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1:良い日旅立ち~大好きな第二の故郷~

最後の方の◇◇◇◇以下はルーティエ(ルティ)一家の会話でアイさん視点です


<重要なお知らせ>

第二章は【18歳に転生したと自覚したアオイ】のアフターストーリーで、第一章とはテイストが変わります。若返ったアオイは学生気分ではっちゃけてます。

第一章とは舞台が違うので、合わない方は第一章でも物語は一度完結はしているので、そのまま読了として下さい。

コメディ度は増しますが、しっとり系もあります。※おばちゃん感は霞ます。

注)第二章はほぼ改稿しておりません



******



 リイルーンへ来てから約半年、今日はいよいよ魔国へと旅立つ朝。

 ルティの家族が見送りに来てくれて、最後に挨拶をするところだ


 

「みなさん、長い間、本当にお世話になり……うぅっアイさ~~ん!!」



 シルバーさんは朝から仕事が入っており、残念だけど見送りの場にはいない。

 そこで昨夜は一緒に夜着会(パジャマパーティー)と称して、シルバーさん、アイさんと一緒に過ごし、川の字で寝た私。

 お別れとなると、やっぱり悲しくて、初めはちょっと強引と思っていたけれど、何かあっても二人に相談すれば何とかなっちゃうような、そんな頼りになるお姉さん二人が今では大好きだ




「あらあら、目が腫れちゃうわよ。

 これでお別れじゃないんだし、ここはもうアオイちゃんの故郷でもあるのよ?

 寂しくなったり、ルーティエとケンカして家出したくなったら、いつでも帰って来なさいね。

 見つからないように匿ってあげるから」


「は……?母上?『寂しく』は理解できますが、どうしてケンカをして家出なんて言葉が出てくるのです?そんなことなどありえませんよ。私達は真実『愛し合う恋人同士』なのですから。ね、アオイ」



 嬉じぃぃぃ~~私にはもう戻れる故郷なんてないから、ここが故郷でいいって……

 受け入れてもらえて、本当に嬉しい~~わぁぁぁん



「わがりまじだぁぁぁぁ~アイさ~ん!大好きでずぅ~!!ズビッ」

「アオイまでっ!?そのようなこと、了承しないで下さい!もうっ、母上に懐きすぎですっ!」



 寂しくてアイさんにへばりついている私をルティは引き剝がしにかかる。

 ヤダー!まだ離れたくないー!!



「うふふ~アオイちゃんと私は一緒にお風呂にも入る仲ですものねぇ~?裸のお付き合いってやつよね!

 あら?あら、あら、あららぁ?今、羨ましそうな顔をしたわよね?やだぁ、()()()ーティエはまだだったのかしらぁ?私よりも独占しているのに不思議ねぇ」



 定期的に受ける、美容マッサージで、いつもすっぽんぽんにひん剥かれてしまうので、アイさんにはもう隠すものもなく……。でも、アイさん達にもお風呂の素晴らしさを理解してもらえて良かったぁ。エルフの里に日本の文化を一つ伝承できたような誇らしい気分だ

 シルバーさんは『ミズギがKawaiiから♡』って理由で、いつも水着着用して入っている為、やはりオネェなのかどうかは未確認だけど、今ではもうシルバーさんは【シルバーさん】というくくりになっている。



「~~なっ!!!誰がヘタレーティエですかっ!!

 私はそんな節操なしじゃないです!アオイのペースに合わせて、私達なりに順調に進んでいるので余計なお世話ですよ。その言い方では、私がアオイの裸を見たがっているみたいじゃないですか!お風呂は二人がコミュニケーションをとる為のツールの一つであって下心なんて……」



 うんうん。髪を洗ってもらってる時だけ、私は見えないけど、視線を感じるような気がする?って思うくらいで未確定だし、基本的にルティは紳士的だ。会話も目を見て話してくれてるしね。いや、むしろ普段よりも視線が動かないといった方がいいのかもしれないけど

 

 逆に髪を洗ってあげている時は、ルティが聞き取り辛い声で話すから、その度に「え、なぁに?」って耳元で言ってあげないと返事もしてくれないんだよね。顔を寄せると、肌と肌が密着しやすいから気を付けているんだけど。

 普段は聴力良すぎるくらいなのに、変だよね?お風呂場って反響するからかな?



