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黒幕の正体②

評価を……評価を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)

ヴェルビルイス城 円卓会議室



「……さて、皇女殿下には御起床願いましょうか」



 完全に意識を手放してしまい、ゆっくりと眠る様に横たわったセレナを見て満足そうに笑みを浮かべながらレーベラは呟いた。

 そしていまだ意識を失っているマリーゼの下へ、かつり、かつりと歩み寄る。

 やがて彼女の目の前まで辿り着くと、レーベラは片膝をついて彼女を起こすため、彼女の華奢な双肩をゆっくりと揺さぶる。

 するとマリーゼはまだ朧気な意識の中、僅かに目を開けて目の前の人物を見つめた。


「あぐっ……、あ、貴方はレーベラ……? そうでした……、私はセレナに首を絞められて、意識を失って……」


「これはこれは……、不肖この私め如きを皇女殿下にご記憶頂けていたとは、歓喜に震えている次第であります」


 目の前の端正な出で立ちをした老執事がそう言葉にして微笑みを浮かべ、慇懃に礼する姿を確認しながら、マリーゼは徐々に状況を整理してゆく。

 そしてこの状況に適した一つの結論を出して、ゆっくりと推測を口にする。


「貴方はステラヴィゼル家の二人が亡くなった日から行方不明になっていたはず……、もしや辛うじて逃れ、私を助けに来てくれたのですか……?」


「そうです、そうですとも皇女殿下。危ないところでございましたな」


 レーベラの返答に対してやはり、とマリーゼは確認しながらそうであるならばと言葉を続けた。


「……そうですか、ならばやはりブリードとカルラに手をかけたのは……」


「えぇ、残念ながらここにいらっしゃるセレナお嬢様です。私も最後まで応戦したのですが、なにぶん天啓の勇者が末裔であるフラン=ローゼル=レヒベルクも加勢していたため力及ばず、旦那様と奥様は……。そうして私だけ辛うじて逃げ遂せ、今の今まで生き恥を晒してまいりました」


 そう悔しそうに俯きながら話すレーベラ。

 そんな自責の念に苛まれている彼を見て、マリーゼは慈愛に満ちた眼差しで優しく彼に微笑みかけ、右手を彼の左頬に差し出しながら口を開く。


「良いのです、レーベラ。主人を最後まで護れなかったのも仕方のない状況だったと私も理解しています。それに貴方は今、確かにここに駆けつけて私を助けてくれた。私は貴方に対する感謝の気持ちでいっぱいです。その上セレナ=ルイーズ=ステラヴィゼルの罪まで暴く証人としてここに存在してくれている。それだけでも我らがヴェルビルイス帝国にとっては千金に値します」



 なのにーー

 彼は命の恩人だと、マリーゼは思っていたのにーー



「えぇ、ですがーー」


 レーベラは突如その整った顔立ちをぐにゃりと歪めて目を見開き、何も知らないマリーゼに言い捨てた。




 悲劇の幕はまだ開けたばかりなのですよ、マリーゼ皇女殿下。




xxx



「なっ……ぁぐっ……!?!? うッ……がぁ……いっ……だい……、どうッ……いう……?」


 レーベラに感謝の意を述べて、マリーゼが彼に気を許そうしたその瞬間ーー

 突如彼の片眼鏡をした眼が紫色の強い光を帯びた。

 それと同時に横たわっていたセレナが素早く立ち上がり、目にも止まらぬ速さでマリーゼに接近して、先程と同じようにマリーゼの首を右手で締め上げた。

 

 しかしマリーゼを締め上げるセレナの眼には、先程とは違い生気が全く宿っていなかった。

 そしてその胸にはーー、レーベラと同じ紫色の強い光を発する隷属印が施されていた。


「くっくっく……、失礼。貴女様があまりにもころりと騙され、馬鹿げていて滑稽だったもので。もう少し正義のヒーローごっこでもしていたかったのですが……、貴女様の絶望を早く喰わせろ、味わわせろと大飯喰らいな私の腹の虫が言うことを聴かなくてですな……」


 そう小馬鹿にしたようにレーベラはマリーゼを嗤い捨て、いまだ持ち上げられている彼女を狂喜の笑みで見つめた。

 レーベラのあまりの変貌ぶりにマリーゼは苦しみながらも狼狽しきっていたが、強い光を発するレーベラの眼とセレナの隷属印を見て、次第に状況を理解してゆく。


 あぁ、こいつが、こいつこそが裏で彼女達を操っていた真犯人だったのかとーー

 そして隷属印を施すこいつは、人の皮を被った化け物であるとーー


「流石マリーゼ皇女殿下、先程私に騙されていたとは思えない程ご理解が早いではありませんか。そう、私は正真正銘、もはや完全に人間などではない化け物であり、今回の何もかもの黒幕でございます。ブリードとカルラを操ったのも、そんな彼らを殺すように娘を差し向けたのも、今こうして隷属印を施し、セレナ=ルイーズ=ステラヴィゼルを極悪非道な重罪人へと仕立て上げるのも……、全て何一つ紛うことなく私の仕業でございます」


 レーベラはその様にマリーゼの考えを察して、言葉を続けてゆく。


「一体どのようなご心境なのでしょうか? 自身を助けに駆けつけてくれたと思っていた者が、実は全ての元凶であり黒幕であると知った今の御感想は」


 凶悪な笑みを浮かべながら、レーベラは更に言葉を続けた。


「もうすぐ貴女様の絶望は貴女様の死と共に私の腹の足しになる。ですがご安心なさってください、マリーゼ皇女殿下。すぐに皇女殿下を手をかけた此方の大罪人も後を追わせます。地下牢の男囚人共の群れに放り込み、散々慰み者にさせた挙句、打ち首、晒し首に処しますから。きちんと皇女殿下の仇はとって差し上げましょう。大丈夫、あの堅物の皇帝陛下も寵愛する貴女様の事となれば躍起になってこの大罪人を断罪してくれましょう」


 さらにレーベラは言葉を続けた。


「くくく……、超名門ステラヴィゼル家嫡女、セレナ=ルイーズ=ステラヴィゼルが両親と皇女殿下を殺害、そして加担していたのはこの国で伝説となっている天啓の勇者が末裔、フラン=ローゼル=レヒベルクときたものだ。国中の大混乱は必定。更に我々の仲間も国中の各地で暴れ回るでしょう。今から楽しみで仕方ない、仕方ありませんよ皇女殿下。腹一杯の喰い放題、我々にとって夢のような楽園が広がるわけですから!」


 そう言い終えたレーベラは、狂ったようにけたたましく嗤い散らしてゆく。

 それとは対照的に恐怖と絶望、そして苦痛に苛まれながら美しい顔を歪めて今まさに死に絶えようとするマリーゼ。

 

 彼女にはもはや何一つ、塵程の希望すらなく、ただただ生涯を終え果てる。

 そう思われたがーー






「ーー夢の楽園? なんと悪い冗談だ。怨嗟に満ちた地獄こそ、醜悪極まりないお前には相応しいのにーー」

【追記】すいません、20:30頃になります。申し訳ない……


一体誰の声なんだ……(すっとぼけ)

次回投稿は8/29、20時頃になります。


ここまでお読みいただきありがとうございます!

作者の励み・モチベーションアップになりますので、少しでも面白い・続きが読みたいと感じていただけたならばブクマ・評価【特に評価は是非!】の程よろしくお願いいたします!!

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