1-? 彼らの世界
「どうにか無事だったか」
何も無い空間に人の声が広がる。その声は男とも女とも取れないしかし聞いていて悪い心地はしない何処か落ち着いた雰囲気を持った声であった。
「彼には本当に申し訳ない事をした。」
声の主は、この物語の主人公【渡部 宗弥】をあの異世界へ送り出した張本人である。
「申し訳ないとか言ってるなら戻してあげたら?嫌な男」
空間に新しい声が現れた。最初の声と比べてこの者の声は凛と澄んだ10人が聞けば10人とも容姿の整った女性を想像するだろう。
「彼が往くことも世界の均衡の為、調律を計るべきものとしては仕方の無い事だったのだ。」
「ふーん。」
あまり、気の乗らない答えだったようで女性の声は静かなものだった。
「しかし、送り出しただけではやはり私の心が痛む」
「【加護】でもあげたらいいんじゃないの?」
「無論、既にそれくらいは贈ってある。ただ彼自身は存在を認知しておらんし使い方も分からないだろうが」
「それ意味無いじゃん」
少し嘲笑うようにその状況を面白いものを見つけたように笑った。
「私からも【加護】あげちゃおうかなあ」
「おお、それは頼もしい。運命の女神からの【加護】となれば彼の行先はとても良いものになるだろう。」
「まあ、私も教えてあげないけどね~」
冗談を言うような口調で応える。
「私の管轄じゃないし面白いおもちゃだと思ってるから適当に頑張って欲しいな~」
「助かる。そうだな私からももう1つ贈り物を贈ろう」
男は感謝の礼を口にして提案をした。
「もう1つ【加護】あげちゃうの??」
少し興味を取り戻したのか女は男に聞いた。
「いや、【技能】だ。」
男は応えた
「なんだ~つまんない」
「あまり、贈りすぎてもな逆に均衡が崩れてしまう」
「ふーん、まあいいや私戻るね」
女は興が冷めたようで空間から消えてしまった。
「行ったか、やはり何を考えているかわからぬが【加護】を与えてくれたのならば悪い干渉はしてこないだろう。」
男はなにか安心したのか落ち着い様子で言葉を発した。
「では、彼に良い風が吹かんことを【技能付与】」
男の声と共に一瞬空間に光が眩き、その光と共に男の姿は消えた。
名前: 渡部 宗弥
年齢:24
職業:未確定
階級:一般
技能:未覚醒【生活魔法lv2】未覚醒【火魔法lv1】未覚醒【剣技lv1】未覚醒【空白lv66】
所持:【ダラスの加護】【ガベスの加護】
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