「ふぅん?じゃあ、別にミズギを着てまで一緒にお風呂に入る必要ないわよねぇ?アオイちゃん、いつも先に身体を洗ってからわざわざ着替えてあげているんでしょ?

 夜着もそんな真面目で紳士的なルーティエには目の毒でしょうし、もう少し肌を隠すものにする?」


「え、一人で入浴してよかったの?

 水着自体は全部 素敵なんですけど、私にはちょっと刺激的というか、着こなせるとは思えないものもあって……

 あ、でもメェ(アルパカみたいな羊)の毛を混合で編み込まれた、もこもこの夜着は、魔国の冬に活躍しそうで楽しみです!」



 すっかり一緒に入浴するのも慣れて来ていたけど、一人で大の字で入りたいって願望は常にあったりもする。普通よりは大きめサイズだけど、二人で入るとちょうどくらいのサイズなんだよね

 コミュニケーションなんて、むしろ取っていない時の方がないんじゃない?って思うし、プライベート空間って私にもルティにも必要だと思うんだよね



「え?え、アオイ?ちがっ、お風呂は愛し合う恋人達には一番大切にしなければならないコミュニケーションの場ですよね?私の楽しみ…いえ、そんな決してやましい気持ちで私は入っているわけではないのですけど、でも……

 それに夜着も、あのゆったりとした作りはアオイも寝やすくてお気に入りでしたよね?暑いの苦手ですものね?アオイが気に入ったものを着ることが、私は大切だと思いますよ」



 夏のパジャマ?あれ好きだよ~!この世界が女性は足出しちゃダメっていう文化だったら、今頃汗疹ができていると思うよ。冬はもこもこがいいけど、夏は足は出して上は着心地サラサラでゆったりなものがやっぱりいいもんね

 

 でも私、寝相が悪くてお腹がはだけ易いみたいで…お腹を冷やさないようにって、朝になるとだいたいルティの手がお腹を温めているんだよね。ルティも寝てるのに器用だよね。

 でも、今はいいけど、太ったりしたらすぐバレそうで嫌かも!?



「そうなの?コミュニケーションの場って言うなら、ラトお義兄ちゃんも一緒に入りたいなぁ~

 母上、ミズギは男用も当然あるよね?

 最近小さな湖のところでミズギを着て遊んでる女の子達が増えたけど、母上が広めたんでしょ?あれ、最高にイイねっ!きっと魔国なんかでも流行るだろうなぁ

 向こうだとデザインは可愛らしいよりも、セクシー系が好まれそうだよね。リサーチして来ようか?え、いらない?残念、ついて行こうかと思ったのに……

 あ、アオイちゃん安心していいよ?俺は可愛い系が好みだからね!」



 そうか……魔国美女達は、聞いたところによると、露出度高い系で胸もボイーンでお尻もバイーンなのに、くびれはキュッなんだっけ……反則じゃろ。ま、魔性や、、、魔国は美魔女が住む国なんだ

 ルティがそういう方が好みだったらどうしよう……努力では限界があると思うんだけど



「は……?ラト、今までもしつこいと思ったが……ついに自ら消されにくるとは

お前はそのミズギを着た女の子がいる湖とやらに勝手に飛び込んできたらいいだろう?

 アオイが減るからこっちを見るな!想像もするなっ!穢れるっ!」



 ちょ、ちょっと、目を隠されると前が見えないよ~!それにしても、今までもしつこいって何?ほとんど会っていないと思うんだけど??あまりに会わな過ぎて確か【イケメンで、元Sランク冒険者で、次期族長で、ルティのお兄さんで、チャラいイケメン】あ、イケメン被りしてるけど。そんな情報しかないなぁ



「そうね、ラトはダメよ。アオイちゃんが穢れるわ。あなたもうどっか行きなさい」


「えぇ……なにその「あっち行けよ」みたいな。実の息子、兄に対して冷たい仕打ちじゃない?

 アオイちゃーん、慰めて♡」



 えぇ……慰める、ですか?

 それをしたら、きっとルティが烈火の如く怒るのは…すでに隣から感じるピリピリ感で察せるのでお断りの方向で!



「ルーティエ?」

「はい。母上」



 あんなにニコニコ笑顔を絶やさなかったアイさんの表情が一気にスンと冷たい雰囲気に変わった。ただ、ルティは名前を呼ばれただけのはずなのに、長年バディ組んでましたか?の如く、アイさんの考えがわかっているようである。



「え、なになに~?二人共、真面目な顔してどしたん?

