1:プロローグ
うっかりでも作品を読んで下さる方に感謝を!
生まれて初めての作品になります。ずっとコミックス派で、小説は昨年から読み始めた新参中の新参です。運転免許なら、教習所に申し込みをしたレベルです。
拙い文章や誤字脱字等あるかと思いますが、初心者を見守る広い心でお願い致します。
設定の甘さやご都合主義が目立つとは思いますが、ゆるっと読んで頂ければと思います
(あくまで創作なので……)
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――…て ―…きて
ん……私を呼ぶのは誰?
『起きて……ねぇ、早く起きなさいってばっ!!』
「あっ!はいぃぃ!すみません、寝過ごしましたーーーーっ!!って、えぇっ!?ここはどこ?私は誰?まぎれもなく私のようだけど、何も、ない……??」
すみませーん、ここはどこですかぁ?何で私寝てたんだっけ??
そうだ!ショッピングモールのガラポンで特賞の海外旅行が当たって、今は飛行機に乗っていたはず――
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私、立花 葵は、現在【職なし・家なし・運もなし】なんなら素敵な男性もいない、アラフィフ独身女ですが……なにか?悪口なら私のいないところで願いたい。
ああ、昔からなにかと妙にツイていない人生……
何もないところで転ぶのは日常茶飯事、内股気味なのかな?
お陰で受け身はうまくなりました。そっち極める方が早かったので
車を避ければ溝にハマる。まぁ、犬も歩けば、猿も木から理論と同じ…ではないね
替えの靴下と畳める予備靴はいつもカバンに入ってます。備えあればなんとやらってね
傘は大抵取り違えられて、残っているのはボロボロの傘。『ボチ、お前も一人なのかい?』なんて話掛けたりしてね。当然、ボッチ傘はなんも答えないけど
折り畳み傘に替えて持ち歩くようにしました。ボロでも人の傘だからね
ナンパだったけど、人生初の彼氏ができたと思ったら、お付き合い初日に勧誘だったり、怪しい物を売りつけられる。
ある意味、憑いてるんじゃないかな?『NO』が言える日本人なのでお断りし、円満に破局しました。交際0日破局!これって、付き合ったカウントは入れていいのかな?愛はなく、闇しかなかったからノーカンですかね
友人はちゃんといたけど、出来の良い子が多く、ワールドワイドに海外留学してそのまま就職したり、どえらい企業の若手社長に秘書として入社したら見初められて、とか。幸せにやっていることは喜ばしいので、不幸を望むことはもちろんないけど、人並みには羨ましい……人間だもの
こんな青春時代だったので、成人を迎えた頃に私は悟ったんですよ『よし、徳を積もう!』と。
【ゴミを見掛けたら拾う、困っている人には手を差し伸べる、不運も笑顔で乗り切ろう!】笑う門には福来る!見かたが変われば世界も変わる!!
こうやって日々徳を積んでいけば、きっと晩年は穏やかに過ごせて、ピンピンぽっくりに逝けるかもしれないなってね。
私なりに、この人生の目標通り、地味に徳を積んできたつもりです。
お陰で近所のおじいちゃん、おばあちゃんや、会社の同僚なんかには恵まれ、お裾分けし合ったり、仕事をフォローし合ったりと、いい関係は気付けている、と思う。
この私の徳積みも、ようやく実を結んだと思ったのが<ガラポンの特賞!>
微妙に2枚足りなかった補助券、しかもガラポン最終日という、これまた微妙にツイてないなと思っていたら、ご近所さんが『補助券2枚余ったから』と恵んで下さった!まさにこれがマンパワーなんじゃないかな?違うけど。
いやぁ、黄金の玉に興奮したなぁ。ガラポン受付のおばさんと握手して、記念に写真撮ったりもしました。
海外旅行初めてだし?乗り遅れたりしないように空港近くのホテルに前泊までして、手荷物検査も終わって、さぁ後は乗るだけ!
