表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こころのくすり  作者: chima
灰色の世界
4/5

絆のなかのわだかまり


愛実が家で大人しくしている頃、バタバタしていたことが漸く落ち着いたので久しぶりに文化祭で出会ったひとり津慈 結斗(つじ ゆいと)君と会うことになった。


愛実がいないで会うのは初めてなので少し緊張するが、恋愛感情は全くない・・・・・・とは言い切れないが、特に疚しいところに行くつもりもなく楽器屋さんとカラオケにいくだけ。


彼は、同じ16歳で180㎝ほどの身長と顔は格好いいのに可愛いコーギーのような印象を受ける男の子。


『ごめんな、楽器屋付き合ってもらって 』


「いえいえ、楽器屋さん好きだから、気にしないで」


彼は、バンドマンでギターを弾くためのスコアと弦を買いにきた。私も興味があるからと一緒に選ぶことになった。


『アップテンポのロックで盛り上がりそうな楽曲がいいな』


「洋楽? 邦楽?」


『んー、どっちでも行けると思う!』


「りょーかい!」


これが良いこれは違うと言いながら3冊選び弦を購入した。店長が知り合いらしく試奏させてくれるとのことで、さっそく新しいスコアで少しだけ弾いてくれた。


「うわ~!! すっごいすっごい! かっこいい! 」


アルペジオやチョーキング、カッティングなど店長が曲を聴きながら説明してくれた。正直よくわからなかったが、感動した。可愛い雰囲気の彼が弾いているときは真剣なキリッとした表情でスコアを確認していて、でも楽しそうで。なにより、ロック調だから乱暴かと思ったら意外と繊細さも持ち合わせた音でギターだけなのに物足りなさを感じなかった。


『いやー、照れるわ! かなり間違えたけどな! 』


「初見であれだけ出来るってヤバいよ!」


『良かったらライブきてよ。この曲やるからさ』


「絶対行く~!」


店長にお礼を言った後、本命のカラオケに行くことになった。お互いに音楽が好きだから大いに盛り上がり、ふたりでライブかのように暴れた。乗せ上手な彼に、歌声を褒められ私もほくほくとした気持ちで楽しかった。



『今日はありがとな! また二人でも遊ぼうな』


「よろしくおねがいします!また、呑みもしよーね」


いつもはオールで飲みをするのだが、ふたりなのでその日は駅でわかれた。それから何度か同じように楽器屋に行ったり、スタジオの個人練習を見学させてもらったり、時には私のうた、ピアノ、バイオリン、馴れないアコギなどとデュオをしてみたり彼がベースを弾いたり、ふたりでドラムに挑戦してみたりと、これまでの仲間や友達と出来なかった音楽遊びに引き込まれていった。


『そだ! 大晦日に年越しLiveするんだけど家平気だったら琴羽みにこない? 』


「いきたい! 親もいないし問題ないよ!」


家にいても両親は実家へ帰省して15日まで帰ってこないから、誰に何を言われるわけでもない。昔は、正月挨拶は決まりだったがひいばあが亡くなってからは行っていない。11歳からは両親だけ仕事を多目に休んで帰省している。


『よしゃ! Live事態は10時までだけど、家帰ってもひとりなら一緒に呑み年越し参加する?』


まあ、高校生がいたらLiveは10時までだよね。ただ、大晦日マジックでこの日だけは多目にみて問題起こさなければ補導されないんだよね。


「あたしも参加しても平気なの? 」


『いつも誰かいるからな大丈夫!』


結斗くんがこんなにかみがかった神がかった腕なんだから、他のメンバーもきっとすごい。




愛実とは毎日電話で話をしていた。一ヶ月ほどは、落ち込むことや下腹部に違和感を感じる事もあったが、最近は元気を取り戻したようで仲間と遊ぶこともあるという。


安心したのは出産していたら、もうひとりの親となるはずだった男とは会っていない様子。家では変わらず居心地は悪いらしい。唯一、拓馬とゲームをやる時間が安心できるという。貴ヤンと美香さんは休日前になると、夜から24時間のゴルフの打ちっぱなしに行くらしく、私の家も両親が遅くまで家に帰ってこない為、二人で家に来てご飯を一緒に作って食べた。



