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レオナード視点2

イゼリアと出会って10年が経つ。

成長した俺は近衛騎士団で隊長に昇格することが決まった。


今夜はあの忌まわしくも恋しい日のように月が大きく俺は帰り道にある公園を歩いていた。

大きく咲く月下美人。

明るい月明かりが俺を照らす。

イゼリアとはこんな光景の中出会ったな…と物思いに浸った時だった。

背後から軽い足音が聞こえてきたのは。


誰だと思い振り向き、見えたのは月下美人よりも美しく成長したイゼリアだった。

驚いて一瞬息が詰まった。

「……イゼリア様…?もしかして貴女は夜、この花が咲くときしか現れないのですか?」

声が少し震えた事がバレなかっただろうか。

そもそも幼かった彼女が俺を覚えているのだろうか。忘れられていたら……と思いながらも俺は声を掛けるのを止められなかった。


「……あら、この事は家族には秘密にしてくださる?レオ。此処は私の秘密の場所なのですから。それと昔のように話して下されば嬉しいのですが?」

イゼリアも俺に会うとは思ってなかったようでびっくりしたように見えたが、クスクスと悪戯そうに笑うイゼリアはレオ、と俺の名前を呼び昔のように話そうと言った。

覚えていてくれただけでなく変わらないその雰囲気が嬉しくて顔が緩むのを感じる。



***


「そうそう、騎士団での昇格の事お聞きしましたわ!!本当に目出度い事です。何か御祝をしたかったのですが…何分手持ちが無く…また今度何か改めてお渡ししますね」

どこで知ったのかイゼリアは本当に嬉しそうに俺の昇格を祝ってくれた。


「ありがとう。イゼリア……だけどモノは要らないんだ。そうだな。たまにでいい俺と会ってくれないか?」

祝いの品をくれるというなら俺はイゼリアに昼でも会いたかった。

心臓が有り得ないほど早く動く。

緊張している、とイゼリアでも分かっただろう。

「…会うだけで良いの?なら王宮に行った時は挨拶に行く、それでいい?」

少し考えたイゼリアはふわりと笑いながら俺に問い掛ける。

そういえばイゼリアはアルフォンス様に会うため最近王宮にたまに来るようになった。

「あぁ。それでいい」


イゼリアが俺と恋に落ちてくれるなんて思わない。婚約者であるエリオット様との仲も上々だ。

だから俺のこの想いは口に出す事は許されないことだろう。

公園からオルシア家の裏手の門までを、あの時の道とは違う道で歩いていくイゼリアはこれから花が咲くように綺麗になる。


だから門の近くで立っていたあの男は苦労する事だろう。イゼリアは自由な人だから。黙って守られてはくれないだろうし。


(…俺はずっとイゼリアが好きだ。きっとこのままこの想いは変わらないだろう。……優しい貴女がどんな道を選んでも、幸せになってくれる事を強く思っている)

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