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後日談 お帰り

 東京の夏は未だに終わりを迎えぬように、隼の心にも未だに碧に対する想いが切れなかった。

 あの後東京駅で互いに好きという気持ちが通じあった二人であったが、時は既に遅し。

 碧のお父さんの気遣いで暫く話すことができたけど、楽しい時間は早く過ぎるものが常。

 新幹線のホームで二人は別れの言葉を交わしたが、未だ離れない碧はドアの窓に手をかざし、隼も手を合わせた。

 もちろん碧と隼、互いの温かさは肌では感じられない。

 感じられないけど、心で感じとれることが出来る。

 ホームドアが閉まる為に離れる隼。

 ゆっくりと新幹線が動き出し、隼は思わず碧が乗る新幹線を追いかけてしまう。

 追いつけないことなんて知っている。

 それでも心の気持ちに素直になって追いかけた。

 やがてホームの端まで行き着いてしまい、隼は手を振りながら新幹線の赤い尾灯を見送った。

 もっと早く気持ちを伝えていればと悔やんでいると、スマホのメッセージアプリの音がなる。

 急いでアプリを開いて画面を見ると、そこには――。


 ――東京に行ったら、隼くんに会いに行きます。


 それは碧からのメッセージ。

 そのメッセージを読み、隼の目が赤くなる。


 本当、俺ってバカだなぁ。


 ******


 碧が転校してから数日後の教室。

 朝のホームルーム前。隼は頬杖を付きながら窓の外を見ていた。

 ここ最近の隼を見ていたからこそ心配になっていた美咲。

 隼の前に座るなり――。


「いつまでウジウジしてるのよ。湿っぽい男は()()()()は嫌いだと思う――」

「……」


 全く無反応の隼。

 流石の美咲もからかうのはヤバいと思ってしまう。


「あ~。ほら、博多なんて新幹線で数時間だし、飛行機なら二時間くらいじゃん。その気になれば日帰りも出来るし、元気だしなよ!」


 ハジバシと隼の肩を叩くが反応が薄く、近くで見ている茜とヒロミが身振り手振りでバツ印を送っている。


 傷口を抉るな!と。


「……ありがとう、美咲。俺なら大丈夫だよ」

「そう? ……あ、隼が撮った写真が表紙になったヤツ見たよ。超綺麗に撮れてたね、碧の可愛さが全面に――あ……」


 自ら盛大に地雷を踏んで自爆する美咲。

 その自爆シーンを目の前で見た茜とヒロミは石化してしまう。


「あれは自信作だからな。晴海さんからは、四季……碧にモデルでやって欲しいから説得してくれって言われてるよ」

「なにそれ凄ッ!! 写真のタイトルって、確か……」

「あなたのキャンバスは何色ですか だよ。心の色……つまり人生は色々な人との出会いと別れで彩られるって意味。心のキャンバスがな」

「うわ、隼って見た目に反して、繊細なタイトルを付けるねぇ~。碧に言っとこう」


 早速スマホを片手に打ち始める美咲だったが、予鈴のチャイムが鳴り、今日は早く沙織先生が来た為に席につく。

 沙織先生が教壇に立つなり宣言した。


「喜べ、男子諸君! 今日は転校生の紹介するからな!!」

「「「おおッ!!」」」


 隼以外の男子達が前のめりで喜び、隼は興味無いみたいで外を見る。


「では転校生を紹介する!!」


 沙織先生が廊下のドアを見るのに合わせて、これまた隼以外のみんなが見る。

 ドアの窓枠に写る黒いシルエット。

 ゆっくりと開かれていくドア。

 あの時は恐る恐る入って来たが、今は堂々と皆の前に立つ生徒。

 その生徒を見て、クラスのみんな。取り分けて美咲と隼の目が見開く。


「福岡県立赤松高校から転校してきました、四季島碧です。よろしくお願いします」

「「碧ッ!?」」


 みんな呆気に取られて茫然とする中、美咲と隼だけ立ち上がって叫んでしまう。

 それを見た沙織先生は苦笑しながら手を叩く。


「みんな、四季島に何か言うことはないのか? 特に立飛、お前は四季島と親密? な関係らしいからな。一言くらい言ったらどうだ」


 みんなに笑われながら、隼くんとわたしの顔が赤くなる。

 沸き起こる歓声と拍手。

 美咲はいてもたってもいられずに抱き付いて来た。


「碧、どういうこと!? 博多の高校は!?」

「うん……それが、お母さんが東京の病院で治療を受けることになったの。『碧を仲の良い友達と一緒に卒業式をやらせてあげたい。これが治療を受ける条件よ』って」

「うわ、美琴叔母さんらしい。ほら、隼もこっち来て、一言いったら。未来の嫁にさ」

「み、美咲!!」


 ヒロミくんと茜に拉致? られて教壇に突き出される隼くん。

 そして隼くんは真っ直ぐわたしを見ながら、照れくさそうに――。


「お帰り、碧」

「うん。ただいま、隼くん」

ご愛読、本当にありがとうございました!

自身としては完結二作品目にあたり、何とかエタらずに完結に導けて嬉しい限りです。

新たな作品で読者の皆様に再びお会い出来たら幸いです。


作者 冬場 ハル

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