「あーちゃん、大晦日の予定は? 拓馬がいるからお家いる? 」


『拓馬は友達のとこ泊まるって言ってたし、なんもないよー』


「じゃあさ、年越しlive一緒に行かない?そのあと呑みも! 」


『んー? むすびのバンドかえ?』


"むすび"とは愛実がつけた結斗くんのあだ名です。呑みで変なあだ名ゲームをしたときにつけた


「そうそう! 格好いいの! ギターやばいよ! 」


『ほうほう、ギターがヤバイのね? ギターがねえ? 』


「なんだし、で? どうなの? 参加する? 」


にやにやとわざとらしい笑みを浮かべる愛実の頬を軽くつねっておくことを忘れない


『いひゃいっしゅ! 』


仕方ないから解放したところで『行く』と返事をもらい、結斗くんに二人参加と再度送っておく




そして待ちに待った大晦日。愛実と共に未成年に見えないよう大人仕様に仕上げてライブハウスにきた


さすがに本番前に楽屋突入する勇気もないので、大人しくノンアルコールカクテルで愛実と話に花を咲かせる


『琴ちん、変な男いると思うけど着いていっちゃだめよー』


「何を当たり前なこといってるのよ」


『あのね、バンドマンはちゃらい! これね、古くも間違ってもないからね! 特に年上っぽいのは駄目よ!! 手が早いからね』


流石に彼女は説得力があり、数々のバンドマンしかも年上と遊んできただろうと想像できる


そんなこんなで、liveは滞りなく進み彼等は期待を裏切ることなく大いに盛り上がった


対バンのメンバーが誕生日だからとバースデーソングを会場で歌い、『ケーキの代用です』とメンバーが満面の笑みで豆腐にLEDロウソク(仏壇よう)を植え込み持ってきたときは、爆笑の渦だった。



そういえば、話途中に失礼します。自己紹介まだでしたね! 私は、#宮戸 琴羽__みやと ことは__#(15)早生まれのため16歳の代です。それでは、戻りますね。



『良いお年をーー! 』


『年明けliveもよろしくなーー!』


『じゃーなー!』



『お待たせ!琴羽! ノツコ! 』


『おつかれーい! てか、ノツコやめれ! 愛実ちゃんです』


「おつかれー! 楽しかったよ! 」


『だろー? 他のメンバーも準備終わってるから呑み行くぞー!』


23時頃に解散となり、羊一の家が両親の里帰りで20歳のお兄さんはいるものの問題ないということで今日は羊一宅で決定


『おー! きたきた! 女子きたー! 』フゥゥ!


『うるせーぞ! 羊一!お前もてねーぞ 』


『ギャハハハ、そーだぞ!翔さんもっと言えーい! 』


『歩夢うるせー! それより自己紹介しねーとな!な!』


大晦日は多目にみてもらえると思いつつも、両親が里帰りしてるメンバーもいるので、補導対策として羊一の兄に車で迎えに来てもらった。


『じゃあ、先に俺からでいいな!』


『じゃあ、俺から! ㊚・freak vo. 天野 希咲 』


『なんでだよ!『純平だまれ』あい、結斗様』


『同じくダン・フリ Gt.Vo 石渡 歩夢』


『Gt.宮戸 結斗』


『Ba.原田 羊一』

『兄の翔一でーす』


『ちょっ、翔さん、俺の番ですって!』

『はいはい、悪い悪い!』


『Dr. 水木 純平 よろしくな!』


『よろしくー!佐伯 愛実16歳でーす!』


『今日はありがとう! 宮戸 琴羽です』


『ちょいと、みなさん、俺を忘れてるよー』


『ごめん、海也っち!潰れてて忘れてた!』


『歩夢ひでー!』


『ごめんって!えー、吉崎 海也さん17歳です!イェーイ』


『よろしくー!』



① #天野 希咲__あまの きさき__#


ナチュラルブラウンのパーマがかかった髪。顔立ちは二重がきれいな目元に八重歯が覗く口元が魅力的なvocal男子。

liveのときは、髪をハーフアップにするのだが格好いいと評判。音楽に対してだけは真剣で、女遊びはしても彼女は作らない。


② #石渡 歩夢__いしわた あゆむ__#


アッシュブラウンのツーブロリバースショートのお洒落さんで、クラスにひとりはいる元気な盛り上げ隊長タイプ。女遊びはそれほどなく、好きになったらよそ見はしないが振られるタイプ。


