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エリオット視点2

夜分遅く陛下から兵を出して欲しいと要請があると父上から言われた。

王都近くに領地を構える我が家が頼られるのは珍しくない事だ。今回の出兵命令は、どうもイゼリアの父親を捕らえる為らしい。


漸く…か、と思った。

イゼリアやヒューリ、ギルは悪事に加担するどころか暴いているが年々あの夫妻はずる賢く、手段は更に冷酷なものになった。

一時期はイゼリアによって落ち着いたが、裏社会に出なくなっても彼らは手紙でやり取りすることにしたらしい。


イゼリアを悩ます男を捕らえるなら…と父上に願い俺も兵たちに同行する事にした。

だが事態は予想以上に深刻だったらしい。

オルシア家の屋敷には先に着いた王国兵達が気絶しており、更には魔術に優れたギルバートが見たことも無いほどに傷を負い辛うじて意識を保っていた。

「…エリ、…ト…姉様…が」

なんと惨い。いっそ意識を失えれば傷の痛みを感じる事もないだろうに。

「カティ…ナ王女…が全て…」

微かに聞こえる声は断片的でどうしようか悩んでいるとギルバートが俺の手を引っ張った。

体勢を崩した俺はギルバートの上に乗るような姿勢になった。なんとか持ち堪えたが…。

「何を…!?ギルバート…!?お前」

「…後は…」

額を合わせるようにしてギルバートが俺に魔法を掛けた。今までの記憶を伝える魔法だ。

魔力消費量は少ないが今のギルバートにはとても辛いはすだ。遂に意識を失ってしまったギルバートを一人の兵に任せ俺はギルバートの記憶が伝えた場所へと向かう。


風の魔力を使って(テレポートをギルバートは軽く使っているがアレはかなり高度な魔法で俺とは相性の悪い魔法属性なので使えない)駆ける俺に追い付ける兵は居なく後から追い付けばいいだろう。

それに何だか胸騒ぎがする。

いい予感がしない。早く…早く行かねば取り返しのつかないことになりそうな予感だ。



その予感は当たる。

ギリギリ間に合うかどうか。そんな距離が開いた場所で俺の目に飛び込んで来たのは、カティナ王女が見た事もない様子で殺意を出しながらナイフを握っていて、ソレを向けられているのは俺の大事な婚約者(イゼリア)だった。

イゼリアは全身血に濡れていて満身創痍という言葉が相応しいほどで向けられているナイフを避ける事も出来ないらしく目をキツく瞑っていた。


(イゼリア!!)

衝動的という言葉が一番合う。

俺はその時イゼリアの事しか考えてなかった。

血飛沫が舞う。

「…あぁ良かった。無事だね…?イゼリア」

俺は目の前のイゼリアの頬を撫でながら傷が治癒魔法で治りそうだと安堵した。


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