宴のあとのモンスター
これはどういう状況なのだろうか……
「ゆ……ゆい…とさん……」
右をみると宮戸家の結斗さんだろうか…… 何故、アフロを被り虎のパンツを履いているのですか。極めつけは彼の目元にあった。
サングラスのつもりなのだろうか……フレームからレンズまで肌に描いてあるのだ。
寝顔はキュートできゅっと上がる口角は可愛い。かわいいのだけど、残念としか言えない。そっと近くの電気毛布を掛けておく(敷布でした)
「お、おう。 じゅんさん……」
左をご覧ください、こちらには水木さん家の純平くんがいらっしゃいます。
予想はついていると思いますが、普通ではありませんよ。何故、彼はお化粧をしていらっしゃるのか。
つけまつげ…… 二重のラインにつけるものではありません。塗りつぶしてないからギャルメイクにもなってません。なぜ、ノーズシャドーの使い方を知っているのだい…… 。いらないでしょ、目鼻立ちはっきりしているがな。
上半身はだかなのは、取り敢えず多目にみてあげる。非常に問いただしたい問題がございます。
「…… そのブラはどうした……」
わからない。思わず自分の姿を見下ろし胸を確認する…… 異常なし。だとすると、これは私物なのか……。ごくりと生唾をのみ状態を確認する。女性ならば生地の状態やひもの状態で使用頻度はなんとなくわかるのではないだろうか。
「……失礼しまーす……まだ、パリッと新しいような感じ……だよね……」
常習犯ではない……かな、毛布の下はどうなっているのだろうか、確認するのはやめておこう。
この二人は起こすべきなのか、今何時なのか、疑問と戸惑いと二日酔いどころか覚めてないだろう酔いは冷静な思考を残してはくれなかったよう。どうしようか、どうするべきか、よし!ひとまずお手洗いを借りよう。
ジャー
「だいぶ酒が流れたかな、味噌汁の…………ぉぉおおおお!!!」
“ガチャンガシャンッ! はあー?! ギャハハハ、ばたん、どたん”
“だあれが騒いでる~、うるせーぞー”
“頭いて~、お前がうるせー歩夢”
““”ギャッハッハブハッイテッヒー、ヒー、結純どうしたお前らっひっひ”
遠くから騒ぎ声が聞こえてくる。みんな、起きたのかー。おはよう!いやいや、元気ねー!
…………いやまて、あの人等に視られる前にこの顔をどうにかしないと……
ガチャ
『お、琴ちゃんおはようさん! ちょい歯ブラシ取らしてな……ど、ど、どし、どうした? お兄ちゃんに話してみい?』
おはようと洗面室に入ってきたのはお兄さんの翔一さん。返事をする間も無くどわーっと肩をがっしり掴み問うのは私の顔について。
お酒により顔はむくみ、どうやら今回の呑みでは泣き上戸だったらしく目が腫れに腫れ、目のまわりも赤く腫れる始末。誰がどうみても泣いたとわかる。
故に心配してくれているのだ。じぃ~ん、と心に沁みて翔さんに心のモヤモヤまで総て話してしまいたいところではあるが……言えませんよね……。
「実は私、泣き上戸なうえに記憶も飛んじゃって覚えてないんです、こんな顔になるなんて吃驚してたところなんです! お兄さん!!」
困ったときは勢いで押し通せ~!!数回目をぱちぱちしたのち、にかっと微笑むお兄さん。素敵ですが……
『ん~? まあいいか! こいこい!』
連れて来られたのは翔さんのお部屋で、ごちゃごちゃしているかと思っていた部屋はすっきりとモノトーンで纏められている。
『あったあった!』
ごそごそ棚を漁っていた翔さんが差し出したものはアイマスクとジェルパック……かわいい猫型の。
『これで温め用と冷すよう用な! レンジで温めて使えな~』
「可愛いですね。猫ちゃんアイマスク。お借りします」
『元カノのなんだけどな!要らねーからあげる』
「はぁ、ありがとうございます」
元カノさんの物ということで、少し複雑なような申し訳ないような心地ではあるが一刻も早く顔を戻したいので有り難く借りることにした。
部屋を出てキッチンへ行くまでに誰かと会うかもしれないので、気を使ってくれた翔さんが温めてきてくれて、冷たい用は温いので小さな保冷剤を代用にと受け取り、居座るのは申し訳ないので元の結斗くんが居る部屋へと戻ることにした。
そう、私は忘れていたのだ……。
あそこには、モンスターがいることを……。
更なるモンスターが出現していることも……微塵も頭になかった。
はやく前に進みたい、進みたい、進めない!!!
書きながらもうわぁー!となっております。
また、編集したらごめんなさい