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10:ミスター&ミス魔国学園

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******



 整理券をGETできなかった、主に女子の面々からの嘆願書及び学園長室への直談判により、急遽例年はあったという、ミスター&ミス魔国学園が開催される運びとなった。


 もちろん我がクラスからは要望多数だった、キラ君とボーン君をミスター魔国学園にエントリーさせることに。ちなみに(わたし)は勝手に(ゴーちゃん)のエントリーをしています。ルティは怒るので出ません


 正直キラ君はともかく、ボーン君にモテたい願望はないのだけど、ドンタッキーの骨をご馳走する約束と、『もしかして運命の骨の持ち主に出会う確率も高まるんじゃない?』という、ぶっちゃけ適当に投げた言葉に少し考えた後『骨女(ほねじょ)との出会いか……』と満更でもない反応を示し、了承を得た。骨女って!?



******



 午後になり、各クラスの活動時間は片付け以外は終了となったが、無理矢理入れ込んだ、最後のステージイベントの<ミス&ミスター魔国学園>が始まった



「ルティ、いよいよ次はミスター魔国学園が始まるね!ルティも出たら良かったのに!」

「嫌です。どうしてアオイ以外から注目されなくてはならないのです?私があそこに出て騒がれたとして、アオイは全くヤキモチの一つも焼かないのですか?私がアオイにエントリーしないように言ったのは、そうなっては困るからですよ?」


「う~ん、私はまぁありえんけど、ルティが女豹みたいな人達の餌食になるのは……嫌だなぁ」

「『気にしない』と言われたらどうしようかと思いました……ですから、愛し合う恋人同士はわざわざこんな茶番に出る必要はないのですよ」



 それもそうだよね。自分に相当自信があるか、恋人募集中って人が出た方がいいよね。何より盛り上がるし!



≪♪さぁ、お待たせ致しましたぁ!お次はミスター魔国学園エントリーメンバーの登場です!みなさま拍手をお願いいたします!!≫



 直前になって、妹からの裏切り(勝手にエントリー)にあったゴーちゃんの表情と言ったら筆舌に尽くし難く……まさかここまで嫌がるとは思っていなかったので、後ほど土下座に行く所存です。

 久々のオカンティにも『ゴーシェの優しさにつけ込み過ぎですよ!』と注意されました。めんご。


 手拍子で入場し、次々と個性的なイケメン集団が並び始めていたけど、その中でもひと際黄色い声援が飛び交っていたのが、キラ君、ボーン君、ゴーちゃんのF3だ。あ、F3は『腐女子が喜ぶ三人』の略です。

 そう考えると我がクラスのイケメンレベルすごく高い……三人でアイドルやらないかな。まぁ怒られるな



 キラ君は自分に自信持ちすぎ男子なのでドヤって立ってるし、ボーン君はメガネを頭に掛けているせいでやはりよく見えないのか、キラ君の肩に掴まっていて、うまいことモデルのポーズのようになっている。

 焦点が合わないのにキョロキョロするせいで『今、私のこと見た!!』『目が合った!!』とたくさんの女子たちに夢を見せている。無自覚アイドル、素晴らしい

 

 そして心配していたゴーちゃんは……ちょっと怒ってる。涙目で頬をぷくぅっと膨らませて怒っている……ゴーちゃん、それ逆効果……先輩女子が「やだ、あの子拗ねてる!可愛い♡」「お姉さんがヨシヨシしてあげたぁい♡」と別方向のハートを掴んでしまっている。

 かくいう私も瞬きシャッターは連射中!!パシャパシャパシャ……


 ちなみに三人共コスプレのまま参加しているので、抜群に目立っていた。萌えの集合体に合掌!

ただし、投票は開始前からゴーちゃん一択なので、ルティにもゴーちゃんに投票するよう言ってある。ふっふっふ、身内票は確保済だ

 

 でも、周りが話しているゴーちゃんの印象を聞いていると、ゴーちゃんは真顔か、目線を合わせないことが多い。カッコいいけど、手が届かない、告白はしても付き合ってなんて言えない、みたいな人らしい……は?あんなにいつもニコニコしている天使が!?まぁ最近(わたし)の影響か、無自覚に毒づく時もあるが

 

 今ステージ上にいるゴーちゃんが余りにも拗ねてる感が満載で、普段とのギャップにファンをざわつかせているようだ(もちろんいい意味で)


 実際、彼は拗ねてはいるけれど名前を呼んで手を振れば、小さくフリフリ返してくれている。ですからその無自覚に小さい御手振り……似合っちゃうからヤメテ!!三人は倒れたよ!!



