エッセンフェルトの悪夢②
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それからはさらに悲惨だった。
私の両親が死んでしまったことにより、なんとか持ちこたえていたミンスリーナ達の両親への負担が増えてしまった。
そのため奮戦空しく、ついには一人、また一人と敵の手に落ち始めた。
その度に捕虜の女性達は顔を覆ったり、目を背けたりしていた。一方で私は、その場に呆然と立ちつくしているのみだった。
……やがて、最後の一人まで死に至った。
その瞬間、奴らの下衆な笑い声が村中に響き渡る。
そして散々両親達の死体を殴ったり蹴ったりした後、最後に一人残らず首を落とされた。
いまだ呆然と立ちつくす私から剣を突き付けていた男が離れた。
そして私の両親の……、散々暴行を加えられて顔が変形しきった生首を後頭部から掴むようにして、両手に持ちながら近づいてきた。
私の目線の高さにしゃがみこんで……
下品な笑みを浮かべながら……
顔を覗き込みながら……
両親の生首を見せつけながら……
「お嬢ちゃん、がんばれおとうさんおかあさんっていってくれてありがちょ!」
男は生首にお辞儀をさせながら言った。
「おかげで聖騎兵サマ達にこーんな素敵な顔にして殺ちてもらえまちた!!」
男はおどけながら言った。
「お嬢ちゃんのおかげでちゅ! ありがとねえええ!!!」
最後にそう言い切ると、生首を上下に振り回しながら下卑た笑い声をあげた。
同時にそこら中の聖騎兵達からも下品な笑い声があがる。
それに気をよくしてか、軍団長らしき男は更におどけて両足をじたばたと動かして、周りの聖騎兵達に見せつけるように回転しながら、それでいて嬉しそうに生首を上下に振りだした。
私は悔しさ、悲しさ、怒り、自責の念でいっぱいで……
俯きながら……、涙を流しながら……
血が滲む程に力いっぱい拳を握り締めながら耐えていた。
私はこの時ほど自分を呪ったことがない。
両親達が崩れ始めたのは私がきっかけだ。
私が声を上げなければ、もっと賢かったならば、きっとお父さん達は勝っていたに違いない。
否、私が利用されたりしなければ絶対に勝っていた。
私が殺したも同然だーー
ーーそう理解した瞬間、私は嘔吐が止まらなくなり膝をついた。
それでも嘔吐は止まらず、両手を地につけながら吐き続けた。
それを見た聖騎兵達は、何が楽しいのか更に狂喜乱舞し始めた。
複数の生首を前に、けたたましく狂ったように笑い散らしてゆく。
もう嫌……
全部全部
夢であって……
お願い……
嫌……嫌よ……
私……の……せいで……
私の心が完全に壊れようとしていた。
同時に私は考えた。もう生きていても仕方がないかと。
大好きな両親は死んでしまった。
ーー私のせいだ。
その上友達の両親まで殺してしまった。
ーーそれも私のせいだ。
もしかしたら助かったかも知れないのに捕虜は全員娼婦・奴隷の生涯だ。
ーー当然私のせいだ。
こういう時、人間は神に祈ったりするんだってね。
じゃあ私も助けてよ、ちゃんと祈るからさ。
こんなに辛いのに、助けてくれないんじゃ意味がないでしょ?
それとも、人間の言うように私達は魔族で邪悪だから、救いの手なんて差し伸べられないの?
ーーそうよね。
私は邪悪な存在よ。
だからこんな……、大勢を巻き込んで死に至らしめてしまったんだわ。
わかった、もういいわ……、わかったから。
そうして自己完結が終わり、覚悟を決めて目を瞑り口をかぱっと空ける。
そしてさようなら、ごめんなさいと心の中で念じて舌を噛み切る準備をする。
ーー今度は、幸せに生きられるといいな。
そう思い、目から一筋の涙が流れたまさにその瞬間だった。
今も愛して止まない、私の大好きなあの方が現れてくれたのはーー
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