 あれ?なんで担がれ…って、おーい、俺どこに連れて行かれるのー?」


 不穏な空気を纏う、息ぴったりな二人に担がれて、ラトさん強制退場。ボンボヤージュ……



「え?ル、ルティ、アイさん?ラトさんとどこへ行っちゃったの……?」



 ミノムシ?ミノムシの刑かな?それとも、熊の寝床にハチミツまぶされて置き去りにされる刑?

 エルフ族のお仕置きは怖いシリーズしかなくて、ルティに「お仕置き」と言われるのも怖くなる。



「アオイさん……少し時間がかかるだろうから、()()と一緒にお茶でも飲んで待っていようか?木の実もたくさんあるよ。食べるかい?」



 まるで何事もなかったかのように、いつもの柔らかい笑顔を浮かべ、お茶に誘うゴーティエさん。できれば「これはよくあることだから気にしなくていいんだよ」くらいは言って欲しい



「え、パパ?えと、、、あ、コーディエさん……お茶、ですね?はい、いただき、ます??」

 


 普段は穏やかに、ニコニコしながら聞き役に徹しているコーディエさんがさっき『パパ』って言ったように聞こえたけど……いや、気のせいだよね?パパって呼ばれたい系?いや、ないよねぇ……

 そもそも、本当に何度も申し上げてますけど、私達は結婚を前提に今付き合ってますが、まだ結婚はしていないんですよね。だからラトさんの「お義兄さん」もコーディエさんへの「パパ」もまだ言う資格はないわけでして……いや、あっても言い辛いけどね




―――ドスッ!バキィ!!ドゴッ!ドゴォォォン……ボチャンッ!!


         シーーーン…―――



 痛そうな音の後に、明らかにどこかに沈められたような音が聞こえたのは気のせいでしょうか?

どこかスッキリとした面持ちで「キレイに片付いたわね♪」と大掃除が終わり、鼻歌でも歌い出しそうなアイさんと、「普段から片付けていても湧いて来るんですよね」とルティ……掃除?Gの駆除?二人は何の話をしているの?



「あら、二人でお茶してたのぉ?待たせてごめんなさいね。

 ラトったら朝から調子悪そうだったのに、見送りはしたいって言うから連れてきたんだけど

 やっぱり具合悪そうだったから、ルーティエに運ぶの手伝ってもらっちゃった♡」


「ええ。兄上は薬を飲むのが苦手ですからね。

 いつも二人掛かりじゃないと飲ませられないのです。ふふ、子供みたいですよね」


「そ、そうなんだ……お大事にね、、、ははは」

 


 飲ませたのは何のお薬なの?って怖くて聞けないし、やっぱりボチャンって気になる……どこに沈めたの?

 ラトさんに次も無事会えますように……!南無南無……



***



「それじゃあ、今度こそ……いってきます…グスッ」


「ええ。身体には気を付けるのよ?あと、たまには身体のお手入れにいらっしゃい。

 あなたは私達の大切な義娘なんですもの……事前連絡なんてなくていいから、いつでも遊びに来てちょうだいね」


「そうだぞ、私も初めて会った日から、もうアオイさんのことは家族だと思っている。なにかあっても、なくても、いつでも帰って来なさい。

 そう言えば……学園には参観日とか親が見に行ける学校行事なんかがなかったか?私や妻、シルバー……まぁラトは最終手段だが、誰かしら見に行けるようにするから、予定表が配られたらルーティエに言って知らせて欲しい」


「やだっ!あなた、たまには良い事言うじゃな~い!好き♡

 そうね、私が行くのもいいわよね?シルもきっと喜ぶわぁ~ついでに魔国に売り込みに行けばいいのよね!キャー楽しみぃ~」



 そっかぁ、学校行事に呼んでも良いんだ!それなら保護者としてご招待できるのか!やったー

コーディエさんの良い提案のお陰で、より前向きに出発できそう!!



