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ギル視点2

「ギル、貴方はこれを伯父様に…」

そう言って渡されたのは姉様が見つけた父親の逃れられない証拠だった。

魔力が枯渇している姉様は傍から見ても到底まだ動ける状態ではないのに姉様は大丈夫だから、と僕の髪を撫でてどんな罠があるかも分からない所へ行ってしまった。…一応ヒューリが姉様に付いていったけど、僕もヒューリもここ連日の捜索で身体はとっくに限界を訴えていた。


でもヒューリは魔力が無くなっても剣が僕より強いから姉様を守れるはず。

僕は姉様から預かった書簡を手に王宮へとテレポートした。この緊急事態だ。めんどくさい決まりを無視して僕は伯父様のところへと直接向かった。



***


「…これほど…あやつが愚かだったとは思わなんだ…。済まないギル…イゼリアはさぞ悩んだ事だろう」

伯父様は書簡を読むと深い溜息をついてそう言った後、ゾッとするほど冷たい目で兵士へと通達した。

《オルシア家の当主を捕縛しろ》と。


魔力が万全の状態ではない僕が行っても姉様の邪魔にしかならない。僕は父親を捕縛する兵士について行くことにした。

今の時間、父親は仕事(簡単な書類仕事)から帰ってきて本館にいるはず。

王宮から馬でオルシア家の本館に向かう兵士達に僕も馬に乗せられた。


そして本館に着くとドアをこじ開け兵士達は父親の部屋へと向かった。

母親は別の部屋で休んでいるが母親に関して何の命令も出ていないためスルーされた。

父親の部屋の扉を開け兵士が叫ぶ。

「オルシア家当主殿!!国王陛下から捕縛令が出た!!大人しく捕まってもらおう!!」

ベットには動く事(一部は除く)が嫌いな父親が眠っているはずだった。部屋の前で様子見をした時には父親の魔力反応もあったんだ。

だがベットには土人形が置いてあるだけだった。


人形には髪が混ぜ込んであった。その髪は恐らく父親のものだろう。

…なら本物の父親はどこだ。

…分かってる。ここに居ないなら、ほぼ確実に姉様の向かう所にいるはずだ。

あの父親がレオナードさんに向ける目はドロドロとした性欲に塗れたものだった。

姉様は知らないみたいだったけど父親が少年にしか手を出さないのは武力で勝てないのが分かっていたからだ。だから確実に組み伏せる事の出来る少年ばかり狙っていたんだろう。

しかしレオナードさんは父親が特に執着してただけあって一番トラウマがあるだろう。成長していても父親が出れば動けなくなると思う。

だが姉様のあの結界がソレを許さなかったのだ。


父親だけなら杜撰な計画だっただろうに誰かの手が加わった事で姉様ですら分からない事になった。

…その誰かが姉様の傍に…居ないと誰が言える。

「姉様…!!…姉様が!!」

「行かせないわよ?」

その場所へ向かうように兵士達に呼び掛けようとした時だった。

唐突な雷魔法で兵士達が行動不能にされたのは。


「…貴女は…!!」

例えフードで顔を隠してたって分かる。

その声の持ち主は本来ここにいないハズの人間だ。

「ちょっとねぇ?悪役令嬢と従者ならなんとかなるけどぉ兵士とか弟が来ると困るの。感知魔法掛けといて良かったわぁ…」

カティナ王女はぶつぶつとなんか良く分からない事を呟くと僕を気絶させる気なのか雷魔法を起こそうとし始めた。

「気絶なんか、してたまるか!!姉様は僕が…俺が守るんだ!!」

この人は見た事もないほど式を展開するのが早い。

それこそ大魔法でも時間を掛けず発動出来るだろう

。勝ち目は薄い。

だから俺は勝てなくていい。

この人のこの強大な魔力を少しでも減らせたら。

俺の大切な姉様が傷付く可能性が少なくなる。


「守る…?もぅ本当に…この世界はおかしいのね」

視界を眩ます強力な魔法の数々。

残った俺の魔力でギリギリまで粘るにはこの魔法に当たらないようにしなければ。

「…おかしいのは貴女でしょう」

俺は身体を低くして魔法を構築し始めた。



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