恋する乙女の四天王、微塵の躊躇もなく転生を選ぶ①
何を勝手に死んじゃってるのよ貴方……。
何も私たちのことをわかっていないわ。
ただの幼子だった私達が、泣く子も土下座すると謳われる魔王軍百万の、それも頂点に君臨する四天王になるまでどうして上り詰められたと思っているの?
勿論両親を亡くしたことがきっかけで国防の要となるためにっていうのもあるわ。
だけどそれはいつしか副次的な理由になったのよ。
私達は強くなり過ぎたからね。
私達が頑張った本当の理由は……、貴方に相応しい女になるため、たったそれだけよ。
そのためには美貌はさることながら、誰もが認める圧倒的な強さが必要だった。
だから血が滲むような毎日の修行にも耐えることができた。
ミンスリーナ達との切磋琢磨も、一分一秒すら惜しむように絶え間なく続けた。
努力の鬼? 鋼の意思?
--馬鹿ね、たかが鬼やちんけな合金程度で私達の意思を表現しようなんて烏滸がましいにも程がある。
でももう愛しい貴方もいない。
そう、私の全てが終わってしまったのよ。
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ふざけんなバカぁ……、ほんと……バカ……ッ!
ルータス様ぁ……、私の事大好きっていってくれたじゃん……。
その大好きな私がこんなに泣いてるのに……、どうして戻ってきてくれないの?
ルータス様に好かれたくて長い金髪のお手入れは毎日欠かさずやったし、神龍のアジ・ダハーカやファフニール程度なら片手だけでぼこぼこにできるくらいには強くなったし。
お……、お夜伽の勉強だって本で……、披露せずに終わっちゃったけど。
ルータス様が褒めてくれた黒薔薇の髪飾り、今もとっても気に入っているんだよ?
ねぇ……、ねぇってばルータス様ーー
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お姉さんがルータス様を一人寂しくさせておけるわけないでしょ?
ルータス様のいないこの世に未練など微塵もない。
この極焔のラフィーネを知った風に語らないことね。
ルータス様、貴方のためなら一片、塵程の躊躇すらなく、死出の旅にお供させていただくわ。
ーー初めて会った時のことを思いだすわね。
私は5歳、ルータス様は20半ばくらいだったね。
エッセンフェルトでのルータス様の活躍は……、きっと地獄の閻魔も大金をつんでどうぞ現世へお帰りください、頼みますから地獄へは二度とこないでくださいと泣いて懇願する程だったよ。
私は他の子と違ってあの時から、あぁ、私はこの男性と結ばれたい、そのためにあらゆる努力を惜しまないって決めてたんだよね。
だからこそ魔法の修行は極め尽くすまでやった。
一番得意なのは炎魔法だったけど、全属性の魔法を習得して適正値が全て300%は切らさずに習得できた。
それなのに、私は貴方を助けることができなかった。
なにが天才魔法師、極焔のラフィーネだ。
なにが魔法研究のスペシャリストだ。
結局私は、一番大切なモノを護れなかったじゃないか。
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もし来世でルータス様のお傍にいられるのならば、来世ではボクがルータス様を幸せにしてみせる……!!!
ルータス様は来世でもボク達を護りたいっていってくれた。
それ自体は嬉しかった、本当に嬉しかったさ。
ーーでも、同時に悲しかった。
どうしてルータス様はいつも誰かを護ってばかりで、自らは護られたりされることがないの?
そんなの悲し過ぎると思わないかな。
ボク達を護れて満足だとルータス様は言ったけど、たまにはボクにもルータス様を護らせてよ。
ねぇ……、ねぇってばルータス様……。
返事くらい……、してくれたっていいじゃないか……。
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