表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/136

12:個性豊かな競技にわくわくよりもドキドキが勝る/前半戦① ★



******



「みなさんお待たせしました、いよいよ魔法科と武術科との戦いが始まります……が、私達のクラス目標はなんでしたか?」


「はい!先生!」

「はい、イーロさん」


「はい、アオイさんにケガをさせない、ケガをさせた者には報復を!です」

「よろしい、その上で参加するからには【優勝】を狙いますよ、いいですね?」


「「「はいっ!」」」




「ね、ねぇ、ゴーちゃん?いつからうちのクラスは軍隊みたいになっちゃったの?

 なんか洗脳されてない?」


「えーそうかなぁ?元からこんな感じじゃなかった?優しいクラスメイト達で良かったよね」


「くくっ、特に魔法で洗脳されてはいないみたいだぜ?ただ、放課後何人か集められて、補習と言うには名ばかりの訓練みたいなことはしていたみたいだけどな」


「あ、そう言えば何回か一緒に帰れない日があったけど、訓練してたの!?」


「訓練っていっても悪いことじゃないよ?MBA祭は油断しているとやっぱり大ケガするからね。きちんと専門家から訓練を受けれるなら受けた方が本人の為でもあるよ」


「確かにケガは怖いもんね。ルティ、ちゃんと先生っぽい……すごいなぁ

 あ、ルティが呼んでるみたいだからちょっと行って来るね」


「うん、ここで待ってるね」



***



「……俺は絶対それだけが理由じゃねぇと思うけどなー」


「それ絶対に聞かれないようにしないとキラが困ることになるよ。将来は勝てるかもだけど、今はまだ君の方がルーティエ兄さんには負けるだろ?」


「チッ、ルーティエの奴…やたらと俺を目の敵にしやがって、腹が立つ!絶対兄上達や竜王の親父が何かしたに違いないと思うんだよな」


「あぁ、ラトナラジュ兄さんとルーティエ兄さんは冒険者として魔国を訪れていたことはあるんだったね。何か関りはあるかもしれないね、二人共強いし。でもルーティエ兄さんからのはキラの自業自得だろう?」


「うっせ…あんなのただのジョークじゃねぇか。そういう『天使なお兄さんのゴーちゃん』も随分腕は立つんじゃねーの?このMBA祭ではちょっとは見せてくれんのか?」


「それヤメロって言っただろ?あくまでアオちゃんが言う分には我慢できるけど、君に言われたくないよ」


「フッ。普段、温厚な奴ほど怒らせると怖いって言うよな」

「じゃあ、怒らせなきゃいいだけの話じゃないか」


「試合って熱くなりやすいからなぁ、お前今までは適当にしかやってなかったけど、アオが応援しているんだから、真面目にやるんだろ?くくくっ、本気のお前が見れるのかと思うと楽しみだぜ」


「はぁ……ウザい。しかも君だけが「アオ」って呼び捨てで呼んでいるのも気に食わない」

「ハハハ!本人は別に気にしてねーし。アイツが受け入れてるから、お前も駄目とは言えないんだろ?良い兄を演じるのも大変だな」


「は?演じてないし!ただ、兄として心配しただけだろ」

「ふぅん?兄として、ねぇ……」


「お前いつか潰す!」

「ハハハ!いつでも来いや」



***



≪♪ え~マイクテしゅト(テスト)、マイクテしゅト……開会しぇん()言!学園長のチュチュアートでしゅ。これより、MBA大会を開催しましゅ!みなしゃん、ケガは程ほどに、相手をぶっ潰しゅつもりで……ヤったらんきゃーーーい!!≫


「「「おおおおおおおおおお!!!」」」



 ひぃ!なにこれ?体育祭だよね?格闘技大会に変わった?ぶっ潰すしゅて……可愛く言っても駄目でしょ!ルティに<肘あて・膝あて>まで付けられたけど、これはヘルメットも必要なのでは!?



