原作開始……?です!!3
私の手を握ったまま眠りに落ちたレオは思ってる以上に追い詰められていたらしい。
寝ているレオは安心してるように見えるけど、目の下に隈もあるし不眠症気味になり掛けているのか…それだけ、あの事はレオの中で重いトラウマなのだろう。
***
「…?いつの間に…」
「おはよう、レオよく眠れた?」
あの後レオの部下がやってきて寝ているレオを見てホッとしたように息を吐くと私を見て
「ありがとうございます。コレで隊長も倒れずに済みます」
と言ってレオを自室に運んでくれたのだ。
起きたばかりのレオは寝惚けているようで、普段より幼く見え、いつもキリッとした顔か悩んでいる顔しか見てない私には新鮮に見えた。
「イゼリア…?本当に傍に居てくれたのか」
「だって約束したでしょ?今日はこのまま休んだ方が良いわ。皆も心配してるし」
うわぁああああ!?
レオのへにゃっとした笑顔攻撃力高っ!!
カウンター貰った気分だわ…
「そうだな…イゼリアはもう帰った方がいい。ギルとヒューリはどうした?」
「レオが起きたからそろそろ来ると思うけど…」
窓から見える空はもう薄暗く、確かに帰らねばいくら治安が良いとは言われているものの危険だろう。
あの後ギルとヒューリが迎えに来て私達は王宮を後にした。
明日はエリオットに会いに行くのだけど…
「カティナ王女とどう考えても出くわすよね…」
侯爵領を視察に来るとかでカティナがやってくるらしい。…カティナがエリオットにどう出るか。
それで決まるわね…。
***
「お早うございますカティナ王女」
早速出くわしたのはカティナ王女でしたー。
隣にはエリオットも居るがエリオットは意外にも態度が普通だ。
「あら昨日ぶりですわ…イゼリア様」
相変わらずどこか見下してるような声。
カティナは祖国でも評判が悪いらしい。
国王夫妻もカティナの行動や言動には頭を抱えていて、それで同い年くらいの王族や令嬢と接して喧嘩なりしてみたらどうだと考えたらしい。
カティナの国の貴族子息や令嬢はカティナの機嫌を損ねたく無いがためにカティナに媚を売っているのが分かっていたため近くの国で治安もほどほどに良い我が国に頼み込んだらしい。
そしてこの国にやってきたカティナは共にやって来た監視という名の護衛を見た目が気に入らないという理由で国に返し一人で暴走中という訳だ。
伯父様曰く
「カティナ王女の両親は俺が遊学中とてもよくしてくれたのだ。そんな2人に頭を地に付けて頼まれては断れない。それに王女が四年の遊学期間が終われば我が国と独占で貿易をするという」
つまり国では面倒見切れない姫をどうにかして下さいと我が国に押し付けた的な?
対価はカティナの国の他国では高価取引される陶磁器や布って訳ですか(原作では無かったんですよ。そんな特産品みたいなの)
それは…国益からしたらかなりの条件ですね…
それ故王女の発言には目を瞑っているらしい。
だが発言には目を瞑るが、行動に移した場合は話は別だという。
何故なら発言には証拠が無いが、行動なら証拠が何かしらあるからだ。
その場合は伯父様もカティナの両親に強く出れるだろうと予想する。
その前にカティナが私と同じ(転生者)かどうか知りたいんだけど…。
エリオットが平気そうにしてるのはカティナの好みのタイプではないからだろうか。
「カティナ王女、それでは俺はこれで。イゼリア、俺の部屋で待っててくれるかい?」
エリオットが私を見てふわりと笑う。
領地の案内はエリオットではなく侯爵家の執事長がやるらしい。
私の手を取って屋敷へ向かうエリオットは何時も通り優しくて。
私達の後姿を見るカティナが憎悪に満ちた顔でいた事を。それをアルフォンスが私につけた影が見ていた事は誰も知らない事。