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裁きの時です1

「…誠に残念だ。貴方の国には恩義があったのだが…流石に今度のことは見逃せない」

問題が起き、我が国から呼ばれたカティナの父親に向かって伯父様が言った言葉がこれだ。伯父様も少し悲しそうにしていた。

「分かっている…済まない事を…戦にならなかった事を感謝する」

王妃と共に頭を下げるカティナの父親は国王としては驚くほど腰が低く素直な人なのだろう。

周りの者もこの夫婦には好感を抱いていただけに王女のカティナには失望しっぱなしだった。

我が儘で手に負えない…とは聞いていたが、この夫婦の娘ならそんな悪い子ではないと皆思っていたところもあったのだろう。

そしてこの夫婦も自分の娘がまさかここまで何も考えずに問題を起こすとは思わなかったんだろう。

カティナの両親は目に隈を浮かべ憔悴しきった様子だった。


「自国に…両親に悪いとは思わなかったのか?カティナ王女」

この国の重臣とカティナの両親、そして私達が居る部屋の真ん中にカティナは鎖に繋がれていた。

これだけ問題を起こしたのだ。

何もないとは思っていないだろう。

「悪いなんて思ってないわ。むしろ何が悪いの?モブはモブらしく私の役に立てばいいのよ。…なんで?なんでそんな目で見るの?私はヒロイン!!愛される存在!!なぜ私がこんな目に!!」

伯父様の問に答えたカティナにカティナの両親が酷く悲しそうな目を向けた。

それ以外のものは、塵芥を見るような…底冷えする瞳で彼女を見る。

「…何故だ?カティナ…私達はお前にちゃんと教えただろう?王族として生まれたなら臣下を愛し、民に愛されるそんな姫になりなさい…と。」

震える声で呟くのはカティナの父親だ。

カティナの母親は父親に支えられるようにして泣き崩れている。

「…私の育て方が間違えたのです…ごめんなさい…ごめんなさい貴方…」


私達の国の重臣になる者達は知っていた。

カティナの国の国王夫妻は善い人間であると。カティナより幾つか年上の第一王子も類稀なる才覚を持ち、小さな国ながらいずれ有名になるだろうと密かに楽しみにしていたものだ。

嘆く夫妻を労る者もいた。

「話にならんな…。要求だが…我が国では魔力を封じ、…この王女の王籍を抜いてもらいたい」

…王籍を抜くとは王族では無くなるということ。魔力も権力も無くなってしまえば、カティナには何が残るのだろう。

伯父様は単純に苦しめるより長期に渡って苦しめる事を選んだようだ。

「そんな!!魔力を抜くですって!?嫌よ!!!巫山戯ないで!!…嫌…!!嫌よ!!」

魔力を封じるとは建前だ。実際は強大な魔力を根こそぎ抜く…と言った方が正しい。

だが強大な魔力を持つ人間にとって、魔力とは生命力のようなものだ。

無理矢理抜かれてしまえば…全てとは言えないが大体が老人のように醜く老けるのだと言う。

だが身体は老人のようになっても寿命に変化はそう関係ない。…若く、その美貌を鼻に掛けるカティナには希望もなくなる刑罰だろう。

ソレを知っているからか(…私のバッドエンド√にそういうシーンがあったからかな)カティナは猛然と暴れ出す。


「…それを受け入れよう。カティナ。お前も王女なら!!責任を取らなければならない。そして私達は親である前に国の王だ。自国の民を危険に晒したお前を子供可愛さに庇う訳には行かぬのだ」

…戦争になりかねない問題を起こしたとはいえ娘だ。苦悩しただろう。

それでもカティナを切り捨てる発言をしたカティナの父親は人形のように無表情だった。


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