従兄弟殿は攻略対象者です!!
……ある意味衝撃的な成長をしていたエリオットに私のライフがガリガリ削られました……ええ。本当に
あの後私の動揺が珠玉を通してヒューリに伝わり隣室からギルやヒューリが飛んで来て、エリオットも頭が冷えたのでしょう。
こっちが申し訳なくなるくらい顔を青ざめさせて謝ってきましたよ……
そして家に帰り部屋で落ち着いていた時だった。
「お、伯父様…え…これはなんの冗談で…?」
気配なく伯父様付きのもう顔馴染みになりつつある暗部の方が届けに来たのは、まさかの従兄弟殿に会って欲しいという手紙でした。
……え、王妃様が許してるんですか
我が家アレですよ。従兄弟殿を何度か殺そうとしてますよね?あの夫婦誕生祭で従兄弟殿の事を憎憎しげに見てたし。
そんな家の子供に面会させちゃうの……!?
結構悩んだものの特に断る理由(断る勇気も)が無かったため渋々王宮へと向かう。
手紙には出来れば友達にしたいのでギルとヒューリも連れておいでと書いてあったので道連れだ!!
「姉様……本当に僕なんかが王宮などへ行っても良いのでしょうか……」
元々スラムに近い場所に居たギルは緊張で青ざめているしヒューリに至っては顔色が真っ白だ。
「大丈夫、伯父様は優しい方よ?ギルもすぐに好きになるわ……ヒューリも安心してね」
***
「おお、よく来てくれた!!イゼリア、ギルバート、ヒューリ」
朗らかに笑う伯父様は従兄弟であるアルフォンスと同じ黒髪に焦げ茶色の瞳だ。
人懐っこい笑顔の伯父様は人を引き付けてやまない魅力がありカリスマ性がある。
そんな伯父様に2人もホッとしたのが分かった。
隣に立つ王妃様も白薔薇と称されるだけあって色白でとても美しく、子供を産んだとは思えないほど若々しい。
……当たり前だけど父親とは兄弟だというのに全く似ていないなぁ。
「お久しぶりですわ国王様、王妃様もお元気そうでなによりです」
「なに堅苦しい挨拶は良い、それとイゼリア…国王様は他人行儀で寂しい。伯父様と、呼んではくれないのかい?」
少々悲しげに言われ思わず私は頷く。
……後ろの二人の精神状態を見るに早目にアルフォンスの元へ向かった方がまだマシかと思い話は早目に終わらせて私達はアルフォンスの元へと向かった。
***
「会うのは久しぶりだな。イゼリア…」
「ええ、お久しぶりですアルフォンス様」
うわぁあ待って伯父様!!!
ギルやヒューリより目が死んでるんだけど!!
難易度S過ぎじゃないっすか!?
「しかし王宮でも忘れ去られている俺に会いに来るなど……目的はなんだ?」
息をするように自然とアルフォンスは自分を卑下し、皮肉ではなく本気で疑問に思っているのが分かった。
「そう自分を卑下しないでください。貴方は王位継承者でしょう?それに目的などありませんわ。単純に従兄弟に会いに来ただけですもの」
広いこの部屋は寛げないし私だったら長くは居れないほど静かで。
アルフォンスはほぼ一日中ここにいるのかと思うと少し悲しくなった。
「…そうなのか、だとしたら嬉しいな。ここでは目的なく俺に話してくれる者は居ないから」
私の一言に死んだような無表情さは変わらないが空気がふわふわと嬉しそうになる
これは原作でも確かに放っておけないキャラNo.1だったけど……!!リアルで見るとガチで放っておけなくなるな……!!
「アルフォンス様、僕はギルバートです!!ギルって呼んでください」
ギルは声を弾ませて自己紹介をする
ヒューリは自分が従者なので紹介は私から、との事だったので私が紹介した
「アルでいいよ。様は付けなくていい。ギル、ヒューリと呼んでいい?」
アルフォンスはてきぱきと紅茶を用意し、寛げるようにしてくれる。
その日初めは言葉途切れに話していた私達は帰るころにはとても話が弾むようになっていた。
「姉様、アルはとても優しいですね!!伯父様も優しかったです!!」
帰りの馬車では行く時と打って変わってはしゃいだ様に言うギルにヒューリも嬉しそうに同意する。
「そうねまた会いに行きましょうね」
「はいっ」「そうですね」
2人とも仲良くなってくれて良かったな…
相性悪かったらどうしようかと思ったよ…。




