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新たな攻略対象者は奴隷?

ギルを引き取って3年が経った。

私は12歳ギルは10歳になり、ギルも大分男の子らしくなってきた(相変わらず私にべったりだけど)


そんなある日私は街で気晴らしに遊ぼうとギルを誘い街に出た。

華やかな女性服、甘い匂いのするお菓子、美味しそうなご飯。街には気を取られる物が多く存在する。

私達はお揃いのピアスと綿菓子のようなお菓子、ハンバーガーを食べながら街で遊んだ。

夕方……日が暮れた頃だった。


「なんだか騒がしいわね……?何かしらちょっと行ってくるわ」

嫌な騒がしさだった。

胸がざわざわするようなそんな騒がしさ。

「姉様だけじゃ危ないよ、僕も行く」

慌てたようにギルが追い掛けて来てそう言った。

ギル……私は貴方より年上なのよ……?まぁ可愛いから許すわ!!

私達が遊んでいた表通りよりも裏。光が差しにくく暗い裏通りでそれは起こっていた。


「13歳男!!健康でサンドバッグ、荷物持ち、性奴何にでも使えます!!ただし忌々しいこの赤目!!お値段お下げしましょう!!」

表向き禁じられている奴隷市だった。

父親は隠れて奴隷を売りお金を儲けているのだ。

鎖に繋がれた少年は艶のないくすんだ銀髪に緋のような赤目だった。

聴衆に晒され乱雑に扱われて瞳は屈辱と憎しみに燃えている。

赤目は悪魔を呼ぶ色としてこの国では忌み嫌われている。魔力持ちに多い色でもある。

「これは……姉様どうしますか?」

私以外にはめっきり冷たいギルは奴隷商人を睨みながら問うてくる。

「どうするもないわ。奴隷を売るのは犯罪ですもの憲兵を呼びましょう」

……それにあれ隣国の王子だよね。攻略対象者の。

あの人のエンドは、私が隣国の兵の慰み者になりつづけ狂い死にするのよね……確か。

ギルの魔法(テレポート)を使い憲兵の詰所へ行き先程の場所へ同じく飛ぶ。


「貴様ら!!奴隷を売るは犯罪だと知っておるのか!!買うも犯罪だ!!牢獄へ繋げ!!」

私達が捕まえた憲兵は当たりだったようで動きよく奴隷商人を捕まえ、その場にいた者を捕まえていく。

……奴隷にされた者も助けたかったのだけれど、あの少年(攻略対象)が最後だったのね。奴隷は彼しかと残っていなかった。

「ねぇ貴方……帰る場所は?」

「今更……そんな所はない」

一時期のギルを思い出させる澱んで濁った瞳

でもゲームじゃ奴隷に堕としたのは私なんだけどなぁ……私何もしてないんだけど……補正って怖い。


「姉様、家に彼を引き取ってはいかがでしょう?魔力持ちならば護衛とでも言えば義父様は納得なさるでしょうし」

珍しくギルが彼を擁護するように言ってくる。

「そうね……貴方さえよければどうかしら?」

「……いいのか?」

それに昔のギルを思い出させるそのズタボロさは、ちょっと許容範囲を超え手入れしたい衝動に駆られてしまう。磨けば光る逸材だし!!

「ヒューリだ……よろしく頼む」


隣国は王家の争いが過激な事で知られている。新たな王が決まるとその王の兄弟は殺されたり奴隷にされたりしてしまう(ゲームでは無かった。こんな設定は!!)

ヒューリはその容姿と魔力持ちだということで高値がついたらしい。そして奴隷に堕とされた。

「……まぁ王宮でも、扱いは対して変わらない5番目の王子だ」

治療しつつ今までの事を聞いてくと なんとも重い情報がもたらされた。

怪我の手入れをして、汚れた髪を拭く。うん手入れしたらさぞや綺麗な銀髪……やばい父親から隠さないと。あの豚綺麗な者と見れば見境無しに傷付けて犯すのが好きな異常な性癖持ちだからな……

「ヒューリ、貴方怪我が癒えるまで部屋から出ないでちょうだい」

怪我が治ればあの父親から逃げられる……だろうし


されどその予想は大きく外れる。この世界の粗筋は私がどうこうせずとも彼等にトラウマを植え付けるように動くみたいに。

それはヒューリの目にやっと光が宿って来た頃だった。ギルはまめにヒューリのそばに行き仲良さげに話していた。

男の子同士の友情もあるだろうと私は市街の図書館に向かったのだ。ここには絶版の本や貴重な本が沢山あって私のお気に入りの場所だった。

そして私はそこに行くと何時間も帰らない。

父親は私が居ないすきに家に来た時から目を付けていたヒューリを犯そうとした。


……私にはギルのような絶大な魔法は使えない

だけど私は細かい芸当が得意だ。

例えばヒューリの髪を纏めている紐に《何か危険な事を感じたら私をその場にテレポートさせるように》とか(その場合私の少ない魔力がごっそり持ってかれるが仕方ない)。勿論私がそんな魔法を使えることなど両親にはばらしていないが。


さてヒューリはあの巫山戯た父親に犯されそうになって本能的に恐怖を感じたのだろう。

ヒューリの髪紐と、私の髪紐が共鳴し私はヒューリを押し倒す父親を目撃するハメになったわけだ。

シャツが破られ右の頬が赤いヒューリは父親に押し倒されても気丈に振舞ってはいたようだがカタカタと小さく肩が震えていた。

「お父様……その方は私の客人だとお伝えしたはず。なぜ私の部屋に勝手に入って客人を押し倒していらっしゃるのかしら」

いつもいつもそうだ。この両親は私の邪魔しかしない

両親の前では基本無表情無口な私がゆらゆら空気を揺らすほどの怒気を纏っている事に気付いた父親(もう豚でいいや)はあたふたと言い訳をする。

「い、イゼリア!!違うのだ!!このものが私を誘惑してきた故穢らわしいと調教していたまでだ!!」

「……調教?お父様私はお父様ととことん話が噛み合わないようですわ。早く部屋から出ていってくださいませんか」

だから客人だと言ってんだろうが馬鹿なのかこの豚

どこの世界に客人を調教する阿呆が居るんだよ!!


ぶわりと風が吹き豚の身体を吹っ飛ばした。

「イゼリア姉様、申し訳ありません。魔力が暴走しました」

瞳を金に変えギルが棒読みで言う

「……構わないわ。そうねなんだったらこの部屋壊しても良くってよ」

ベッドの上のヒューリに当たらないように器用に魔力を暴走させるギル。

ヒューリは身体が冷えきっていた。

「す、まないイゼリア、使う気は無かったんだ」

「……だが、どうしても耐え切れなかった…っ!!…済まない、済まないイゼリアお前の身体に負担を……」

緩く私の袖をつかみながらヒューリが謝る。

「構わないわ。そのために渡したのだから……大丈夫私が暫く使えずともギルが貴方を守る……ギルは私より強いから安心してくださいね」

急激な魔力消費は身体に大きな負担を掛ける。症状は人によってバラバラだが私は眠るのだ。


ただただ淡々と寝続けるらしい。

「……ギル、ヒューリを……暫く休むわ……」

反動は早くも身体を襲う

異常な眠気……意識が引っ張られるように暗闇に沈んだ。

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