≪♪ 第1試合は【狩る者恐争】でしゅ、しゅちゅ()場者は早よ出てこいやっ!!≫



 学園長先生は運転で人格変わる人と同じ系統かな……マイク持つと変わるのか?

 せめて活舌も戻ればいいのに……迫力が皆無



「アオちゃーん、狩る者恐争の出場者はこっちだよー。はい、手」

「ゴーちゃん、ありがとう!私ゴーちゃんより先だから、やり方とか間違えないか心配だなぁ」

()り方?アオはそんなん知らなくていいだろ?相手もオマエと下手に戦おうものならケガじゃ済まねぇだろ」


「ん???ルールの話がなんでケガに繋がるのか意味がわからないんだけど?」


「大丈夫だよ、ただ落ちているお題の紙を拾って、中身を確認。うちのクラスで用意できそうなものならすぐにクラステントに行って。でもどうしてもなさそうなものだったら棄権しますって審判に言ったらいいからね」


「わかった、クラスに貢献できるように頑張るね!」

「アオはケガにだけ注意しとけー」



 ふぉぉ……体育祭なんて何十年振りだろう。めちゃくちゃ緊張してきたよ



≪はい、それでは位置についてぇ…よぉぉぉい……かかれぇ!!≫


パァン!

―――ブウォンッ!!!


「ひゃあっ!えーーーみんなものすごい速さじゃない?あんなの無理だよ~」



 まだ私なんて紙のところまで辿り着いていないのに、もう一番に拾った人は【狩る者】を見つけて戦いに挑んでるよーこわっ!



「ふぅ、はぁ……若くても体力はやっぱり落ちてるなぁ、よいしょっと。これでいいかな……」



 ガサガサと封筒の中のお題に目をやる……   




       【変人】




 あ~こいびt……じゃない!へ、へんじん?え、変人?これをクラスメイトから選べと言うの……?

 ゴクリ……棄権を、、、いや、いいのかアオイ?何となく浮かんでいるんでしょ?これしかないって……きっと、彼ならわかってくれる!



「ル、ルティ……?」

 チラリ。


「アオイ!?」



 やっぱり絶対に目が合う位置にいるんですけどぉぉぉ!しかも満面の笑み!

 マズイ……お題は【変人】なんだよって絶対に言えないやつじゃん!こ、これはお題を確認する審判に訴えるしかないのでは?ないのでは?マズイのでは!?


 ばびゅーん!と自らやってきた、狩る者ことルティ。私が連れて行ってゴールするはずなんだけど、なぜかお姫様抱っこされて……またばびゅーん!と飛ぶように走ってゴール。私が狩られたのか?

 

 お題確認→ルティ見る→ゴールまでで30秒くらいじゃないかな……一位でお題を拾った人は、まさかの【学園長先生の前歯】がお題だった為、知らない間に返り討ちにあって、エイド班に運ばれていた。



 そして奇跡的に僅差で一位をもぎとった私……の代わりに走ったルティと共に裁判員もとい、お題確認審判の前に立っている。私は貝になりたい……



「君のお題を貸したまえ……ルーティエ先生を連れているってことは【婚約者】とか【美男子】とかか?ん?恥ずかしがって俯かんでもいいぞ、君たちは公認のカップルなんだからなっ」


「ふふふ。ゴラリ先生、そんな当たり前のことを…おやめください、私の恋人は慎ましいのですから。それに恥ずかしさの限界を迎えると、かえって口を利いてくれなくなるので……その辺でヤメテ頂けますか?」


「お、おうおうおう……では、え~っと【へん…「あの、ゴリラ先生!!」

「アオイ?」

「へ、ゴリラ?俺は『ゴラリ』な。で、どうした?」


「ゴリラ先生……私は平和的解決を望みます!どんなであれ、彼が大好きなことに変わりはありません。ですから、どうか、どうか!!」



 演技じゃないよ!これはバレたらマズイって本能がどんちゃん騒ぎしてるからね。どうせルティが学園中に熟知させるのも時間の問題だろうから、もうそこに乗っかるしかない!