≪♪ええ~それでは、順番にアピールタ~イム!!ご自分の自慢できるところや、趣味、好みのタイプなどなんでもご自由にどうぞっ!!≫



「あー…キラです。柔らかめの女子募集中です。とりあえず誠実なお付き合いを目指したいです」

「ひゅう~嘘こけ~!!じゃなかった、カッコいい、ふぅ~!」

「アオイはキラをエントリーさせておきながら、応援する気はゼロなんですね。素晴らしい」



 いやいや、応援してるんだけど、口が勝手におちょくっちゃうと言いますか……。でも、本当に誠実なお付き合いをするなら応援するぜ、心友!!



「ぼ、ぼぼぼ、ぼくはボーンです。あの、あ、あの……骨が好きで、一日中眺めていられます。骨太な女子が好きです。一緒に骨を食べるでも、骨付き肉好きでもいいです!!宜しくお願いしますっ!」



 周りがボーン君の登場に『きゃー!!』となり、アピールタイムで『きゃ…え…骨太?』ってキョトン顔になってる。どうだろう、このあとのミス魔国学園の中に、誰か骨太はおらんかね!?

 

 完全に言っていることは不審者だけど、なまじ顔が良すぎる為、みんな手首の骨の太さとか見ている。これは案外本当に見つかるかもしれないね!



 そしてついにゴーちゃんだ!!相変わらず拗ね顔は変わらないけど、一応何か話してくれそうだ。ワクワク!!



「えっと……僕はコンテストには出る気はなかったんですけど、妹がエントリーしちゃったので…」


 まさしく不本意なる参加だと言いつつも、アピールがおかしな方向に向いていく


「妹と言うのは、あそこにいる小リスのように可愛い妹で、太陽のように明るく笑う――」



 やだ、ゴーちゃんマイク使ってまで、シスコンぶりを発揮しなくても……



「――妄想大好きな面白い女の子です」



 うぉぉぉい!ゴーちゃん、これは素なの?それとも新手の仕返し?妹にデレてると見せかけて、最後に妄想大好き女のレッテルを落とし込んでくるとは。なんか、こちらを確認してくる人の視線が生温かい……どうも、妄想女子でーす☆



「これからも妹を宜しくお願いします。でも、虐める人には…容赦はしません」



 そしてハートウォーミングな話から一気に突き落とすなぁ。夜露死苦からの、かかって来いやぁ!みたいな。

 そんでもって全く自分のアピールしてないから!



 結局、ゴーちゃんの自己アピールでわかったのは『シスコン・妹虐めたやつは、いてこま(ボッコボコに)される』と言うことだけだった。



 それじゃあ、彼女できないよーゴーちゃん!!




 男子のアピールタイムが全て終わり、今度は女子のミス魔国学園のアピールタイムが始まった。我がクラスからはハニーちゃん、キャンディちゃんが自主エントリーしていた。

 よく見たらこれは……キラ君を慕う二人のバッチバチのバトルじゃないのか!?



「なんてこと……一体私はどちらを応援したらいいのだろうか。ねぇルティ、一人ずつ投票することにしない?私がハニーちゃんで、ルティがキャンディちゃんとか」

「……アオイ、それは私に浮気するよう誘導をしているのですか?」

「は?浮気の誘導、とは?」



 ん?一票ずつになるように協力してくれないかと言ったら浮気の誘導になるの?なぜよ?もの凄く心外と言わんばかりに彼は溜息を一つ吐き、あからさまな不満顔を見せる



「誘導でしょう?これであなたの言う通りどちらかに投票して、私がアオイ以外の女性の名前を書くとしますよ?出席確認や授業、学校行事以外で他の女性の名前を書いたものが何らかの形で見つかった時に『ルーティエに二心あり』と、まことしやかに囁かれるのですよ」

「いや、誰に!?」



 そもそもルティなら、そんなもの自分で見つけ出して焼却まで済ませそうなものじゃない?ラブレターじゃあるまいし、ただの名前だけ見て『ナニコレ浮気!?』ってならんよね。



「よもや、その筆跡を真似て私が恋文を書いたと錯乱させようと思う者もいないとも限りませんよ?私にとってアオイは強みでもありますが、同時に弱みでもありますので……」

「う~ん、そっちの陰謀ってことか。まぁそこまで恐れているなら無理にはしなくていいよ、なんかごめん」



 そもそも、今日なんてずっと…ずーっとくっついてるんだから、隙なんてどこにもありゃあしないんだけどね。トイレくらいはと思えど、そのトイレで騙した前科がある為、私に拒否権はない。