③ #津慈 結斗__つじ ゆいと__#


身長180㎝の長身とブラウンの無造作ネオウルフヘアが格好いい男子。顔立ちは、コーギーのような雰囲気を思わす格好良くて可愛い、バンドではおかん系男子。まとめ役で、元気ではっちゃけていながら女関係は謎。


④ #原田 羊一__はらだ よういち__#


クリアショートスタイルでクールながらワイルドな印象をもつ。肌も黒く、喋らなければ少し危険な香りのする男だが、喋るととても残念なお馬鹿タイプ、女好き


⑤ #水木 純平__みずき じゅんぺい__#


アッシュブラウンのセミウェットアップバングヘアで今どき男子。チャラさもありつつ誰からも好かれる雰囲気をもつ。切れ長で二重のはっきりした目は色気を感じる。身体もドラマーなだけあって、ほどよく筋肉がついているのが服の上からわかる。


交際相手に厄介な人と付き合う癖があり、必ずというほど揉め事が起きるとか。本人も厄介で普段は好かれて付き合うことが多いが、自分からだと突っ走ることがある。


⑥ #吉崎 海也__よしざき かいや__#


ナチュラルマッシュヘアの黒髪で切れ長の目をしている 。結斗達よりひとつ年上だけど、面倒見がいいのか波長があうのか自分のバンドではない所でゲストとして参加することもあるほど後輩好き。


女関係は酷くはないが、元カノと異常に仲良しなことで彼女ができても上手くいかないことがおおい。現役彼女と元彼女間でのトラブルになるケースが多く、最長3か月最短で3日なことも。



そんな感じのメンバーです。あ、お兄さんはあえて省かせて頂きました!!



原田家は少し大きな2階建ての家で、お家には2匹のねこちゃんがいた。個人の部屋が2階にあるようで、荒らされないよう階段にドアがつけられて猫立ち入り禁止なのだという。お猫様のお部屋も部屋の一角に、小さな家がある。


お祖父様が大工を家業としているらしく、お父様もその関係で勤めているそうで、自宅もお祖父様が建ててくれたそう。だからこそ、他の家とは違うこだわりが隠れているそう。


お兄さんにお礼を言い、途中で購入した宴会セットを広げて呑みへ移行した。


『お、年越し2分前!!!!』


『おー!野郎共、酒をくばれーい!』


『あいさー!』


てんやわんやで、時間発表は希咲、酒を配れと叫ぶのはお兄さん、良い返事は歩夢。


『やべ、焼酎いれすぎた!』


『ロシアンルーレットするか』


『まぢか!!』


『女子かわいそーだろ』


『あぁ、琴羽は酒豪だから大丈夫だ』


作る配分を間違えたのも歩夢、いたずら好きは洋一、ちょっと嫌そうなのは海也、女子に配慮をみせるのは純平。そして琴羽のシークレットを暴露したのは結斗。


『確かに酒豪だけど、酔ったときは大変だから気をつけて』


ニマニマしながら煽る愛実


『えー?酔ったらどうなるん?琴ちゃん』


『ちけーよ!純平は琴羽近寄るの禁止ー!』


『5.4.3.2.1ハッピーニューイヤー!フゥゥ!』


御一同ぽかーんと間抜け面にての年明けになりました。お兄さんはごきげんで寝る! と部屋をでていくまえにこっそり『風呂自由に入っていいからな』と女子に配慮してくださった。


