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評価を……、評価を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)

ーーそうかそうか。いやはや、そういうことか、成程な。まったくもって嘆かわしいのか、喜ばしいのか。しかし待ち望んだというにはあまりにも粗忽過ぎるが、いよいよようやくにしてお前達は契機を得ることに成功したというわけか。



「何者だ!?」


 死人のような眼を携えて、気味の悪い笑みを浮かべながらも、手入れの行き届いた黒のタキシードに身を包んだ男が現れた途端にシンシアは大きく声を上げて身構える。

 セレナとフランはルータスの傍からばっと離れ、皇帝であるガルドの前を即座に塞いだ。

 ルータスならば一人でも十分だと、彼女達の共通認識だったのだろう。

 そしてシンシアはマリーゼの前にざっと陣取り、隙のない構えで抜刀して男へと対峙する。


 しかしそんな彼女達の目を見張るような素早い対応にも男はぴくりともせず、眉一つすら動かす様子はなかった。

 それどころか、ふっと息をついた後に胸ポケットから悠々と煙草を取り出し、しゅぼっとマッチで火をつけ燻らせる始末だった。

 男はやがてふーっと煙を吐き出して、味わい愉しんだ後、くつくつと嘲笑しながらようやく口を開きだす。


「何者? 何者だと? 先程のが転移魔法だと、それが使えるのはどのような存在であるかと、そのくらいは流石のお前達でもわかるんだろう? あぁ、先に言っておくが心配はいらない。今日はお前達に危害を加えにきたわけじゃない」


 そうは言われてもセレナを含めた彼女達は身構えることを当然に辞めなかった。

 正体不明の男がいきなり莫大な魔力を必要とする転移魔法で現れて、しかもいまだに名すら明かそうとしない。

 彼女達が警戒を解かなかったのも無理はなかった。


「それに俺とお前達ではあまりにも力の差は歴然だろう? いや、それが分からない程にはお前達のレヴェルはお話にならないのか」


 咥え煙草の男は自問自答の末、一旦言葉を区切った後、語気を強めて言葉を続けた。



「無論、後ろの化物(バケモノ)を除いてはな」



xxx



 突如現れた謎の男、それも自身の背後を取らせたままで煙草を燻らせながら凄みだす男。

 その堂々たる様に感心したのか、ルータスは齢18の青年にはとてもではない程の似つかわしくない笑みを浮かべながらゆっくりと口を開いてゆく。


「莫大な魔力を消費する転移魔法を行使した上で、この広大な人類領最大規模であるヴェルビルイス帝国でたったの四人しか認められていないSSSランクの天啓の勇者が末裔にまで取り囲まれている状況。にも関わらず何事もない様子で吐く言葉が、だ。 力の差は歴然? お話にならない? 成程成程、大口を叩く程には実力のある男なのか、はたまたただの馬鹿者なのか」


 ルータスは一転してわざとらしく悲し気な表情を浮かべながら、更に言葉を続ける。


「しかし出会い頭に化物扱いとはな……、悲しみで胸が張り裂ける思いをしたぞ。辛く苦しく、そして酷く傷心してしまった。こう見えても俺は転生前、ナイーブで有名だった」


 嘘をつけ、とセレナ達は一同に心の声を上げたが、正体不明の男の動きに気を配ることに注力し続けた。

 それは目の前の謎の男も同感だったようで、はぁとひとつ溜息をつきながらゆらりと振り返り、ものぐさ気に口を開きだす。


「下手な芝居はやめにしたらどうだ。転移魔法が使える俺の正体位、おおよその見当はついているのだろう?」


「……ハーヴェンブルクの魔族、しかも高位の、という認識だが?」


 目を瞑りながら余裕のある表情で返答するルータス。


「前半は当たっているが後半はハズレだな。訳あって名は明かせないが、ハーヴェンブルクの一魔族だと捉えてくれていい」


「……そうかい? だとしたら、だ。先程の話を聴いていたのならば分かるはずだが、俺は千年前魔元帥だった男だ。多少は敬ってもらわねば威厳が損なわれてしまうな」


「また心にもないことを。それに千年前の権力を笠に着るなよ、元魔元帥サマよ。今の俺には知った事ではない。更にもっと言えばだ、腹の探り合いなど無意味な相手だと、とうにお前程の男が悟れていないはずもあるまい」


 謎の男からの詰問とも言える発言に対して、ルータスは何を思ったか思わずぷっと吹き出してくつくつと笑いだす。

 対する謎の男は一転して険しい表情を見せたが、ルータスは特に気にする様子もなかった。

 そしてその後、悪戯がバレても悪びれる様子もない子供のような表情を見せながら、ルータスは言葉を続けた。


「それはそれは。大変な失礼をしたな。どうも転生前から俺は嘘が苦手だった。それで、先の権力者を敬えないお前の要件とは一体なんだ?」


 やれやれと言わんばかりに男は溜息をついた後、気だるそうに、吐き捨てる様にルータスへと言葉を続けた。


「……お前達が今まさに話題にしていたことだ。奴らの正体をいまだ正確に掴めてはいないんだろう? だからこそ、億劫極まりないというのに俺は態々(わざわざ)足を運んでやった」


 そしてーー


 それまでは順当に、平然と男に対峙していたルータスだったが、この後の男の発言がルータスの心を強く動かすきっかけとなる。



 ーー七人の大悪魔、いや今は六人か。お前の元主人であるハーヴェンブルク不滅の魔王、レヴィア=フランツィスカ=シュレースヴィッヒがかつて所属していた"大罪機関(デッドリー・シンズ)"。それが奴らの元締めだ。

【再々追記】

新作投稿しました!ページ下部のリンクから飛べますので、興味がおありの方は応援の程よろしくお願いします!


【再追記】

明日3/1中に新作を投稿しますので、こちらでも宣伝いたします!

書きだめもそこそこにあるので、恐らく毎日投稿になるかと思われます!

おっさん魔元帥共々、努力してまいりますので、応援の程よろしくお願いします!


【追記】

更新が滞ってしまい、申し訳ありません。

現在新作の執筆活動に勤しんでおり、近々アップ予定です。

アップ後は此方でも宣伝いたします。

おっさん魔元帥の執筆も並行していますので、どうか今しばらくお待ちください。


ここまでお読みいただきありがとうございます!

作者の励み・モチベーションアップになりますので、少しでも面白い・続きが読みたいと感じていただけたならばブクマ・評価【特に評価は是非!】の程よろしくお願いいたします!

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