プロローグ
「…」
目が覚めるとそこは見知らぬ場所だった。
第1、体は土の上だし周りには木しかない。ここは何処かの森だろうか。
確かに直前まで趣味であるキャンプをしに河原にいた。
テントの設営が終わって、食事を取り寝る前の晩酌をしてテントに入り寝袋に潜った所までの記憶は確かにある。
少し呑みすぎて、意識のないうち森に入ってそのまま力尽きて寝てしまっていたのかもしれない。
そう思って近くの探索をする事にした。
酔っていたとしてもそう遠くまでは来ていないだろう。
体を土の上から起こし、地面に足をつけ歩き始める。
幸いにも月明かりがぼんやりと地を照らしてくれているおかげで周りは見えるし目も暗闇に慣れたようだ。
5分ほど歩いてみたがやはり風景に記憶がない。かなり遠い所まで来ていたようだ。
ここで、ポケットの中にスマホを入れていた事を思い出した。
ロック画面を見てみると午前3時を少し過ぎた頃を指している。そのままロックを解除し地図アプリを起動しようとしたがアプリは読み込みを続けたまま反応がない。どうしたものかと思っているとそれもそのはず本来なら何本かの線を表示している筈の通信アイコンがバツを表示している。
どうやらこの森は電波が届かないようだ。
この時点で私のスマートフォンは多大な情報を表示する魔法の板から時刻のみしか表示出来ない光を放つ板となってしまった。
しかし、時刻以外にもスマホならばライト機能がある事を思い出し急いで灯りを付けた。
やはり持つべきはスマホである。光を放つ画面を見てしまったせいで目が明かりに慣れ暗い場所が見えなくなってしまった。この板なしでは人間は生きてはいけないのだろう。
文明の利器を手にした私はその明かりを頼りに道を進めていくと見知ったモノを見つけた。 テントだ
ようやく安心できると思ったのもつかのま同時に違和感を感じた。
おかしい、テントは河原に立てた筈だ。なぜテントが森の中にある。酔って森の中に入ってしまったまではなんとか納得できる。しかし、テントまで移動しているとしたら話は別だ。更に、食事をした際に使った焚き火台までそのままである。
1度思考を落ち着けるためテントの中にあるバックから煙草を取り出し一服付けようとしてテントを開けた。
テントの中にはコットと呼ばれるアウトドア用ベットが1つとその上に寝袋。煙草を入れていたバックは小物入れの為コットの下に置いておいた筈だ。
コット下に手を探りいれバックを探すと見つけた。バックをテントから取り出し、更に煙草を取り出そうとするとおかしなモノが入っていた。
封筒だ。
こんなもの持ってきていたっけと疑問を感じつつ封筒を開けると中には1万円札と小さな紙切れが入っていた。紙切れはおりられており、なんだと思って開くと文字が書いてあった。
【すまない、神より】
「は???」
思わず声に出してしまった。意味が分からない。本当に意味が分からない。荷造りをした段階でこんなイタズラをする奴は周りには居なかったし、一瞬誰かの荷物を取ってしまったかと思いバックを確認したが正真正銘私のものだ。
とりあえず、思考を落ち着けようと煙草を見つけ火を付けた。
煙を肺に入れ吐き出す。深呼吸にいつもと違う物質が混ざっているだけでかなり冷静になる。ニコチンとは偉大なものだ。
少し冷静さを取り戻した私は空を見上げた。この場所は木々が少し開けており空が見える。
知らない場所とは言えやはり森だ。余計な明かりが無いおかげで空が透き通って見える。星々が眩き月は凛々と光を放っている。空を見続けていると月は2つもあり、そりゃあ月明かりで地面がよく見えると納得した。
「あ、?」
なぜ、月が2つある?おかしい私の持っている地球の常識は月は1つである筈だ。私は私の目を疑いもう一度空を見た。
「やっぱり2つある、」
どうやら私の常識が通用しない場所に来てしまったようだ。
敢えて形容するなればここはそう【異世界】なのだろう。
処女作です。
拙い文章でお目汚し致しますがどうか最後までお付き合いよろしくお願いいたします。