「では、あけましておめでとうございます!皆さん、割り箸の数字でカップを選びましょう! いきます、せーの!!」


『1はーー、純平かー・・・・・』


『みんなグラス持ったな? せーので飲むぞ! 』


『『『せーの!』』』


『あ"ー、うぇー、あたしだ』


いぇーい!と盛り上がり、この遊びに味をしめ繰り返すこと二時間。少しずつ周りの様子も変わりはじめた。


無理もないがliveをこなしてきた彼等の疲労度は馬鹿にならないはずで、ゴロゴロ転がり誰が起きていて潰れているのかわからない。愛実はもちろん酔っぱらい。



「生き残ってるひと手ーあげてー」


『『あーい』』

『へーい』

『ぅーぃ』


ただ、転がって酒を飲むのは結斗と純平。テンション迷子なのは愛実で、なんだかよくわからないのは洋一。


屍と化しているのは、希咲、海也、歩夢。


「きーちゃん! 希咲くーん!お隣の部屋に移動してください」


『ん"ー『ぅんー?』んー』ぐー


「・・・・・・」

『・・・・・・ぶふっ』

『希咲、歩夢、海也さーん、風邪引きますよー』


『くー』

『ん?』


『「ぶふっ」』


さっきから妙なタイミングで返事をする海也さんがツボすぎるんだよ!!


『とりあえず、俺が海也さん担いでいくから琴ちんお水持ってきてくれる?』


『俺が水持ってくよ』


『お前はその屍ふたり隣につれてけーい』


部屋の広さの都合上、海也さんは端の和室の部屋に布団をセットしている。


部屋割りは、隣の部屋 :: 希咲と歩夢,お兄さんの部屋 :: 洋一、洋一の部屋 :: 純平と結斗、客室 :: 愛実と琴羽



「純くんお水もってきたよ」


『さんきゅー。ほら、海さん!かーいさーん!飲んで!』


『んあ?あぁ、ありがと』


『はい、じゃあ、おやすみー』



何となく慣れているようであっさりと水を飲ませ、寝かしつけてと感心した。とんだチャラ男だと思っていたが少し見直した。


『琴ちんありがとね。いつもこうなるんだよね』


「みんな疲れてるから酔いまわっちゃうよね」


『そうなんだよね、あいつらロシアン作るのにで馬鹿みたいに味見してたから、それのせいだとも思うけど』


「あー・・・・・・確かにすごい飲んでたね、あははは」


『本当に馬鹿だよなあ』


「海さん、止めにはいるのに味見してってねだられては呑んでたしね。」


『面倒見が良いのか悪いのかわからないよな、まったく』


そういう純平もがばがば呑んでいたけどな、と記憶をたどるけど強いなら問題ないよな。落ち着いてみると、改めてモテる顔してんなと実感。海さんを軽々担ぐくらいに筋肉もあるのだから、さすがドラマー!思わず観察していた。


『ん? どした? 』


「いや、改めてドラマーさんは力持ちなんだなと思って」


『海さん担いだから?』


「そうそう。筋肉もあるしね」


『あー、海さんは女子並みの体重だから担げるけど洋一は流石に無理だな!』


なんと、洋一を連れていくときはロング座布団に乗せて引きずるとか。ギャグでしょ。


『琴ちんなら軽々抱っこできるよ? やったげようか?』


「あははは、やめーい」


『こんな細い足して歩いてて折れないか心配になる』


そんなばかなー!と、さりげなく足を撫でてこようとする手を叩き落とし呑み部屋へと戻る。



目に飛び込んでくる光景にいっそのこと頭を壁に打ち付けて気絶したくなった。屍になりかけていた洋一と愛実が復活したのか何なのかイチャイチャと何やら始まっているのかいないのかと…… 際どいシーンであった。


