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教国の護衛

 コンスタン司教がかねてから依頼していた教会本部への護衛要員の派遣。ずっと音沙汰が無く仕方なく王国からの出向騎士を受け入れて体制を整えていたが、急に要請が受け入れられ派遣するとの連絡があった。

 本日はその着任予定の修道士達が来るという。朝からオリンポス教会王国支部では受け入れの準備を進めていた。


「ミツキ様、本日は午後から新しい護衛との顔合わせがあります。腕利きの武闘修道士をと頼んでおりましたので、今後は更にご安心いただけるかと。なので本日の公爵家での教育はお休みですな。」


「はい、司教様。シャーリーさん達に会えないのは残念だけど…新しい護衛の人に会えるのも楽しみです!」


 ミツキへの公爵家での教育は続いていた。シャーリーやセルヴァンの尽力により所作については大分ましになってきたのだが、会話についてはもう一歩、進みが遅い。

 今は日頃から親しく接しているコンスタン司教相手なので仕方ないのかもしれないが、公式の場では大丈夫…のはずだ。


 しばらく待っていると入口の方が騒がしくなり、本国から到着した一行が姿を現した。


「コンスタン司教、ただいま本国よりアマート、ビアンカ、カレロ、以上三名到着いたしました。」


 そこには男性二名、女性一名の計三人が立っていた。共に修道士の格好をしているが、身につけている衣服は動きやすそうな作りをしていて、皆鍛えているであろう事も服の上から伺えた。三名とも武闘修道士で間違いないだろう。


「おお、遠路はるばるご苦労であった。疲れているところであるが、まずは食堂室に来てもらえるか。聖女様と皆との顔合わせを行おう。」


 三名の修道士は黙って頷き、食堂室へと入っていった。


「改めて紹介しよう。こちらがウェストフラン王国に新たに誕生した聖女のミツキ様だ。ミツキ様、本国から派遣された武闘修道士の三名です。今まではエルザ様と他の掛け持ちメンバで調整してお側に付いていましたが、今後は彼らは専属としてミツキ様の護衛についてもらいます。お声をかけてもらえますか。」


「はい!こんにちは。私は運動には自身がないので、護ってくれるのはとても嬉しいです!あ、でも治療とかは自信ありますので言ってくださいね。あと、こちらが既に護衛に付いてもらってるエルザさんです。元騎士ですごく強いので協力して仲良くお願いします!」


 獣人並みの体捌きを見せていたはずだが、本人は運動苦手の認識らしい。またエルザ以外にも非公式に専属の護衛がいるが、どうせ普段は姿を現さない元ストーカーだ。紹介は無しだろう。

 そんないつもの残念挨拶であるが、敬虔な教徒である三名にはミツキの背後に白銀のオーラが輝いて見えていた。しばし呆然と見ていたが言葉をかけられると思わず三人とも跪いた。


「「はい、聖女様の御心のままに。」」


 厳しい鍛錬だけでなく神への熱い信仰を持って仕えている彼ら護衛騎士三人は実感した。これは本物だ、と。

 本国では遠目ではあるが教皇聖下に同じ波動オーラを感じた事がある。流石にそれには及ばないまでも聖なるオーラを持つ聖女ミツキの護衛を担える自分の境遇に、そして神に感謝した。

 そんな三人にコンスタン司教は早速仕事を依頼した。


「早速ではあるが、本日から護衛のローテーションを組んでほしい。ミツキ様には専属でエルザ殿が基本ついているのではあるが加えて三人の内一人が常に同行、二人がバックアップで考えるように。良いかな。」


「はっ。承知いたしました。」


 本物と認識した修道士(彼ら)にとってこの役割に否やは無い。三人のリーダー格であろう、がっしりとした体格のアマートがすぐさま返事をした。


「女性の護衛としてもビアンカがおります。どんな状況でもお側で護れる体制を作ります。ご安心を。」


 彼らにとって聖女様は聖教会の人間。如何にエルザが王国貴族出身で、また身分は教会になっているとはいえ、自分たちだけで護るべきという気概を見せていた。


「よろしく頼みますぞ。」


 コンスタン司教は彼らの姿勢を頼もしく見ていた。


◇◇◇


 護衛の一人、枢機卿の陣営から参加した修道士は密かに苦悩していた。

 自分は神聖マーロ教国の本部教会の信者として真面目に信仰を深めていた。まだ未熟な頃から導師として付いて頂いていた司教様に今回の聖女様の護衛を勧められ、最初は栄誉と思い喜んで受けようとした。

 しかし司教様からは聖女様の行動に疑義がありその活動の監視することを命じられた。更には行方不明になった審問官、自分より先に聖女様を監視の任に付いていたようだが、の捜索も併せて指示されている。手練れでもあった審問官が行方不明になった事自体、聖女様あるいはその周辺に何らか問題があるのではと言われると確かにそうなのかと信じていた。

 大恩ある司教様からの指示だ。深い理由がありそれ以上の詮索は不敬だろうとも考えていた。言われるがまま自分は監視の役割を持って護衛任務に付き対応すれば良いと、監視対象として聖女様に対面した筈だった。

 しかし最初の挨拶で思わずひざまずいてしまった。

 他の二人も同様に跪いたのでやはり本物と感じての咄嗟の行動だったのだろう。二人も厳しい修行を積んでいると聞いている。その目で本物だと確認したのだろう。


 最初に司教様から話を聞いた時に感じた栄誉の護衛としてなら悩むことも無い。だが実際には護衛よりも監視としての任務を優先して欲しいとも取れる指示であることに、頭を悩ませていた。

 司教様によると他の護衛修道士二人は自分の任務に関しては何も知らされてないらしい。逆に聖女様や教皇様周辺の権力主義者達に目を曇らされている可能性もあるから相談や協力は仰がないようとも言われている。

 

 司教様の指示を疑うことは今まで考えたことがない。しかし今自分の目で見て感じた現実が、その指示に素直に従うべきかと僅かな疑念として生じさせていた。

 そんな相反する思いを抱えていたが、まずは護衛を真面目に取り組めばわかることだ、と無理矢理考え直し、三人のでローテーションの話し合いを進めていった。



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