「でも、もしそういうことがあっても、私はルティに直接確認するようにするし、ルティも私に必ず聞いてね?」

「もちろん、真っ先に真偽の確認をさせて頂きますよ」


 

 しかし、やはり女子は逞しいなぁ。フィーリングカップルは取り消されたと言うのに、しっかり『好みの男性は竜人族男子です』とか『琥珀色が好きな色です』とか……琥珀色が一番好きな色として言う人初めて出会ったよ。いやぁニヤニヤが止まらんなぁ、キラ君。ひゅう~

 

 まぁ、ワイルドさはあるか確かに。それに一応王子キャラだし、良い奴でもある。ツッコミが秀逸だし、友情に飢えたトカゲだ。ただなぁ~生殖本能が如何(いかん)せん活発でいらっしゃるからねぇ。これで全てを台無しにしていると人族代表Aさんは思うわけですよ。


 それでも、ハニーちゃんやキャンディちゃんはそれもわかっていて好きみたいだし、もしかしたら竜王様みたいに二人共娶っちゃうかもしれないもんね。それならそれでいいのかな。でも私は……



「アオイ、他の男のことを考えておりませんか?浮気ですよ、浮気!」

「もう!確かにキラ君について考えたけど、それでも私はやっぱりルティが好きだなぁって思ったのに浮気だなんて酷いよ」


「本当に?アオイにはやはり私ですか?」

「当たり前でしょ?その軍服ケモミミだってどれだけキュンキュンきていることか……雰囲気が合い過ぎて怖いくらいだけど、それ以上に抜群に似合ってて今日はずっと惚れ惚れして見てるのに!」



 おお!中々に高速な耳ピコピコだな。喜んでる、喜んでる!いつも自信満々で【愛し合っている恋人同士】って言っているのに、あれはお呪いのようなものなのかな?



「やはり、いつもよりも視線を感じると思ったのは、ただ一緒にくっついていたからではなく、本当に見惚れていてくれたのですね?とても嬉しいです、あぁアオイ口づけしたい……」

「ストップ!ダメだって!!ここにどれだけ人がいると思っているの?そ、そういうのは…あとで、あとでだよ!!」



 あっぶな!!もはや彼はここが学園内ということを忘れているのではないか?とりあえず踏みとどまってくれて良かったぁ~。この際顔をスリスリされているのは仕方ないから受け入れておこう



 傍から見たら十分イチャついていた私達を尻目に、女子の部のアピールタイムも終わっていた。クラスメイト以外では、ドワ女の女の子が『好きな色は……ふわふわな白です』と言っていたけど、『ふわふわ』がついた色はおそらく白200色の中にも存在はしない。

 しかしながら私の勘によれば、それはエンジェルブラザーのことではないのか?と容易に想像できた。



 見た雰囲気では多少筋肉質な感じはするものの、ドワーフの特徴とも言えるが、背も私より低く、可愛らしい感じの女子だった。

 ゴーちゃんは現状の身体の線の細さと、身長を気にしているみたいだから、案外小さくて可愛らしいのは彼の好みに当てはまるのでは?と今後に期待する

 もしかすると、結果発表では男女共にステージに『ハ』の字に並ぶから、目と目があってトゥンク的なこともあるかもしれない……



***



 いよいよ投票を終えて結果発表を待つのみになった。

 三位から順に発表されるけど、結果はある程度は予想通りだった。でも、シスコンぶりをかましていたゴーちゃんが二位に入ってくれるとは……


 理由としては真顔しか見れなかった彼の様々な表情を見れたこと、シスコンもただの妹想いとみなされ、かえって冷たいイメージが取れたらしい。なるほど!今後もその方向で行こう!!


 ただ、期待の大型新人ボーン君はぶっちぎりの一位で、二位との差もかなりあったとか…ちょっと悔しい。キラ君もまぁ順当だけど、本人的には若干納得がいっていないようで、王子スマイルの仮面は被っているが、私にはわかる。お前、悔しいんだな?

 胸は貸せないけど、傘は貸してやるぜ?心の中は雨模様だろ。なんつって





 ちなみに<女子の部>は…

 一位 ハニーちゃん

 二位 キャンディちゃん

 三位 ドワ女さん



 優勝コメントで「この喜びを誰に伝えたいですか?」に対して「誠実な人に付き合って下さいと伝えたいです♡」と、力技でミス部門の女子らはフィーリングカップルを作り上げていた。




 魔国女子強い!!



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