友だちが知り合い同士のラブシーンはキツいと話していたが、その気持ちがよくわかる。何が悲しくて親友の抱き合う姿も、熱いキスシーンも見なきゃならんのか。


それに、こいつの神経が改めてわからなく腹立たしい。ましてや、私だけでない人がいる環境で。少し前まで中絶に後悔していたやつが。男がいなければやっぱりだめなのか……



「・・・・・・愛実 。」



思わず低い声が出るのを許してほしい。



「あみ!!」


『あ、琴!な、なに怒ってんのよ』


「いい加減学習しなさい! あんたはノリで行動するな!」


『はぁー? 琴に関係ないじゃん! 』


「関係ない? 誰がいつも間に入ってると思ってるわけよ、あんたを傍でみてきたから注意してるの! 後悔するよ!」



『……琴っていつもそうだよね。大人ぶって上から文句ばっかり、たまにうざい。親かよ。』



「親? 親が機能してないからお互いに注意してるんじゃないの? あんた呑みすぎじゃない? 頭動いてる?」


『そうだったねー。あんたんとこの親ヤバイし、親戚に見せたくないって琴ひとり置いて一ヶ月いないとかうちと同じくらいヤバーイ』



「関係ねーだろ。今は、あんたの素行について言ってんの」


『だから、お前に言われる筋合いないって言ってんの!』



「あんただけなら良いけど、その結果に後悔して、可哀想な思いする相手が居るかもしれないから言ってんの。・・・・・・あの子みたいにね」


『っ、、、』


恐らくふたりとも酒の影響を受けてたと思う。普段なら思っても言わないことを吐き出していた。お互いに見えない傷付けあいで良かったのか悪かったのかはわからないけど、暫くは引きずることになるのはわかっていた。それでも止められなかった。


『なんで・・・・・・それは言っちゃ駄目でしょ。琴ってあたしの事嫌いだったの! あたしが決めた訳じゃないし、お母さんが無理やり病院つれてったんだし! 何であたしばっかり責められるの! 酷い目に遭ったのはあたしだよ!』


中絶をするときの処置はトラウマになるくらい辛かったという。でも、私としては病気で中絶したりや暴力による妊娠などでない限りは、双方の責任があると思うので、少しばかり苦痛を受けるのは受け止めなさいと思ったりもする。胎児を思うと、それだけで済むのだからと思っても良いのではないだろうか。


『琴はさ、妊娠したことないからわかんないんだよ、それなのに色々言われたくないんだけど。』


「・・・・・・そう、わかった。」


『え・・・・・・えっと、ごめんな琴羽。俺も考え足りてなかった』


「そうだね。洋一も考えた方がいいね、他にも仲間がいるから。共同の場所で仲間がそういうことしてたらキツいからね。どうせ、本気じゃないんでしょ……、本気ならここでは無理でしょ……」


『あぁ、そうだな。わるかった!』


『なにそれ!謝ったらあたしも悪くなるじゃん! 別に悪いことしてないし、あたし洋一と付き合いはじめたんだし!遊びじゃないでしょ!』


・・・・・・、はぁ?はぁ?はーあ?いい加減にしろよくそアマー!っと沸騰状態になった私は用意してもらった部屋へと黙って下がることにした。



途中で結斗に呼び止められたが止まる余裕もなく部屋へと入る。



トントン

『琴羽さーん、はいるよー』


入ってきたのは結斗くん。純平に話を聞いて来てくれたらしい。


「ごめんね、疲れてるのに空気悪くしちゃって」


『んーや、良いんだよ。間違ったこと言ってないしな』


「・・・・・・あー、言いすぎたかなー、子どもの話は余計だったかな」


ひとりになると途端に熱が覚めて自分の言動に罪悪感が押し寄せてくる。ただ、間違ったことは言ってるつもりはない。だけど、今の彼女に言うべきだったかというと・・・・・・。


『だいじょーぶ! ノツコになにがあったかは何となくわかってるけど、それは実際、ノツコと相手に非があるだろ? 琴は出来る限りのサポートしてきたろ?』


「そのつもりなんだけどね。ただ、さっき言ってたように偉そうに上から言ってるのは間違ってないし」


項垂れながら愛実の言葉が胸に刺さってくる。


コンコン

『はいるでー』


「純平くんもごめんねー、疲れてるのに騒いじゃって」


『いえいえ、逆に洋一がごめんな。あんなとこ見たくなかったよな。大丈夫か?』


ふたりとも優しくて心から有り難かったけど、今後ないように気を付けないといけない。


「愛実はどうしてるかわかる?」


『んー、暫く泣き叫んでたな『あたしのせいじゃないー!』ってね。はは、酔っぱらいだから覚めたらどうなるか』


確かに酔っぱらいだから。大丈夫だろうか。腹立たしい気持ちも、知るか!あんなやつ!って気持ちは勿論残ってる。それは、消えないけど、心配な気持ちも勿論ある。


『琴羽! 大丈夫だから! な! 酔い覚めたろ? 飲むか?』


『だな!琴羽呑むぞ! 』


結局、ここで悶々としていても仕方ないと促され3人で改めて呑み直すことになった。この呑み会は遮光カーテンで気付かなかったが昼まで続いたのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