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影視点

俺がアルフォンス様に付いたのはアルフォンス様がイゼリア様、ギルバート様、ヒューリ様と接し初め、目に光が宿った頃だ。

その頃からアルフォンス様は周囲の憐憫の目や侮蔑の目を気にせずギルバート様やヒューリ様と活発に動き回っていた。

王宮の一室から出ることなく閉じこもっていた頃は護衛も騎士だけで事足りたが外に出るとなれば話は別だ。影からもお守りする必要があった。

そこで俺がアルフォンス様に付けられたのだ。


厳密にいえばアルフォンス様に付いたのは3人の影だ。その中でも俺はアルフォンス様に歳が近かったため色々と頼みやすかったのだろう。

他国の姫君がイゼリア様に何かしそうだと、だから君が見ていてくれないか、と頼まれたのだ。

幸いな事にアルフォンス様に付いている他の二人の影は優秀だから俺が離れても大丈夫だ。

俺はアルフォンス様の命に頷き、カティナ王女に暫く付くことになった。



***


カティナ王女は恐らく父母の前では分厚い猫を被っているのだろう。そうでなければ問題児と言われててもここまで礼儀と常識知らずな女を他国に送り込まないだろうから。

思うに被害に遭っている者たちは更なる被害に遭わないために、まだマシな事をカティナ王女の父母に言ってる(又は報告してる)に違いない。

アルフォンス様に無礼にも下に付けと言ったり

レオナード殿に何かを言ってあの冷静沈着なレオナード殿を憔悴させたり。

イゼリア様には明らかな敵意を向けているようだ。

どうやらカティナ王女は男にしか興味がないらしく女には態度が更に硬化する。

興味があるのは見目麗しい男だな今のところ。


長く付けば付くほどカティナ王女は王女に相応しくなく思えた。

地位の低い者に対し当たり前のように折檻する。上手くいかない時は当り散らす事もあった。

イゼリア様がスラムの者にすら優しいから麻痺していたが本来姫君とは大体こういうものなのだと俺は忘れかけていたようだ。


侯爵領を見に行った時のことだ。

嫡男のエリオット様は随分見目麗しい青年だがカティナ王女は余り興味がなかったらしい。

今までのように声を高く甘くさせることもなく、ベタベタと触れる事も無かった。

今日は初めて平和に終わるかと思ったときの事だ。

イゼリア様がエリオット様に会いに来たのは。

二人は仲睦まじく手を繋ぎながら侯爵邸に向かった。カティナ王女の視察の続きは執事長がやる事になっていたらしい。

確かに侯爵家の執事長ならば護衛も質問もなんでもこなせるだろう。賢明な判断だ。


ところがカティナ王女は幸せそうなイゼリア様をまるで殺したいと言わんばかりに憎悪や嫉妬心…およそ考えられる汚い感情をごちゃごちゃに煮たみたいな凄まじい目で睨み付けていた。

これは…必ず何かイゼリア様にしそうだと思った俺はアルフォンス様に報告を急いだ。



イゼリア様にカティナ王女が害をもたらせばカティナ王女の国は無事では済まない。

…それを分かってくだされば良いのだが。



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