攻略対象者の原作の性格〜義弟と奴隷王子〜
さて、ここで再確認しておこう。
現在確認出来ているのは異母弟ギルバート、奴隷王子ヒューリだ。
……私がきちんと覚えている限り攻略対象者にはまだ2人しか実際には会っていないはずだ。
まずは異母弟ギルバート
原作開始時16歳。格好だけは整えられていたものの栄養の足りていない髪や肌からオルシア家でも碌な扱いを受けていないことが分かった。
深淵を移したように暗く澱んだ瞳は何も映さない。
その人生の大半を愛されず、虐待または侮蔑され育った彼は、人が信用できず張り詰めた氷のように冷たく、手負いの獣のように人を威嚇するような人間に育った。
家での長年の虐待で女性に完全なトラウマを抱えてもいた。ヒロインに対しても最初は攻略キャラ一の冷たさを誇ったキャラだったのだ。
それ故か懐に入れた人間には極端に甘く、依存してしまう性格でもあった。そして信用した人間からの拒絶がトラウマでもある。
そして異母姉であるイゼリアを心から憎み、ヒロインを害していると知るや否や即殺そうする。
……現在のギルバートを紹介しましょう
髪はツヤツヤ、時折金に染まるものの生気のある綺麗な藍色の瞳。
姉様と私に着いてくる姿はとても愛しい。
武道を嗜み、学問も教え込んでいるので頭もいい。
……そうね確かに私以外には意外と冷たい……というか関心も持たないけど……ヒューリには優しいわね。
私に懐いているのは愛情を注いでいるからだろう。
あと原作より魔法が強いような気がするんだけど…
次にヒューリ
ヒューリはイゼリアに留学中イゼリアにしてもいない不貞をしたと言われ奴隷に堕とされる。
隣国は強大な我が国に逆らえず鎖で繋がれ、足蹴にされる第5王子を捨てる。
そのままヒューリは裏通りの奴隷市に掛けられるも王子だったので世間を知らず無礼だと鞭打たれ、散々に殴られ蹴られ奴隷紋を肌に魔法(つまり解除すれば消える)で焼き付けられる。
原作には麗しい少年趣味の酷く悪評のある貴族に買われている。書かれては居ないがそれ相応の事はされたであろうと思う。
そしてヒューリが大きくなり痛めつけるのにも飽きた主人はヒューリの外見をみすぼらしくして連れ回すようになる。原作開始時ヒューリはヒロインを利用して奴隷から脱却しようとした。空気をよく読み優しいヒューリにヒロインは惹かれていく。
そしてヒューリも奴隷である自分に裏表なく接し、優しいヒロインに徐々にヒューリも心を開いていく。
ヒューリのエンドだとヒューリは隣国からまた迎え入れられイゼリアを隣国一の牢獄へ押し込む。
で、現在のヒューリはというと
手入れしまくったお陰で月明かりのような銀髪に穏やかそうな美貌。
父親に犯されそうになって男性恐怖症になったもののギルのおかげでそれも良くなりつつある。
原作だと私を睨みつけ、罰せられていたが今のヒューリは私とギルにひたすら甘やかされ、私を見れば嬉しそうに微笑む。
ちなみに倒れた私が起きたのはアレから3日後。
ヒューリは目元を赤くして私の手を握っていてギルは反対側で眠っていた。私が起きたのを確認するなりヒューリはギルを起こさないように、私の耳元で囁いた
「……貴女に生涯の忠誠を……イゼリア」
密やかに囁かれたそれはヒロインにすら言っていなかった言葉だった。
しかも言葉と同時に魔力紋が浮かぶ。
「ヒューリ……!?貴方、」
「いい。なぁイゼリア、俺を使ってくれ。貴女になら全てを捧げられる」
柔く微笑むヒューリ。
契約の言葉はヒューリの全権を私に明け渡すようなものだった。
例えば少しでもヒューリが私に逆らえば死んでしまうほどこの契約は重いものだった。
魔力紋が光を失うと私の手首に緋色の珠玉がブレスレットになって止まる。
ヒューリには首元に蔦のような紋が浮いた。
「ヒューリ……!!分かっているの!?この契約は!!」
「……分かっている。俺を奴隷にしたものより上の拘束力を持つ契約だ。……だがこうすればイゼリアを守る事が出来る」
私の目を仄かに熱情の灯った目で見てヒューリは私の頬を撫でた。
……そう言えばヒューリって公式キャラでもヤンデレエンドが多かった気がする……