「は、恥ずかしがり屋のアオイが公開告白をするなんて!どうしたのです?おい、ゴリラ!お題にはなんと?」


「いや、だからゴラリな。まぁいいけど……え~…」

「ゴリラ先生!!」

「ゴリラ!早く!」


「あ~……あ、あぁ【恋人】、恋人だ。お題はクリアだっ!」

「きゃーーゴリラ先生!ありがとうございますっ!」

「あ、アオイ、抱き着くのは私にでしょう!!でも初めは「へん」って言ってませんでしたか?」


 ドキーーーッ!!


「そそそそそそんなことないよ!私は【恋人】って書いてあったからルティを見たんだし!ねぇゴリラ先生?」

「は?俺か?ハークッション!!あ~鼻水が~!?チーーン!!おおっと、紙がなくてお前のお題で鼻かんじまったわーすまん、すまん」

「ヤダー、先生ッタラ~アハハ~!さ、ルティ一位のところへ私を連れてって?」


「変な二人ですねぇ……まぁ公開告白を聞けたので良しと致しましょう」



 ふぅ~なんとか羞恥と引き換えに、学園の平和は保たれたはず……ゴリラ先生、武術科の先生だから接点あまりないけど、この御恩は忘れません!



 だけど、なぜかその後のゴーちゃんのお題が【小動物】だったり、キラ君のお題が【最強の女】を引いたのに、なぜか二人共私を迎えに来て……三度も接点を持った



「アオちゃんは子リスちゃんって呼ばれてるもんね?もぐもぐする姿なんてホントに可愛いんだから。こんなに小さくて可愛い生き物は小動物って言えますよね?」とか

「あ?だって、アオに傷つけようものなら、まずルーティエ先生にヤラれ、兄のゴーシェにヤラれ、あと多分、ルーティエ先生の身内をも敵にまわすんだろ?どう考えても最強の女じゃね?」と言われ、お題確認審判も閉口せざるを得なかった。

 まぁ一位に貢献できたようでいいんだけどさ……ははは



 お次のドンタッキー食い協走は、確かにボーン君は一瞬で骨と肉を分けていて、その早さだけなら一位だったけど、一本しかない骨をものすごく大事に食べていたせいで、三位に終わった。オイッ!

 

 急がなきゃと思って一気にお肉を頬張った私は、またもゴーちゃんや、アイさん、シルバーさんに「子リスちゃん♡」と呼ばれ、ただただ恥ずかしかっただけだった。

 

 ちなみにここでも足の遅い私を引っ張る為にボーン君と手を繋いで走るのだけど、彼は心底骨を愛しており、理想の女の子は『骨太で健康そうな子』と言っているので、ルティより触れることを許された数少ない男子の一人に入っている。




 肉食男子のキラ君はぶら下がっているドンタッキーを外すと、ペアの女子、ハニーちゃんに一口(かじ)らせ、その後は骨ごとバリボリと一口で食べあげ、一位でゴールした。骨ごとホントは食べれたんだ……あ、考えたら喉が傷む~!!

 

 ただ、キラ君の「オレは食事と女は残さず全て食べる主義だからな」を名言のように言い放ち、それを聞いて腰が砕けたハニーちゃんが「キラ様…ステキ♡」と言っていたけど、どの辺にトキメキを感じたのかは理解しがたい……

 この辺は性に関してあけっぴろげなところが少々ある魔国の民族的文化なのだろうか

 



 異文化理解って難しいよね






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 待ちに待ったMBA大会。ゴラリなのにゴリラ先生、変が恋…。笑わせてもらいました。アオイちゃんの勘違いや先生のことば遊びが本当におもしろいです。これからも応援しています。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