原作開始……?です!!2
「アルフォンス…えっと、入って宜しくて?」
…比喩じゃない!!冗談抜きで部屋が極寒!!
ちょ、後ろの二人までプルプルしてるし!!
「アル兄様…?」
カタカタ震えているギルがアルフォンスの服を引っ張る
「…ああイゼリア?ギルもヒューリもよく来てくれたね。お茶でも飲もう」
そこでやっと私達に気付いたのかアルフォンスが振り向いて言ってくれたのだけど…
「その前にその怒りを静めてちょうだい!!」
下手したら熱い紅茶もキンキンに冷えてるみたいになってしまう!!
もう寒いんで温かいのください。
***
「いやぁ…カティナ王女は凄いな。この部屋にいきなりやってくるなり俺のことを可哀想だとか言い出してな。」
怒りが解けてきたのかアルフォンスが先程のヒロインに突撃された時のことを話し出した。
「イゼリアに対しても酷かったぞ」
ヒューリが紅茶を飲みながらイライラしたように言う。そうだね君さっき魔法使おうとしたもんね。
「そうか。恐らく彼女は自分の立場を分かっていないんだろうな。…レオナードにもかなりしつこく話し掛けていたぞ。護衛の為に付いていたのだが碌に仕事が出来なくなりそうだからな。部下に変わっていたが」
「「…あぁ」」
アルフォンスの言葉に何故か二人が納得する。
「まぁ遊学期間が終われば帰る。…それまでの我慢だな。」
遊学期間ねぇ…。
それは原作通りなら2年間。私が二十歳になるまでの長さだ。
早くも疲れてるっていうか苦手になってるのに2年も耐えられるのだろうか。
若干帰らないでってオーラを出しているアルフォンスに後ろ髪を引かれつつ私達はレオのフォローに近衛騎士団の宿舎へ向かった。
「帰りたいわ…私」
騎士団の練習がいつもよりハードなのは後ろ姿からしてピリピリしているレオのせいだろう。
「だ、ダメです!!帰らないでくださいイゼリア様ァああああ!!」
「俺達は…見習いは騎士の先輩方ほど体力が無いんです!!イゼリア様が帰られたら!!」
見習い(もう少し大きくなったら騎士になる)君達が悲鳴をあげて私達を引き止める。
なんでだか良く分からないけどギルもヒューリも見習い君達とレオの部下に連れて行かれた。(2人とも最後まで渋っていたが結構無理矢理連れてかれていたので皆相当テンパっているんだろう)
「…レオ、ねぇ少し休まない?」
話に聞いたらレオはカティナの護衛を下りてからずっと鍛練をしているらしい。
何かに取り憑かれたみたいで見てられないとレオの部下が嘆いていた。
「イゼリア……?」
振り向いた翡翠の瞳が虚ろになっていた。
少し長い金髪が少しパサついている。
苛立っていると思っていたレオは初めてあった時より弱っているみたいだ。
「何があったの!?どうしてこんなに…!!?」
「…カティナ王女が…俺を気に入ったと。…目があの男のようで、俺に触れた手があの時みたいに情欲に塗れていて振り払ったら…」
駆け寄った私にレオは縋るように手を伸ばして私の腕を掴んだ。
「俺を男に売ると…カティナ王女が…何故、何故知って…イゼリア…」
「…私は今日初めて関わったのよ?何も言ってないし、そんなこと言うはずもない」
どうやらカティナ王女はレオのような男を痛めつけるのが好きらしい。
っていうかイケメンを痛めつけるのが。
それは歪んだ性癖を持っていらっしゃるようで。
ただ自分より立場が低いとレオを侮っているのか一国の王女にしては随分と下衆い脅しだ。
たまたまソレがレオにとっては最も有効的かつトラウマを刺激する脅しだったが普通ならぶち切れてもおかしくない。
え、ていうか割とガチ目にあのヒロインに何があったわけ…?