……と、おそらくここまでが人生の絶頂期だったみたい。
まず、住んでいたアパートが、下の階の住人の火の不始末により全焼。はい、頭は真っ白
同僚からは、勤めていた会社が『経営不振により倒産しました』と張り紙だけ貼ってあって、社内はもぬけの殻状態だったと連絡。どうりで休みを快く取らせてくれるはずだよね!笑える~
なんか、もうプツンときちゃって……何もかも嫌になっちゃった私は、そのまま後先のことは知らんとばかりに飛行機に乗ってやりました!
だって、私が何したってんだ!!って。もう好きに生きてやろう!とやさぐれもしたくなるっての。海外に高飛び、おさらばしたるわ!
機内サービスのアルコールをがぶっと飲んで、ふて寝しましたよ。チクショウ!
で、確かに『おさらばしたる』とか思ったけどさ、ああいうのって、その場の勢いってやつじゃん?とはいえ、ここにはお花畑も三途の川もないけど、この真っ白空間って
なに?
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『ふぅ、やっと起きてくれたわねぇ、良かった良かった。
危うくこのまま説明なしで転生させちゃうところだったわぁ』
「え?今転生と聞こえたんですが……というか、この真っ白空間と……
そのもしかして神様、ですか?姿も見えなくて、ちょっと怖いのですが……」
『はいはい、神様は正解だけど、後の事情は丸っとスルーさせてもらうわね』
え―――――発言権はない感じですかね?
『そうね、今は時間がないから簡単に説明するわね。ちなみに心の声も聞こえてますから』
そうみたいですね。了解しました。。。。とりあえずコクンと頷いておく。あとは視線をどこにするか問題は……うん、伏目でいいよね。
『よろしい。とりあえず話し終わるまでは質問は待ってね。
では、アテンションプリ~ズ♪ふふふ、これちょっと言ってみたかったのぉ♪立花 葵さん、あなたは飛行機事故で亡くなりました
それで、あなたの走馬灯をちょっと見たんだけど、びっくりするほど運悪くない?』
えっ?寝ていたとは思うけど、事故にすら気付かず死んだの!?確かに熟睡度はかなりのものだと自負してるけど、さすがに墜落とかしたら気付かないか?自分……
『そんなあなたの魂を担当した部下がね、「これじゃあ、あんまり過ぎて魂連れていけないっスよ」なんて言って、勝手に魂を私の元に引っ張ってきてしまって……もう、困っちゃうんだけど、戻る体もないしねぇ。
それで私も一緒に走馬灯録画を見たけど、久々に目から汗が出ちゃったわよ~』
さっき、私がベラベラと話していたつもりの自己紹介は、もしかして走馬灯録画ってやつなのかな……生配信ではなく、録画。微妙だけど、いちいち生配信では見ていられないよね。きっと忙しいのだろう、そう思う方が楽だ
『今まで結構あなたは徳を積んできたでしょ?ちゃんと知ってるのよぉ、だって、神だからねっ!
で、全っっっっっっく還元されてなかったから、お詫びをしようかと思って。忘れていたとも言うけど…もにょもにょ
じゃないと神への信仰心が減っちゃうのよね。たくさんの【神いいねb】ボタン押してもらいたいじゃない?これがないと神でも消滅しちゃうのよ、びっくりでしょ?』
【神いいねb】ボタンって何!?まさか信仰心にそんなポイントのような仕組みあったとは……
「でも、死んだと言われても、全く事故の記憶がないんですけど……何かの間違いとかでは……?」
『それね。さすがに恐怖シーンを思い出させるのも可哀想かなって。その部分の記憶は消してあるわ。優しいでしょ?ほら、ここで【神いいねb】を押すのよぉ~
って、あらごめんなさぁい。中々あなたが目覚めなかったから、残り時間が少ないのよね。続き、いい?』
「あ、すみません……続きをお願いします」
まだ理解は全く出来ていないけれど、どうやら時間がないこと、それ以上に聞いておかなければならないことがあるようなので、とりあえず黙る。
『ごめんなさいね。あなたに提案したいのは、私の管轄に地球にほんのり……いえ、だいぶ?テイストを似せた世界があってね。そこであれば転生させてあげられるって話なの。
