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原作開始……?です!!10

「…あぁ良かった。無事だね…?イゼリア」

パタパタと暖かい雫が私の頬を伝う。

私の頬の雫を拭うようにエリオットが頬を拭う。

「あ、あ…エリオ…ット…」

私に向かう筈だった凶刃はエリオットの脇腹を抉るように突き刺さっていた。


「あああああ何で!?何でここに婚約者が居るの!?最悪間違って刺しちゃったじゃん!!」

がなるカティナはナイフを乱暴に抜くと自分の髪を掻き毟るようにして掴んだ。

「ぐっ…!!…痛いな…イゼリアが、この痛みを味あわなくて、良かっ…た」

ナイフが抜かれたせいで血が更に出る。

エリオットは痛みに顔を歪め体勢を崩す。だけど私に倒れ込むエリオットは私を見て緩く笑った。

こんな怪我負った事無いくせに彼はそれでも私を守れたと笑うのか。

「…エリオット…やだ、止まって!!」

血が止まらない。 私は傷の場所を手で思いっきり押さえひたすら圧迫した。

あぁどうしよう。人の命が私の手に掛かってるなんて…どうしようか死んでしまったら…!!

「…最悪本当にアンタが!!何でよ折角とっておきの呪いかけたのに!!婚約者が死んだらアンタのせいだか」

「煩い!!黙ってて!!今は貴女の相手なんかしてらんないんのよ!!」

喚くカティナは耳障りで私は感情的に怒鳴った。

…待って呪い?

「呪いって…何よ」

「…はぁ?そんなの確実に死ぬように血が止まらなくなるような呪いよ」

当たり前のように言うカティナが理解出来ない。

ここはゲームの世界だけど私達はこの世界で生きてるのにカティナはリセットボタンでもあるとでも思っているんだろうか。


「イゼリア!!…エリオット様!?」

カティナの言葉に愕然とした時だった。

魔法が解けたのかヒューリと父親を捕らえたレオがやってきた。

ヒューリは私の姿を見てから隣で倒れるエリオットを見てカティナに険しい顔を向けた。そしてヒューリは私の元へ来ると無言でエリオットに掛かった呪いを解き始めた。

レオは氷みたいな冷たい目でカティナを拘束する。

血の着いたナイフを取り上げられ、魔法が使えないカティナはただの無力な女の子だ。

気でも違えたように叫び暴れるカティナをものともせずレオはカティナを縛り上げた。ヒューリを拘束していた縄と同じ呪文が刻まれた縄でだ。


「…エリオット様は大丈夫だ。だから安心しろ。イゼリア」

ヒューリがそう言って手際良くエリオットの手当をした。レオは私を安心させるように私の髪を撫でる。



***


「これは…!?」

複数の馬の足音に振り返ると、兵士達が何人も居た。兵士達は驚いたように屋敷を、私達を見ると縛られたカティナを見て酷く驚いたような顔をした。

だがレオが縛ったのだと分かると顔を引き締め、父親とカティナを連行した。


それを見届けた私は気が緩んだのか、ふらりと倒れた。…背中に温かい体温を感じて誰かに支えて貰ったのが分かる。誰だろう。

ああでも、もう疲れてしまった。私はその体温が離れるのが嫌で服の生地をぎゅっと掴んで意識を落とした。


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