とある再会
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ギルバートはあの後もアルフォンス……アルと交流を重ね、ヒューリは少々ぎこちないが3人はとても仲が良くなった。
ええそれはもう私が少々寂しくなるくらいには。
あれから月日は流れ、ギルは14歳、私は16歳、ヒューリは17歳になった。
ギルは私にべったりだったのが、程よく…いや結構やっぱりシスコンだけどマトモになった。まぁ私が怪我したり病気になったりしたら取り乱してしまうところは変わらないけど。
ヒューリはあの銀髪をポニーテールにしていて身体付きも大分大人の男の人みたいになってきた。
剣を腰に携えている姿は理想の騎士だ。
周りからの評判はクールでストイック、女人につれないとの事だが彼は私とギルの前だと照れたり良く笑ったりと可愛らしいままだ。
……それ故不幸な事に私はヒューリのクールな所は見れた事がないのだ……。
そして私はというと婚約者であるエリオットと会うようにしている。エリオットはアレ以来ヤンデレの傾向は見られない。
そんなエリオットは今も線の細さは変わらず女の子の服を着てしまえば女の子友達と思っちゃうほどの位の美人さんに育った。
……原作でエリオットって腹黒属性だったかが、今私が思い出したいところである。
そういえば最近知った事なのだが、余りにも私とギルが自由に動いていること、住んでる場所が違う、両親と動いていないということで私達はオルシア家から勘当されたのだと思われていたらしい。
少なくとも領民はそう思っていたらしく、これは王宮でも囁かれていたそうだ。
コレには私も驚いた。
そんなある日だった。
「……近衛騎士団の隊長が変わる?」
アルからの手紙にはそう書いてあった。
そうかレオナードももう22歳だ。そろそろ立場が上がっても可笑しくない。
目出度い事だと思わず表情を緩めた私はふと思い立って部屋を離れた。
(そういえばそろそろ月下美人が咲く頃だなぁ……本館の庭の月下美人は枯れてしまったから近所の公園に見に行こう。)
この世界は夜でも明るい。
星が見事なほど綺麗に見える街は街灯に淡く照らされ昼間とはまた別の表情を出していた。
そして訪れた庭園は痛いほど静かで。
月明かりに映える月下美人の白さ、クラクラする程の香り。
10年前と同じように彼は花の前に立っていた。
スラリと伸びた体躯、鮮やかな金髪、翡翠色の瞳が私を見る。
「……イゼリア様…?もしかして貴女は夜、この花が咲くときしか現れないのですか?」
10年前に一度会っただけだというのに彼は私の事を覚えていたらしい。どこか嬉しそうに笑いながら問い掛けてくる。
「……あら、この事は家族には秘密にしてくださる?レオ。此処は私のヒミツの場所なのですから。それと昔のように話して下されば嬉しいのですが?」
すると彼は俺の事を、覚えていたのか?と今度はハッキリ嬉しそうに言うレオ、そんな彼にはもう父親のトラウマが刻まれているのだろう。
それでも変わらず私に敵意を向けてこない彼は一体何を考えているのだろう。
「そうそう、騎士団での昇格の事お聞きしましたわ!!本当に目出度い事です。何か御祝をしたかったのですが…何分手持ちが無く…また今度何か改めてお渡ししますね」
手紙で読んだ事を思い出し今更だが私はレオにお祝いを言った。
「ありがとう。イゼリア……だけどモノは要らないんだ。そうだな。たまにでいい俺と会ってくれないか?」
そう言ったレオはどこか緊張していた。
「…会うだけで良いの?なら王宮に行った時は挨拶に行く、それでいい?」
レオの所属する近衛騎士団は王宮で仕事をしているのでアルフォンスに会うときに行けば必ずとは言えないが高確率で会えるだろう。
私がそう思って言うとレオはホッとしたように空気を緩めた。
「あぁ。それでいい」
その後私はレオに危ないからと家の近くまで送られた。(なぜ途中までだったかって?…ヒューリが居たからね!!気紛れだったから書置きも無かったので凄く心配したらしい)
……いやーヒューリが怒ると怖いわー……




