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セレナの断罪②

評価を……評価を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)

ヴェルビルイス城 円卓会議室 



「これはこれは……、丸腰の美少女を武装集団で取り囲み、拘束する趣味が皇女殿下におありだったとは。なかなかに嗜虐的な変態趣味ですわね。これでは貞操の危機すら感じてしまいますわ……、だって私可愛いですから」


 私は立ち上がって臨戦態勢を取りながら、円卓を背にして周囲を見渡しつつ皇女殿下を揶揄した。


「……黙りなさいセレナ=ルイーズ=ステラヴィゼル。私は今怒っています。私の大切なシンシアを侮辱し、貴女の御両親をも侮辱し……、果てには高潔だったセレナ=ルイーズ=ステラヴィゼルをも侮辱し尽くしている今の貴女の現状に。そして何より……、そんな姿に成り果てるまで何も出来なかった私自身にもです」


 背後から涙混じりの静かな怒気を帯びた声が聴こえたが……

 一体何を言っているんでしょうね、この馬鹿女は。


「ならば勝手に悔いて、勝手に朽ち果ててもらいたいですわね、マリーゼ皇女殿下。そうやって一人では何も出来ない癖に、口だけは達者でいらっしゃるところが実に皇女殿下らしいですわよ」


「ーーッ! 兵達よ、やりなさいッッ!!」


 私の吐き捨てるような言葉を聴いた皇女殿下の一声で、私を取り囲む完全武装の兵達が一斉に襲い掛かるーー、が。

 


 私には戦う前から勝利などわかりきっていた。



xxx



 まずはドタドタと軍靴を鳴らし、右から迫り来る武装兵達。

 

 その内の一人の大盾を、左手を右の拳に添えて肘鉄で吹き飛ばしてやった。

 鉄製の大盾がバラバラになって砕け散り、持ち主だった兵は周囲の武装兵を巻き添えにしながら壁際まで吹き飛ばされ、その背中を強く打ちつけられていた。

 

 次にその光景を見て怯んだ左の武装兵達。


 奴らの一人に甲冑ごと顎への掌底を打ち込み、まわし蹴りを喰らわせて、此方も周囲を巻き添えにして吹き飛ばしてやった。


 そして正面から私に対峙していた武装兵達。


 左右の武装兵達のやられ方を見て怖気づいたのか、動きを止めて動揺しているようだった。

 それに私はほんの僅かな気心すら加えることなく一切の容赦なしに襲い掛かり、次々と体術で戦闘不能にしてやった。

 

 その後も私は手当たり次第に周囲の武装兵達を悉く打ち倒してゆく。

 中にはボロ雑巾のように蹴散らされてゆく仲間を見て、交戦することもなく入り口から逃走を図る愚かな敗北主義者もいた。

 私はそういう奴らに素早く駆けて首根っこを掴み放り上げ、顔面から強く殴打してやった。


 そうして入口に佇む私を見て、化け物だ、こんな奴に勝てるわけがないと喚き散らしながら武装兵達は逃れようとしたが……

 

 一人として容赦せずに、再起不能寸前の状態までボロボロに打ちのめしてやった。



xxx



 脆い、脆い、脆い脆い脆い脆い脆いッ!

 どいつもこいつも、揃いも揃って脆弱過ぎますわ!!

 

 身体強化魔法のみしか使用していない、徒手空拳の少女一人に完全武装で全滅とは……

 こんなお粗末極まりない兵しか持ち合わせていないのですから、それだからハーヴェンブルクの連中がいつまで経ってもつけ上がるのがわからないんですの?

 

 だからこそ、この嘆かわしい現状であるからこそーー


 力のない者の、その結末が如何に惨めで残酷であるかーー

 それを今から貴女の身をもって教えて差し上げますわ、皇女殿下。



xxx



「ばっ……馬鹿な!? この者達は……、シャトランゼル協会で祝福済みの鉄鎧を纏った精鋭揃いだったはず……」


 そう呆けて佇む皇女殿下を見て、私はおかしくて笑いが止まらなくなった。


「あははははッ!! せ、精鋭ですの!? このゴミのように憐れな力しか持ち合わせていない連中が!? 冗談はよしてくださいなマリーゼ皇女殿下、まるで象と蟻の戦いだったではありませんか! 私は戦いの愉悦すら感じることも出来ずに終わってしまいましたのよ?」


 私はそうしてひとしきり笑った後、長い円卓の周囲を一瞬で駆け抜けて皇女殿下へと対峙する。

 彼女程度にはあまりにも速く感じたのだろうか、彼女は慌てて椅子から立ち上がり構えるが、遅すぎる上に隙だらけで全くお話にならなかった。


 私はそんな皇女殿下の白くて細い首を右手で掴み上げてやった。

 苦しくて声にならない声をあげる皇女殿下。

 そんな彼女に対して私は笑みを造って見つめると、彼女の瞳に恐怖心が宿ったのを確認出来た。

 

 そしてゆっくりと問いを発する。


「さて、皇女殿下。私を拘束したかったのでしょう? 私を貴女の意のままにしたかったのでしょう? ならば当然、貴女自身が私に打ち負かされ、意のままにされることも覚悟していましたのよね?」


 私が笑顔で言い終えると、彼女はこれ以上ない程の恐怖に支配されてゆくのを表情から感じ取れた。

 その姿を見た私は心の底から満足してにやりと笑った。

 そして狂喜の笑みを浮かべながら、彼女の顔を私に思い切り近づけて底冷えするような低い声で脅しにかかる。


「私の邪魔をするなマリーゼ=ハインケル=ヴェルビルイス。お前などいつでもこんな風に縊り殺すことが出来る。弱いくせに……、力のない虫ケラ同然のくせに出しゃばるからこうなる。力のない無能で出来損ないのお前は、ただただ私の言うことさえ聴いていればいいし、余計な詮索など一切必要ない」


 ーーわかりまして? 皇女殿下?


 そうして私は声色を元に戻し、いまだ彼女の細い首を右手で持ち上げ続けながらにこりと微笑みかけた。

 それを見た彼女は声も上げられず涙目で、首を何度も縦に振った。

 同時に心の奥底から沸き上がっていた征服欲が彼女を屈服させた事実によって満たされ、私は大きな悦びを覚えた。


 そう、私はセレナ=ルイーズ=ステラヴィゼルなのだ。

 超名門ステラヴィゼル公爵家の生まれで天啓の勇者が末裔まで従える存在。

 もはや誰も私の邪魔立てをする者はいないし、当然させることもない。

 今もーー、そしてこれからもずっと。




 そう思っていたのにーー

続きは8/27 17時台に上げます(応援お願いします…)


ここまでお読みいただきありがとうございます!

数日以内に次回の投稿をいたします。

作者の励み・モチベーションアップになりますので、少しでも面白い・続きが読みたいと感じていただけたならばブクマ・評価【特に評価は是非!】の程よろしくお願いいたします!!

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