9:ALL FOR ONE!!
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女豹に、心の中で手を振りつつ、ルティが言っていた「アピールポイント」が妙に気になりだした。私のアピールポイントについて考えてみる……アピールポイントかぁ……
二度見ならぬ、二度考えしてみる……あれ?
「ハッ!!私のアピールポイントって何?皆よりも小さいし、弱いし、足も遅いし、胸も……普通と思っていたけど、魔国の人が皆スゴ過ぎて霞むを通り越して見えないレベルだし。
どうしよう……なにもない!せいぜい学食のおばちゃんくらいにはなれるかどうかってレベルの腕前しかない、凡人オブ凡人じゃん!」
B-1コンテスト(BUSUじゃなくてBONJINね!!)ならぶっちぎりで優勝できると思う
「はぁ、何を言っているのですかアオイ……学食はともかく、ほとんどがあなたの良いところでしょう?
小さく、か弱いからこそ私が寄り添いやすいのです。あなたが強かったら私の立つ瀬がないではありませんか。足の速さなんて、私が抱えて走れるのですから良いのです。触れ合うチャンスが減ってしまうので、むしろそのままでいて欲しいですね」
「う~ん…うん?触れ合うチャンスとは??それって良いところって言える?」
そこに恋心がなかったら完全に介護じゃない?「いつもありがとねぇ」みたいな。
でもさぁ、男の人って、胸は割と大きい方が好みなんじゃないの?エルフのスタイルは真逆タイプだけど、だからこそっていうのもあるかもしれないし……
「胸なんて…それこそ、ここの者たちと比較する必要すらないのですよ。あんなものには興味もありませんので。
しかし、あなたが「どうしても気になる!」と言うのであれば、私が手ずから大きく育てましょうか?必要あらば喜んでお世話させて頂きますよ」
何の下心もない親切心からですけど?みたいな爽やかな顔して、なにを言っとるんだねチミはっ!!その手は引っ込めて頂けます?
「うん、お世話は不要かな。でも、概ねありがとう……気にしないでおきます。あはは」
「あーハイハイ、ゴチソウサマ……。アオ、お前らはなんも問題なさそうだわ。心配して損したー
でも、ルーティエ先生も恋人である前に教師っすよね?公私混同は控えた方がいんじゃないっすかー?」
あ、やっぱりどこをどう見ても公私混同にしか見えませんよね?もっと言ってやってー!第三者の方が効き目あるかもしれないしね。こんなの学園長先生にバレたら良くないと思うのよ
「キラ君、余計な助言ありがとうございます。ですが、私は教師・護衛・恋人を兼ねておりますし、学園長もそれで良いと……魔法誓約書を書かせてありますからね。なんの問題もございませんよ」
はい、定番のやつ出たー!!魔法誓約書!私の中では、悪魔契約書か何かじゃないかな?と恐れているやつですね。
何回かチラチラ見たけど、字が細かすぎて何が書かれているかもわからない魔法誓約書じゃ、結婚は怖くてできないっての!魔法誓約で縛るくらいなら、せめて愛で縛られる方がマシだよ……あ、いや、これはこれで恐ろしいか。相手がお強いだけに結局どうにもできないじゃない!
男女交際ってこんなに考えなきゃならなかったなんて、私ってば雰囲気に流された?チョロかった?いやいや、ちゃんと彼のことは好き、大好きだし。今もドキドキしてる……恋的な意味だと思う!!多分
それに【教師・護衛・恋人】を一つにまとめたオールインワンセット!?大変お得だよね~。一点ものですよ!!はい、買った!!
そういえば、ルティはさっき「書いてくれた」ではなく「書かせた」って言ってなかった?
チュチュアート先生は無事だろうか?前歯が全抜けしてたらどうしよう……あわわ
この1ミリも交際を隠す気がない教師ってのも、いかがなものかと思うよね?少なくとも日本じゃ考えられない事案だよ。しかも堂々と担任をしているし、授業以外は生徒ではなく恋人として扱っている節がある。
かといって、同じ生徒として入っていたら、多分べったり張り付いていたであろうことも想像つくし……ふぅ。最近ではどちらがいいかっていうのではなく、どちらがマシかで考えているような??
私はこれでいいのだろうか……レスポンス求む。
そんな回想に浸っている間に何かあったのか、目に涙を浮かべたクラスメイトがチラホラと視界に入る
「先生、わたしたち感動しましたっ!
愛する恋人に、泣く泣く罰を与え、それを粛々と受け入れ、耐えたアオイさんに!そして、それでも揺るがない、お二人の固い絆に!!」
「そうです!魔人族は恋人関係であっても、ライトなお付き合いの者が多いですし。まして、自分に非がないのに、誰かをかばうだなんて考えられません!やはりルーティエ先生レベルともなると、選ぶお方もやはり常人とは違うのですね……」
「わたしたちもそんな風に、お互いを想いあえるような恋愛がしてみたいです!」
「俺も……恋人に罰を与えるなんて、きっと先生も辛かったんじゃないかって心配してたんだ。
普通は罰の代わりに「別れる」一択だと思うし。でも、お互いそうしなかったのは、そんなことでは別れないっていう「覚悟」があったからですよね?
