪いわ!!」

「いえ……ソレに触れた手でアオイに触れたくないのでお断りですね」


「え、あの、二人共?プレゼントは……うん、まぁかなり気持ち悪いけど、一応チュチュ…スチュアート先生はここの学園長だよ?シルバーさん、どうしたらいいですか?」

「アオイちゃん……彼は土に埋めておけば少しは浄化されるわよ。あ、ラトがタイミングよく戻ってきたじゃない?ラトにやらせましょうよ!」



「おーい!はぁ……やぁっと戻って来れたわー。ルーティエあれはえげつないぞ!兄はぷんぷんだ」



 保健室で寝ていたと思われるラトさんが戻って来たけれど、えげつないってなんだろう?あれか?気付いたら誰もいないし、知り合いもいない中、掛布団すら掛けられてなかったとか?もしくは北枕だったとか?



「兄上、戻って来たところ大変申し訳ないのですが、私と母を助けて欲しいのです」


「は、お前と母上を?一体何があった?」

「この男に母上が言い寄られておりまして……私は一応ここの教師、この男の部下にあたってしまうので手は出せず…どうするか困り果てていたところに、尊敬する兄上が戻ってきた、というわけです」


「え、尊敬……。いやいや、その兄をお前埋めてたじゃねーか!そう何度もだまされねーぞ!」

「チッ」

「おい、お前今、舌打ちしただろ!」



 実の兄の返答に舌打ちで返した、反抗期の弟ルティが、なにやら私に伝えたいことがあるようで、顔を耳に寄せてきた。

 


「ん、ルティなに?うん、うん……えーーまぁ、うんわかったけど、うまくいくかなぁ?」


 ルティからは、耳打ちしてきた作戦を試すように言われたけど、そううまくいくとは思えないんだけどなぁ。まぁやるけどさ



「あ、あの……ラト、、、お兄ちゃん」

「おに…お兄ちゃんって、、、アオイちゃん!?よしよし、どうした?ん、なにかお願いでもあるのかなぁ?抱っこか?お兄ちゃんとお出掛けしたいとか?」



 まさかの効果テキメンの「お兄ちゃん」呼び!でも、選択肢がどれもおかしい



「うん、あのね、お兄ちゃんにもお弁当食べて欲しくてたくさん作ってきたんだけど、このままだと食べてもらう時間がなくなっちゃうから、どうしようって……」


「なんだと!?そりゃあ深刻な事態だな!よし、まだ穴埋めて来てないからお兄ちゃんがこのおっちゃんをお片付けしてきてやるからなっ!妹よ、良い子で待ってなさい!」



 はて、穴ってナニ?ここってゴミは全て埋め立てる系なのかな?



「う、うん。お兄ちゃん、気を付けてね」

「ほわぁぁぁぁぁ!!聞いたか?ルーティエ!妹からの「お兄ちゃん気を付けてね♡」呼び!最高だなっ!行ってきまーす」

「ぐはっ!ア、アイさーーん、下僕でもいいので、アイさーーん……」



 こうして、アイさんの足にへばりついて、蹴られていた学園長先生はラトさんに首根っこを掴まれたままどこかに引きずられ……



「母上……昔はああではなかったと思うのですが、兄上は大丈夫なのですか?真剣に嫁探しをさせた方が良いのではないでしょうか……」

「そうねぇ……それ私も思ったわ」


「ねぇ、これからもラトお兄ちゃん呼びした方が……いい?」

「「「しなくていいわ(です)」」」



 結局食べながら待っていたけど、ラトさんは休憩時間内に間に合わず。あとキラ君が「やけ食いだ」と言って、思った以上にたくさん食べてしまったので、ラトさんの分のお弁当は女子盛サイズ程度にしか残らず……

 

 そして人気の唐揚げも食べ尽くされてしまった為、肉っ気がハムきゅうりサンドくらいしかないという、ちょっと気の毒なお弁当になってしまったのだった。不思議なことに、一応取り分けておいたはずの唐揚げが消えちゃったんだもん。誰が食べたんだろう??




 詰め合わせ弁当はアイさん達に託し、午後の部はゴーちゃんと二人二脚!

 頑張って……落ちないようにするぞー!おー!!





ありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