表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/54

近衛騎士団隊員視点

「僕に剣を教えて下さい!!」

「頼む。強くなる必要があるんだ」

そう言ってオルシア家の二人は頭を下げた。


ここ最近アルフォンス殿下の元にあのオルシア家の子息と令嬢、令嬢の従者がやって来た。

だが近衛騎士団の考えとしてはソレを納得することは出来なかった。

悪名高いオルシア家の者が王宮に入る事をなぜ陛下はお許しになるのか。今はいい顔をしていても親のように、いつかなるだろう。


俺達は皆そう思い、陛下に、殿下に害なす前にあの三人に王宮から消えてもらいたかった。

だが陛下はそんな俺達にこう仰った。

「余の姪はオルシア家に居てオルシア家のものではない。お前達も話せば分かるだろう」

賢妃と名高い王妃様もそんな陛下を止めないのだから王妃も同じ考えなのだろう。

俺達はならば、と殿下に訴えたが殿下も

「あの3人はそんな話とは全然違う。噂を全て信じずに自分の目で見てくれ。」

と悲しげに言われた。殿下にとってはあの3人は唯一対等に遊んでいる友人であるのだから俺達の言ってることは残酷な事だったな、と後から後悔した。


そもそも俺達(全員ではなく極一部だが)はオルシア家の当主夫妻の卑劣なやり方で一度辛酸を舐めるどころか地獄を見たのだ。

噂ではレオナード隊長もその被害にあったらしい。

……俺達がたまたま男で近衛騎士団が貴賎に問わないという考えだから這い上がってこれたが、もし俺達が女児だったら……近衛騎士団が身分を尊んでいたら俺達はそのまま奴隷か死ぬような目にあっていたことだろう。

そんなオルシア家の者を誰が好き好んで鍛える。

そう誰もが思っていた。

だから教えにかこつけ殴ったり、蹴ったりわざと試合時間を伸ばし嬲ったりした。

だがギル(呼び捨てでいいと言われた)もヒューリ(以下同文)も俺達を悪意や害意を持って見る事はなかった。傍らで見守るイゼリア(以下同文)も不安そうに見ていたがそれでも止めはしなかった。


何度も何度も向かってくるギルやヒューリは這い上がる為に血反吐を吐いて努力していた俺達の過去を見ているようだと思ったのは随分経ってからだろう。


よくよく話を聞けばあの3人はオルシア家の当主とほぼ関わっていないそうで周囲からも勘当されたのでは?と噂されていた。

その話を信じれるようになる頃には俺達もあの二人に真面目に稽古をつけるようになっていた。

男の中に混ざれないイゼリアはたまに暇を持て余して見えたが隊長がお茶に誘っているのが見えた。あの隊長がだ。

前々からイゼリアの話をする時だけは纏う雰囲気が柔らかくなったりしていたが……

どんな令嬢に声を掛けられてもあの付けたような笑顔で対応(たまに笑顔すら消えて無表情になる)して、つれない隊長が本当に嬉しそうに笑ったり……大事そうに触れたり、愛しそうに笑ったりするのを見て俺達は隊長が言葉では言わないもののイゼリアの事が好きなんだなぁと分かった。



そうと決まれば俺達は隊長の味方だ。


ギルもヒューリもオルシア家の者だが好ましい性格だし稽古にも一生懸命だ。

多少時間を伸ばしても俺達は何の苦でもない。

俺達は少しずつ稽古時間を増やして隊長をイゼリアと長く居れるように仕向けた。

侯爵家の跡取りとイゼリアは婚約してるようだが隊長だって、貴族席に入っていて侯爵家には叶わないが贅沢も出来るだろう。

並んで座っている2人は絵画のように絵になる。


今まで散々苦労して、マトモに人を信じれなくなりつつある隊長がこの先、人を本気で好きになる可能性は低いだろう。

(だからイゼリア、隊長とくっついてくれ!!)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