なんか、恋愛物の観劇を特等席で見た気分でした!!激アツです」
感動の恋愛映画の試写会を見た後のインタビューばりなことを語りだしたのは、キャンディちゃん。ピンクの綿菓子みたいなふわふわヘアに大量のロリポップピンをつけている。
そして、カラフルな色を一緒に編み込んでいるアミーちゃん、水色の弓髪型のアーチェリーちゃん達ダークエルフ女子。
最後に副クラス委員長を務めている、熱い男でドワーフでも珍しく体格の大きなダンチョ君たちだ
ちなみに背後にいる、本日護衛のゴーシェ君情報です。秘書か執事なの?耳元でボソボソと情報だけ教えに来る人ってやつ
しかし、どういうこと?なんの恋愛映画の話かな?いや、観劇か?
罰と別れる、は同格で相殺されるってこと?まぁルティがそんな選択するわけないだろうし、私ももちろんないけど。
ただ、泣く泣く罰を与えていたか……って言うと、泣いたのは私だけだと思うんだが?
常人とは違うには、うん賛成。異種族恋愛の難しさを痛感してますよ私は!!
「あなた達の心になにか刺さるものがあったのでしたら、私も報われます。
愛する者に罰を与えねばならない苦しさといったら……」
ねぇ、どの辺が苦しんでいたのか言ってみ?結構楽しそうだったよね?嘘泣きしてんじゃねー
「しかし、私レベルに彼女がふさわしいのではないのですよ?彼女レベルにようやく私が並んでいるといったところでしょうか。
彼女を射止めるのに私がどれほど苦労したことか……この恋人という状況も、彼女が希望するからであって、私は今すぐにでも結婚したいと思っているくらいですからね」
苦労は……まぁさせたけどさ、期間は案外あっさりと捕まってしまったイメージなんだけど?もうぐるんぐるんに縛られておりますので、脱出不可能ですよね。
私の意思はせいぜい、今すぐの結婚はしないで恋人期間をきちんと取りたいって部分だけじゃないか?我ながら懸命な判断を下したな、うん。
「私も長い間探し続け、ようやく出会えたのです。あなた達も真面目に生きていれば、命を賭けてもいいほどの相手に出会えるかもしれませんね」
君たちにも幸あれ!ご視聴、ありがとうございました。っておい!恥ずかしいからやめてってば!!
それよりも、委員長のボーン君なんて袖までビショビショにして号泣してるじゃない、なんで!?
「せ、せんせぇ……ズビッ!僕たちも先生が他の授業で不在の時は、みんなで協力してアオイさんを守ります!
昨日の放課後に、みんなで集まって話し合ったんです。もし、アオイさんとまた生きて会えたらそうしようって!人族は転んだだけでも死んでしまうかもしれないし、心配なので」
「あぁ、皆さん……先生は素晴らしい生徒に恵まれて幸せ者ですね」
放っておいたらどんどんハートフルストーリーが進むばかりじゃないか……いよいよ止めに入らねばならんな
「あ、あのぅ……みんなして、ちょっと話がぶっ飛び過ぎているっていうか。そもそも私の意見とかは……あ、聞いちゃいないのね。
いくら弱いって言っても、転んだくらいじゃそう簡単には死なないと思うけどなぁ」
「アオちゃんは甘いよ……」
「ひぃっ!ゴーちゃん、急にしゃべりだしたらびっくりするよ!」
「アオちゃんの転ぶ率の高さっていったら、尋常じゃないよ……
僕らは例え転んでも擦り傷一つつかないと思うけど、アオちゃんなんて、ちょっとトイレ行っただけであれだよ?
僕は人族は弱いって本で学んで知っていたけど、予想を遥かに上回る弱さなんだって考えを改めたよ。だから出歩く時は必ずフォローできる人を連れて歩かないと駄目だよ?お兄ちゃんの言うこと聞けるよね?」
「あ、でも…はい……わかりました」
「言うこと聞けるよね?」の圧が半端なさ過ぎて、YES以外の言葉が紡げずにいる次第。普段優しい人を怒らせると怖い説は、本当だということがわかりました。
「まぁ確かに、アオは転んで受け身損ねたってだけで手首捻って腫れてたくらいだしな。かなり脆い作りかもしれないぜ」
なぜかみんなが「嘘、そのレベルで大怪我を!?」みたいに驚きながらも納得してるし、嘘でしょう!?
「それじゃあ、このクラスの目標は『アオイ君を一人にしない、ケガさせない』に決めよう、みんな!」
「「「賛成~!!!」」」
「ふふふ、素晴らしい団結力のクラスで良かったですね、アオイ」
「えぇ……」
私、普通のモブ学生の学園生活で良かったんだけど……まぁボッチよりはいいと思えばいい、、、のか?ただ、友人ができたというよりも、護衛が増えただけのような気もするんだけど……
二日目にして【アオイを守る会】が発足されたのだった
なんじゃそりゃっ!?
成人しているとはいえ、まだまだ若い彼らは根は素直な良い子達。
人族の成人感覚と魔人族の成人感覚は違っています(中学生くらいを見ている感覚)