そこには人族の他にも獣人族、エルフ族、ダークエルフ、ドワーフ、竜人なんかの魔人族もいてね。今のところ争いとかも起きてないし、平和を保っているわ。あっでも代わりに魔獣はいるけど』
地球で言うところの「害獣」みたいな枠だろうか?でも戦争ないのは大きいよね
『それで、あなた魔法のある世界、興味あるでしょう?そういう本を読んでいたものね?実は私も隠れファンで、そういう要素も混ぜたっていうか……今なら選べる転生特典なんかもつけちゃうわよ!お得よね?』
「え……魔法がある世界に獣人……モフモフ!?それに選べる特典……ちょっと興味ある、いや、だいぶ興味あります!っていうか神様もラノベとか読むんですね!」
『まぁ、神様にも娯楽くらい欲しいわよぉ
じゃあ、いいわね!それで残り30分程しかここには留まれないから、なるはやで、且つしっかり考えて決めてちょうだいね!はい、どうぞ!!』
「30分!?みじかっ!え―――――っどうしよう……
元の世界のこととか知りたかったのに、30分じゃ無理だよ。
これから転生することの方を考えないと駄目だよねぇ……何が良いのか……」
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『ねぇ……まだなの?時間オーバーになるわよ?いいの?』
うわぁぁぁ!優柔不断が仇となって残り10分しかないですとっ!?
もう涙目だよ!やばいよっ!
「えっと……あぁ……言語理解!!聞く、話す、読むだけでなく書けるようにもお願いします!もう今更、書き方まで覚えるとか無理だと思うので……」
あとは……あと、、、。
『はい。終~了~!ちょっと時間かかり過ぎてるから、あとは私がうまくちょちょいと入れ込んでおくわ!
とりあえず、あなたのこれまで積んできた徳は、キチンと運気UPして利息つきで還元しておくし、魔法も…そうね、あなたは生活魔法とあとは適当に防御系特化でいいかしらね?あなたの思考から予測したもの入れとくわね』
えぇ?!選べる特典だったのでは?これって、やるやる詐欺の類…ではないですね、ないです。思ってもいません!
『あっそれから魔力循環・操作のやり方とか、この世界の説明なんかは、うまいこと現地の人に習ってちょうだいね!』
えっ嘘!?ここでは習えないの?どうしよどうしよどうしよ……
『はい、深呼吸!あれよ、ギルドの近くに送るから、そこで依頼して習って。あなたが持っていた貯金を異世界マネーに換金して持たせてあげるから!
これ以上は干渉できないわ。これでも限りなくレッドカードに近いギリギリイエローかなってレベルの干渉なんだから』
「すぅ~はぁ~……でも不安ですよー神様~!」
縋りつくところないっていうか見えもしないけど、縋りつく勢いで、もう少し延長できないかなと懇願してみる。はい、やっぱりダメでしたぁ!!
『そうだ!あなた、なるべく早く異世界に馴染みなさいね。
あとは、もっと自信を持って胸張って生きなさい、あなたも愛されるべき人間なんだから。あなたが諦めてしまうと、魂も定着しなくなっちゃうからね?
ああもうっ!ホントにタイムアウトだわ!じゃあ頑張って、今度こそ異世界で良い人見つけて幸せゲットよ!エンジョイしなさいエンジョイ』
「え、魂の定着って言いました?何それ!」
それってかなり重要なのでは!?詳細説明希望!
『え~それでは、当機はまもなくダーン国ミトパイに着陸致します。
現在の時刻は午前8時30分、気温は摂氏20度でございます。
安全の為、ベルトサインが消えるまでお座りのままお待ちください。
ご利用ありがとうございました……
あなたの人生の旅路に幸多からんことをお祈りしております♪』
「え、嘘!あっちょっと待っ……」
魂定着しないとどうなっちゃうの~!!これって説明必須のものじゃないんですか!?
真っ白な世界から急に渦に飲まれたような感覚―――私の意識はそこで途絶えた
――…ピコン♪
【神いいねb】
長めのプロローグを読んで下さり、ありがとうございました。