セレナの断罪①
評価を……評価を下さればやる気メガ盛りMAXです(欲しがりお化け並感)
ヴェルビルイス城 円卓会議室
広い広い円卓会議室。
なのに室内にいるのは私とマリーゼ皇女殿下のみ。
齢十五歳の少女二人にはあまりにも似つかわしくない場所だ。
中央には楕円形の大きなテーブル、その周囲には豪華な装飾が施された椅子が幾つも並んでいる。
その入り口から最も遠い上座に掛けるマリーゼ皇女殿下。
対して私は正反対の下座に掛けて皇女殿下の言葉を待っていた。
「では単刀直入にお伝えしましょう、ステラヴィゼル公爵家令嬢セレナ=ルイーズ=ステラヴィゼル」
皇女殿下が決心したかのように神妙な面持ちで重い口を開いた。
「貴女には尊属殺の容疑がかけられています」
その皇女殿下の言葉に、私はさして驚かなかった。
寧ろあまりの予定調和に退屈ささえ感じてしまっていた。
そもそも皇女殿下からの招集に護衛騎士団がつくことから変だとは思っていた。
近頃は帝都周辺にすら強力な魔物が頻出するため危険だという理由で寄越されたが、どちらかといえば重要参考人の護送といった表現の方が正しく感じていた。
しかしそんな気持ちを態度にはださないようにして、私はゆっくりと口を開いて返答する。
「成程成程。そうするとお父様とお母様が死んで一年がたった今でも私がステラヴィゼル家の家督を継げないのは……、私自身がお父様とお母様を殺めたから、そう皇女殿下がお考えだからということですわね?」
「その通りです、調査期間が長引いたのは素直に謝罪します。……しかし、貴女の御両親は暴漢による襲撃を受けて殺された……、そう報告を貴女自身から受けましたが元から不可解な点がありました」
彼女は言葉を続けた。
「第一に、何故暴漢は貴女の御両親を襲ったのか。ヴェルビルイス帝国内でステラヴィゼル家に楯突くような真似でもすれば自身にどのような恐ろしい災いが降りかかるか計算できない者などいません」
「これはこれは……、あまりにも酷い物言いではありませんかマリーゼ皇女殿下。それが帝国に忠義を尽くし続けた我が家門に対するお言葉とは到底思えませんわ」
私は何一つやましいことなどないといった平然とした態度で返答する。
しかし皇女殿下はそんな私に構わず、更に言葉を続ける。
「第二に暴漢程度で貴女の御両親、ブリード=ヴィンデル=ステラヴィゼルとカルラ=ミア=ステラヴィゼルが殺されるとは思えない事。ブリードはヴェルビルイス剣術学院を首席で卒業、カルラは同時期に次席で卒業しています。冒険者登録は行っていなかったためカテゴライズはされていませんでしたが……、二人ともAランク相当の実力は有していたでしょう」
私は皇女殿下の続けた言葉を聴いて、思わず鼻で笑ってしまった。
そんな私を見た皇女殿下は顔を顰めて私を睨みつけるが……
どんな大層な言葉が出るのかと楽しみにしていた私は、嘲笑しながら彼女へと返答する。
「あぁ……、皇女殿下の護衛騎士団長様と同程度ということですわね。ヘルハウンドの群れ如きに後れを取り、皇女殿下から授かった大切な兵を悉く失ってしまう程なのですから、お父様もお母様もそれはそれは大した実力の持ち主だったみたいですわね」
私は既に報告済みの事実を持ち出しながら淡々と話した。
「……ッ! シンシアは立派な騎士団長です! そのような無礼極まりない発言はこの私が許しません!! それにお二人は……、貴方の御両親なのですよ!!!」
私の並べた事実を聴いた皇女殿下は、息を荒げて私を糾弾したが……
事実をそのままに申し伝えて何が悪いと言わんばかりに、私は静かに言葉を続けた。
「申し訳ありませんわ、マリーゼ皇女殿下。私、歯に衣着せぬ物言いが持ち味ですの。たとえそれが今は亡きお父様とお母様のことであっても変わりませんわ」
「……貴女はどうしてそこまで変わってしまったのですか。以前の貴女はどこまでも真っ直ぐで輝かしい眼をしていました。魔物を使役する魔王を必ず打ち倒すと、ヴェルビルイスの皆が安心して暮らせるような平和な世を創り上げると……、そう私に高らかと宣言してくれたではありませんか」
はっ……、一体何を言っているのでしょうこの女は……
「私が……変わったと……? いいえ、私は何一つとして変わっておりませんわ」
そう、私は何一つとして変わってなどいない。
私はいまだ、ヴェルビルイスの民を想って日々奮闘しているのだから。
何一つとして変わってなどいないのだ。
「……貴女の動機は分かりませんし分かりたくもありません。あのお優しいご両親を手にかけるなど……、それも娘である貴女がなんて……。ですが当時の状況を調査すればする程、彼らを殺害出来たのは貴女、そして天啓の勇者様の末裔であるフラン=ローゼル=レヒベルクしかいなかった」
悲しさと悔しさが入り混じったような表情で皇女殿下はそう言った。
「貴方の身柄を拘束します、セレナ=ルイーズ=ステラヴィゼル。これは国家を揺るがす一大事です。貴女方に対する取り調べは慎重かつ内密に行います」
そしてそう皇女殿下が言い切ると、突如入り口が開かれて武装兵達が私の周囲を取り囲んだ。
ドタドタと軍靴が広い円卓会議室に響き渡り、ガシャガシャと鉄鎧が私を逃がすまいと奏であう。
一見すると、私はもはや一片の疑う余地もなく絶体絶命の立場に見えたがーー
私はぐにゃりと余裕の笑みを浮かべて、臨戦態勢をとった。
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