表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界探偵『上終終』の愚考録  作者: ロジカル和菓子
File 0「プロローグ」
2/20

File 0-2

 そう。僕は吹き飛ばされた。死んだはずだった。でも、次の瞬間。僕はなぜか自分が電車に吹きとばされる場面をその真上から見ていた。


「あー。完全に逝っとるな。これは」


 ふと後ろから声をかけられ、驚いて振り返る。自分の体は目の前で吹き飛んでいるはずなのに、不思議な感覚だった。振り返るとそこには、何も見えなかった。ただ光だけが眩しくて、そこに確かに誰かがいるような気がするのだが。


「あなたは誰ですか・・・?」


「わしか?わしはの・・・そうじゃな。神じゃ。髪はないけどの!ほっほっほ」


 自分で言ったギャグに笑っているのは口調からして老人のようだった。


「・・・神?」


「ダジャレはスルーかの!?・・・まぁ良い。そうじゃ。神じゃ」


「それじゃあ神様。今の状況を説明してください。僕にはさっぱりわかりません」


 自称神にそう質問する。もはや意味のわからない状況なだけにどうとでもなれという感じだ。第一姿も見えないので、そこに人がいること自体信じられない。いや人ではないのか。自称神だし。


「なんと!この状況でその態度。ゆとり世代とやらはやはり違うの〜」


「あの。だから、状況説明してくださいよ」


 僕は老人の話し方が気に食わず思わずぶすっとした態度で返事をしてしまった。


「その強気な態度!ますます」


「だから!!」


 僕は見えない老人の人を食ったような態度に思わずイラついて大きな声を出してしまった。


「あーこわいの。神に向かって怒るとは。でも、いいじゃろ。説明してあげようかの。今の状況は、端的にいうと君は死んだ!」


「は」


「よくある転生ものじゃよ〜。なぁに。心配することはない。チートで最強なスキルをつけてやるから存分に俺TUEEEEしてくるといいぞよ」


「ちょっと何を言ってるかよくわからないです」


「何!?若者のくせに俺TUEEEEも知らんとは」


「・・・」


「あ!とうとう黙りおった!会話を拒否しおった!老人をいじめおった!」


「聞いてますよ!」


 こんなに話していてストレスの溜まる人は初めてだ・・・。イライラを懸命に抑えて大人しく話を聞くのは一苦労だった。


「・・・しょうがない。そろそろゆとり世代特有の我慢の限界って感じを出しとるし、ちゃんと説明してあげるかの・・・今、お前はこの世界で死を迎えた。それは良いかの?」


「はい・・・」


 僕は渋々頷いた。肯定したくはなかったが、こう目の前で死ぬ光景を見せられては納得せざるを得ない。


「そして、今。君には生き返るチャンスが与えられようとしている。私、神の手によっての?」


「はぁ?」


「生き返れるかもと言っているんじゃぞ!?もっと驚かんか?普通?」


「いや、実感がわかなくて・・・すんません」


「ふむ。まぁ良い。人は、死んだら他の動物に生まれ変わる。そういう話を聞いたことがあるか?」


「輪廻転成ってやつですか?」


 僕は頭の片隅に残っていた知識を口に出した。


「そうじゃそうじゃ。しかし、その話には続きがあっての?人間から人間に転生できるものも稀に存在するんじゃよ。ロマンがあるじゃろ?」


「はぁ・・・」


「なんじゃその反応!?異世界転生じゃぞ!?ラノベ一大ジャンルじゃぞ!?」


「ラノベ?ジャンル?なんの話です?」


 この姿の見えない老人の話す言葉は時々意味がわからない。


「・・・ゆとり世代でそんなことが・・・いや、もはやゆとり世代という言葉が死語になったとでもいうのかの!?時代の流れは早いのう!?ついこの間まで中国で皇帝が乱立していたというのに」


 なんのことだかわからないがこのおじいさんがお調子者だということだけはわかる。僕は話を戻そうと必死にならなければいけないらしい。


「あの。それはいいですから続きの話をお願いします」


 このおじいさんは本当にすぐ話が脱線するようだから、自分から話を戻さないと一生話が終わらないかもしれない。


「・・・。おおそうじゃ。時間がやばかったの。それで、・・・要するにお前には生き返る権利が与えられることとなった。そしてそれには一つ条件がある」


 急にざっくりと要旨を説明し出したなと思いつつ黙って言葉の続きを待つ。


「異世界で、魔王を倒してきておくれ」


「はぁ!?」


「はい、決める。すぐ決める。あと10秒で決める。行くの?行かないの?行かないと生き返れないぞい?」


 それはまるで悪徳業者のようなやり口だったが、僕には選択肢は一つしかなかった。


「やる、やりますよ!」


「そうかそうか。それは良かった。近頃いろんな転生先で見事に世界を救う勇者が乱立していたんじゃが、この世界は環境最悪。絶対倒せねーしと弱音を吐いて死んで帰ってくる輩ばっかりでの。労○基準法にも引っかかるのではないかとヒヤヒヤしていたんじゃが。そうかそうか。良かった良かった」


「え?ちょっとそれどういうこと?」


「いやいやこっちの話じゃよ。それじゃあスキルを選んでくれるかの?なぁに。チートスキル奮発してやるから必死に頑張ってくるんじゃぞ〜?」


 老人の不穏な言葉が恐ろしかったが、有無を言わさずスキルとやらを選ばされる。タブレットのようなものが目の前に現れた。いや、近代的かよ。


 なになに?


 スキル天運 運チート主人公に必須のスキルじゃぞ♡


 最強武器 エクスカリバー 異世界ものでは王道じゃの⭐︎


 最強魔力付与 魔法使いたい放題プラン♩


 ・・・etc


 どれもこれも隣のコメントがうざかったが有能そうなスキルや武器ばかり。僕は夢のような事実に驚きながらもスキル天運を選択した。


「ほう。スキル天運とな?いいじゃろう。新たなライトノベル史に名を連ねるような冒険。期待しておるぞよ。ほれ!!」


 ピコーン


 老人が声をあげると何か甲高い機械音が鳴り響いた。期待して待つが特に何も起こらない。


「ん?おかしいの。ほれ!!」


 ピコーン


「ほれ!!」


 ピコーン


 ビービービー


「リソースが足りません。そのスキルは選択できません。」


 どこからか機械音で警告が鳴った。


「あの・・・」


「ちょ、ちょっと待つのじゃぞ?なになに?リソース不足?すでにスキルが大容量を占めている?」


「え?それってどういう」


「うわ!なんじゃこりゃ!大容量の上に消去できん!」


 老人の慌てる様子が姿は見えないが伝わってきた。そしてしばらく慌てふためいたあと。驚くべき言葉を言い放った。


「すまん。君が生来持ってる巻き込まれっていうスキル。消せない上に容量でかすぎてチート与えられんわ。本当にすまん!なんとか自力で頑張っとくれ」


「は?」


「そんじゃ、頑張って」


「ちょっとま」


 僕が反論をいう暇もなく、僕の意識は暗闇に飲まれていった。そして完全に暗闇になる直前。


「あと、そっちで死んだら本当に終わりだからの〜」


 軽い口調でひどい真実を告げられた。


 その後僕の目の前は真っ暗になった。





 そして。目をさますと。そこは見たこともない世界だった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