カティナ視点4
…気付けばブックマーク4000件を超えていました。わぁびっくり…手が震え…読んでくださる方に、感謝を!!
なんでなのだろう。
私が何をしたの。原作通りにしようとしただけなのに。なんで鎖に繋がれるの。
「自国に…両親に悪いとは思わなかったのか?カティナ王女」
王子の父親・・・・・つまり王様が私に対して酷く冷たい声音で言う。
見下した視線に腹が立つ。
ゲームの中のキャラクター、しかもモブが何が出来るっていうのよ。
「悪いなんて思ってないわ。むしろ何が悪いの?モブはモブらしく私の役に立てばいいのよ。…なんで?なんでそんな目で見るの?私はヒロイン!!愛される存在!!なぜ私がこんな目に!!」
当然の事を言う私に何故かこの世界での両親は悲しげに嘆く。
「…何故だ?カティナ…私達はお前にちゃんと教えただろう?王族として生まれたなら臣下を愛し、民に愛されるそんな姫になりなさい…と。」
そうね。モブの癖して私の家族はそれはもう口煩かった。兄なんか
「ダメだよ?カティナ、我が儘を言っては。俺達は国民の血税で生きていることを忘れてはいけないんだ。そしてそのお返しに俺達はこの国を健やかに治める…それが王族に生まれた使命だよ」
と私を叱るし母親はほんの小さな願いだって叶えてくれなかった。
何故なの?あの使えない侍女を殺して欲しいって言っただけなのに頬を叩かれるなんて!
…私この世界での家族が大っ嫌い。
前の世界では私はお姫様だった。
好きなものは何でも買えたし貰えた。
ゲームの中の彼が一番、一番気に入ったのは絶対に手に入らないものだから。
だけどソレすらも神様は私にくれる。
ある日私の端末に謎のメールが入った。
《誰か1人生贄を寄越せば望む世界へ》って。
怪しいメールだとは思ったけど同時に丁度いいチャンスだと思った。
私にはずーっと目障りな女が居たから。
周りから好かれてて、見た目良いから教師に色目でも使ってるんだろう。私より成績が良くて。
何より私の好きな人はみーんなあの女の事が好き…っていう巫山戯た女。
「…証拠さえ残さなければ構わないよねぇ」
だから私は殺したの。
駅のホームで電車を待っていたあの女を。
私の邪魔をするからよ?私の好きな人を盗らなければ。私より目立たなければ殺されなかったのにね。
「…私の育て方が間違えたのです…ごめんなさい…ごめんなさい貴方…」
あぁ!煩い。ホントの母親はこんないけ好かない女じゃなかった。私の欲しいもの全部買ってくれる美人なママだったんだから。
でも安心してよ。
物語の主人公に有利なように話は進むもの。
私は結局無罪でしょ?
「話にならんな…。要求だが…我が国では魔力を封じ、…この王女の王籍を抜いてもらいたい」
…え?
待っておかしい!ちょっと待ってよ!!
「そんな!!魔力を抜くですって!?嫌よ!!!巫山戯ないで!!…嫌…!!嫌よ!!」
封じるなんて建前!!
私は知ってるわ。それ悪役令嬢がやられる罰だ。魔力に優れた弟によって。
あの美貌が見るも無惨にしわくちゃになってシミだらけになって身体もボロボロ。
なのに寿命は変わらない女にとっては一番最悪な長い長い罰。しかもそれは発動したら解除する方法がない。…そんな嘘!!
違う。きっとそれを止めるためにこの親は居るんだ。ヒロインは無敵だもん。
そうでしょ!?
「…それを受け入れよう。カティナ。お前も王女なら!!責任を取らなければならない。そして私達は親である前に国の王だ。自国の民を危険に晒したお前を子供可愛さに庇う訳には行かぬのだ」
聞いたこともないほどに冷たい声。
抜け落ちたような無表情で父親は言った。
「ど、どうしてよ!?…使えない!!使えない!!死ね!!馬鹿男!!!!やだ、やめて…!!離して痛い!!」
話は終わったとばかりにこの国の王が手を振ると、兵士が私の首の鎖を乱雑に引っ張る。
「黙れ!!お前はもう王族ではない!!ただの罪人だ。口に気を付けろ!!」
…あり得ない。
嘘よ。こんな、こんな終わりはあり得ない。
だってゲームには無かった。