「はい、予定がわかったら絶対お知らせします!ぜひ来て下さいね!!」


「アオイ、そろそろ出ないとチャーター竜の時間もありますので……」


「うん、わかった。では、いってきまーす!!」



―――転移(テレポート)



◇◇◇◇



 ほんの1分前までは、あんなにわちゃわちゃしていたのに、二人が転移(テレポート)で移動して一気に場が静かになった



「……行っちゃったわねぇ」

「なんだ、もう寂しくなったのかい?」


「だって、本当に娘のように思っていたのよ?寂しいに決まっているわ」

「そうだな。私も、木の実を頬張るあの子が可愛くて、つい、あの子の近くにそれとなく木の実を置いてしまう癖がついてしまったよ」



 あの子は好きなものやチマチマしたサイズのものは口一杯に入れる癖があって、本人は気付いていないようだけど、もっきゅもっきゅとした食べ方が子リスのようにしか見えなくて、とても可愛い。

 

 あの子を招く時に、絶対に食事も一緒にとるようにしていたのも、それを見たいが為でもある。ちなみに飲み物すらも一度たっぷり口に含んでから、なぜか液体を噛みながら何回かに分けて飲み込んでいるので、同様に面白い。



 なにより、<探しもの>を見つけて戻って来た息子の心底幸せそうな顔を見れたことは……(少し引いたけが)親としてはとても嬉しかった



「あれはシルもお気に入りなのよね。子リスちゃんみたいよね、ホント」

「あの子はルーティエに幸せをもたらしただけではなく、私達にも幸せをわけてくれたな」


「ええ、お陰で毎日が楽しくて仕方がなかったわ。あれから下着には特に力を入れているのよ!」

「あぁ、あれは素晴らしい。

 魅力的なお前が、さらに魅力的になってしまったせいで、目を逸らせなくて困っている」


「あら、それは困ったわね?」

「フッ、仕事も手に着かないんだ」



 うふふ。私の愛しい困ったさんは今日も私を求めてくる。

 ルーティエもきっと彼に似て一途なタイプだと思うから、アオイちゃんも心配する必要ないのだけど。でも、そこは息子に頑張ってもらわないとね



 コン、コン、コン!!



「……はいはいはーい!仲の良い夫婦は結構ですけどね、息子を湖に沈めたまま放置するの、やめてもらえませんか?ぺっぺっ!口の中に藻が入ったわっ

 釣り糸に引っかかって、タモで引き揚げられた俺のプライドはズタズタだよっ!こうなったら本当に「お兄ちゃん♡」って呼んでもらえるように妹を作ってよ。

 俺、今は可愛い妹ブームなんだよ。あっでもエルフ族だと美形な妹しか生まれないかぁ……

やっぱりアオイちゃんに『お義兄ちゃん♡』って呼んでもらえるようにお願いした方が早いかな?ねぇ、どう思う?」



「そうね。そう遠くない未来に我が家の長男が消されるかもしれない未来が見えるわね」

「……そうだな。むしろ、消される前提で、もう一人息子を作った方が良いのかもしれんな」


「ラト……根は悪い子じゃないんだけどね、残念だわ」

「仕方がないさ……君は悪くない」



 おかしいわね……湖の底に頭でも打ち付けたのかしら?まともに戻るかと思ったら、より一層酷くなったような??この子にも幸せになってもらいたいのだけど……過去の恋愛を引きずっているのかしら

まぁ、本人が誰にも語らないのだから、深くは知り得ないのだけど



「え、なにそれ?なんで義妹に『お義兄ちゃん』呼びしてもらうだけで、俺消されるの?酷くない?

 父上なんて『パパ』って言ってたよね?聞こえてたぞ!密かに憧れてんじゃん!おーい無視しないでよー!俺だって仲間外れにされたらいじけちゃうぞ~」



「ほら、ミズギあげるから、濡れているついでに可愛い彼女でもなんでも見つけてらっしゃい」



 とりあえず男性用の試作ミズギをポイっと息子へ渡して、さっさと出て行ってもらおうかしら。ダーリンが拗ねちゃうわ



***

 


 湖から上がってみれば、もう弟達はいなくなっているし、両親には邪険にされて、頭にミズギを乗せている俺。こういうファッションではない

 おしどり夫婦としても有名な両親、そして今幸せの絶頂にいる弟。ルーティエ、あえて言わせてもらうけど兄の方が先じゃね!?




「ハァ、俺も妹系の可愛い女の子を探す旅に出ようかな……誰かに俺を慰めて欲しいよ」

 







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