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一ミリも空気の読めない鈍感男、知らずに修羅場を迎えてしまう①

評価を……評価を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)

「…………今何と?」



 フランの言葉を聴いた途端、セレナはこれ以上ない程にやついていた顔付きから一転して、驚愕の表情を見せた。


 しまったと己の発言を後悔するフラン。

 真剣な表情でセレナを見遣る黒衣の仮面の男。

 そしてしばらくしても二人が何の言葉も発さずに己を見つめ続けるのみだったため、セレナは問い詰める様に言葉を続けてゆく。


「私が何をしていたというんですの……?」


「先程医務室で皇女殿下の護衛騎士団長に一部始終を聴きましたが……、もしや操られている最中にあの醜悪な男に……?」


 そうして考えうる最悪の結論に達したセレナは、悲壮感漂う絶望の色を見せ始めた。


 レーベラとの年齢差はゆうに半世紀を超えていたが、中身は醜悪な人の皮を被った化け物。

 それに私はこんなに可愛らしい姿なのだ、そんな私を意のままに出来たとあらば唇のひとつやふたつとっくに奪われていてもおかしくはないーー、そんな風にセレナは思ってしまった。

 そして悔しさと悲しさで一杯になったセレナは、ぼろぼろと大粒の涙を流し始めてしまった。

 

 二人の微妙な表情を見れば明らかじゃないか。

 私はーー、汚されてしまったのだと。

 

 そうしてセレナが茫然自失していると、涙を流して勘違いをしている主人の誤解を早く解くためにフランが慌てて口を開きだす。


「ちっ、違います! この目の前の御方とです!!」


「……ッ!?!?!?」


 フランの弁明を聴いたセレナは最悪のケースではなかったことに少し安堵した。

 しかしそれでも、自身の大切なファーストキスを知らない間に奪われてしまっていたことに腹を立て続けていた。

 そのため、目の前に佇む黒衣の仮面の男を赤面しながら睨みつけるがーー


「安心してくれセレナお嬢様、あれはレーベラを倒すため、君を隷属魔法から解放するために行った。まぁ、人工呼吸のようなものだ。それにここにいる可愛らしい執事様にもちゃんと許可はとってから行ったぞ」


 黒衣の仮面の男は宥める様に、平然と、それでいて淡々と弁明してゆく。

 しかしその弁明の中に聴き捨てならない言葉があったので、セレナはフランに目線を変えて再度睨みつけ直して抗議する。


「フラン、貴女……」


 セレナの意図を感じ取ったフランが慌てて弁明する。


「そっ……、そうしなければ私達は二人共レーベラの操り人形と化していたのです! シンシアから聴いていたのでは!?」


「いいえ、そこの仮面男が私を助けてくれたのは彼女から聴いていましたが……、どのように助けてくれたのかを尋ねたら赤面して口ごもっていましたので……」


 あの銀髪女め、きちんと説明しないか!

 おかげで面倒な役回りが私に回ってきたじゃないかとフランは心の中で悪態をつきながら奥歯を噛み締めた。

 そしてどのように目の前のセレナへと弁明すればいいか、頭をフル回転させながら考え尽くすフラン。

 

 しかしーー、そんな二人を見ていた黒衣の仮面の男が思いもよらぬ発言をしてしまう。



「大丈夫だ、俺は前世で齢35歳のおっさん魔族だったんだぞ? 先程ああは揶揄っていたが、此方の執事様からの御礼の口付けも娘からの愛情表現くらいに受け取っているし、当然君に口付けしたのも溺れた娘を助けるための人工呼吸くらいに割り切っていた。よって下心も邪な気持ちも何一つ俺にはない。安心してくれ、必ず保証しよう」



「「………………は?」」



 そして男の発言を聴いた可憐な美少女二人が二人とも、ぽかんと口を開けてかたまってしまった。


xxx



 ゆ、勇気を出して貴方に接吻したのに……

 娘からの愛情表現って……

 私より少し年上くらいに見えるのにさ…… 


 私は今も抱きしめられてどぎまぎしっぱなしだっていうのに。

 ズルいよ、仮面男さん……。

 それに勿論、御礼で貴方に口付けしたっていうのもあるけど……

 私の方はそれだけじゃなくて……


 あぁ、もう!

 取り敢えずさ! その物言いは酷いよ、仮面男さん!

 私だって立派な年ごろの乙女なんだよ?



 何も感じてくれてなかっただなんて、そんなの寂しいじゃないか。



xxx



 こっ、この男……

 

 全ヴェルビルイス帝国民にとって高嶺の花であるこの私の唇を奪っておきながら……

 下心もなにもなくて、しかも娘を助けるための人工呼吸くらいに思っていたですって?


 貴方ね、何も分かっていない様だから教えて差し上げますわ。


 この私の唇を奪った、信じられないほどの果報者のくせに……

 時間が経った今でもドキドキして、ろくに私と話もできないのが礼儀なんですのよ?

 

 それなのに、その憎たらしい程の平然たる態度……

 いくら見目麗しく、貞淑で可憐な美少女である私でも我慢の限界というものがありますわ。


 先程までは私を助けた功績に免じて、私への口付けは仕方なく不問に付すつもりでしたがーー



 どうやらお灸を据えてやらねばならないようですわね。



xxx



 だがこの時の彼女達はまだ知る由もなかった。


 男へと抗議のために詰め寄ったはいいもののーー

 男の更なる予想外の行動により、二人揃って借りてきた猫状態と成り果ててしまうことを。

 そしてーー






「どういう……ことですか…………?」


 新たに二人の美少女が加わり、この場が更なる修羅場と化してしまうことなどはーー

仮面男さんさぁ……、貴方本当になんなの?(クソデカ溜息)

次回投稿は9/4、16時頃になります。


ここまでお読みいただきありがとうございます!

作者の励み・モチベーションアップになりますので、少しでも面白い・続きが読みたいと感じていただけたならばブクマ・評価【特に評価は是非!】の程よろしくお願いいたします!

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