第16期:四国の乱(前編)
今期の一言:勝兵は先ず勝ちて而る後に戦いを求め、
敗兵は先ず戦いて而る後に勝ちを求む
―孫子
グランフォード大陸にある国のうちの一つ、ルティック。カルディア聖王国軍とシエナ王国軍の連合がグレーシェンに敗れたのち、宗主国の実力に疑問を持ち、周囲の国々と同調してシエナに対して反乱を起こした。
元々このあたりの地域はシエナ王国とその属国たちの集まりであり、有事の時にはシエナが援助を惜しまない代わりに、宗主国への忠誠の証として多数の上納品を納めなければならなかった。例えばグレーシェンやブランドルは交易によって得られた利益の半分を「交易で儲けられたのは宗主国が治安を維持してくれているからその感謝として」という名目で上納させられていたし、今回紹介するルティックでも、特産品である綿織物と絹織物を上納しなければならない他、生産された食糧の半分はシエナ行きだ。更に悪いことに三度行われた竜族討伐においても、遠征軍の兵糧を負担しなければならず規律の悪い他国軍兵士に畑を荒らされる始末。もはや堪忍袋の緒が切れた。収奪するだけしていざというときに国を守ってくれないような宗主国では困るのだ。
だが、ただ反乱を起こすだけではだめだ。
シエナは腐っても大国であり、限界まで動員すれば万単位の兵力を動かせる。それに比べ、ルティックは兵の質こそ並だが動員兵力は最大でも5000に満たないし物資も余裕がない。反乱に同調してくれたオーヴァン、ファズレー、ドレスタッドもその国力はお寒い限り。普通なら彼ら烏合の衆はシエナの圧倒的な軍事力に押しつぶされるのが落ちだろう。
「そう…シエナの主力が動きましたか。」
「推測では5日後には国境のネン川を越え、わが領土に侵攻するでしょう!正確な数は分かりませんが、恐らくは8000人以上は差し向けてきたものと見えます。」
「わかりました。兵たちには引き続き準備を急がせなさい。」
「はいっ!」
ルティックの若き女領主ランジュ。
緑のウェーブが掛かった髪に、それなりに整った目鼻、高位の術士が着るような白の法服に身を包み、木で編まれた髪飾りを着用している。ランジュはついこの前までナーゲルリングに術を学ぶため留学していた。だが、父親であり前領主のファルネーゼが、先月訓練中に大けがを負い、その傷が元で亡くなったのだ。そのため、唯一の跡取りである彼女が志半ばで学業を断念し、領主の後を継いだという経緯がある。反シエナ同盟の旗頭であり、豪胆だったファルネーゼを失ったことは大きな打撃であったが、ランジュもまた秀才とうたわれた人物である。家臣たちも再び一致団結して領主を補佐することとなった。余談だが、グレーシェン領主のクーゼと許嫁の関係にあるのだが、双方とも両親がすでに他界しているので、二人ともそのことを完全に忘れ去っている。
「…………フーシェ殿。」
「ここに。」
政務官が退室しランジュ一人になると、どこからともなく一人の男が現れた。
透き通るような水色の長髪を後ろで束ね、きりっとした目をしたイケメンで、
彼もまた高位の術者が着用する、術文字が刺しゅうされたローブを纏い、
そして何よりも特徴的なのが、先端がナイフのように尖った耳だ。
彼…フーシェは森人族とよばれる人類の一タイプである。森人族はいわゆる普通の人類(人間とも)とはあまりかかわりを持たないものだが、ほかの亜人族よりは友好的であり、普通に人間社会に溶け込んでいる個体も多い。なお森人は人間より知能や魔力、身軽さといった面で優れているが、体力や力が人間より劣る。そのためボウマンや術士といった間接攻撃を主体にするクラスになる者が大半である。かくいう彼も『ドルイド』と呼ばれる上級の呪術士で、強化や弱体を得意とする。
「本当に、これでよいのですね。」
「お辛い気持ちは分かりますが、シエナのくびきから逃れるにはこの時を持って他にありません。お父上の志を無にしないためにも、未来のルティックの為…ひいてはグランフォードの秩序の為……領主様のお力を信じております。」
「この国のためにね…。数年前の私だったらこんなこと微塵も思わなかったのでしょうけど。今はそんなこと言っていられないわね。手筈通り、移動の準備はほぼ終わりました。そろそろ住民の避難を実行しようと思のですが大丈夫でしょうか。」
「左様ですな。後は同盟軍がすべて到着すれば完全です。
オーヴァンとドレスタッドはすでにこちらに向かっています。あとはファズレーだけですがどうもファズレーは軍の準備が遅れ気味の様です。」
「仕方ありませんね。彼らが契約していた主力のイスカ傭兵たちは故郷を竜族に攻撃されて急遽戻ってしまいましたから。彼らも契約更新をもっときちんとしていればこのようなことはなかったのですが。」
「一応私が彼らのために新たな傭兵を手配してあります。質はやや落ちますが、アルヴィオン半島から取り寄せた弓兵部隊もいることですし、悪くはないかと。」
対シエナ同盟軍は、旗頭であるルティックの領内でシエナ軍に決戦を挑むことを決めた。もとよりルティックは国境の大半をシエナと接しており、ネン川の南北で分かれるようになっている。彼らはまずこのネン川でシエナ軍を迎え撃つつもりだ。ルティックの軍の三分の一はネン川付近の拠点に駐留させており、同盟軍と共に迎え撃つ体制を敷いている。
「では、私はこれからファズレーに向かいます。いずれまた戻りますのでしばし失礼を……。」
「ありがとう。」
フーシェは再び姿を消した。
「………セスカティエの後ろ盾、ですか。『グランフォードの問題児』の協力など
本当は欲しくないところですし……なによりあの男の好意が逆に不気味ですね。
こちらに何の見返りも要求せず、武器や物資、兵力の目途まで整えるなど…。」
実はフーシェという男、セスカティエ王国に仕える武将である。セスカティエと言えば彼女がナーゲルリング国に留学していたころから、度々他国の国境で諍いを起こすなどする悪名高い国である。ただ、ナーゲルリングはセスカティエの属国のうちの一つであるが、属国への強引な献上品の取り立ては行っていないという話も聞いた。もしかしたら敵対国には厳しく、身内には寛容なのかもしれないという淡い思いもあるが、やはりどうしても好きになれない国である。そんなセスカティエから、内乱を起こす前日にフーシェが派遣されてきた。曰く「シエナへの反乱を我が国が支援します、見返りはいりません。」とのことで、それ以来セスカティエからドレスタッドを経由して「援助物資」を同盟各国に運び入れ、フーシェ自身も影の軍師としてランジュをサポートすると申し出てきた。
果たして彼の…そしてセスカティエの真意はどこにあるのだろうか。
…
ところ変わってアルムテン。
「ん~ふふ~んふ、ふふふふふふん♪かなえ~よ~♪そだて~よ~♪このさきをみたいから~♪」
竜王カズミは陽気に歌を口ずさみながら、紙にペンを走らせていた。
「ご機嫌でございますな竜王様、何か良い事でもあったのですかの?」
「いや、忙しすぎて歌でも歌ってないとやってられないからね。」
「…………左様でございまするか。」
紙の束の山に囲まれて、聞いたことのない歌を歌いながら仕事をするカズミを見て、てっきり仕事を忘れるくらい楽しいことがあったのかと思ったルントウだったが、どうやら違うらしい。
「なーに、忙しいのは今日までさ。全部の部署に命令を出し終われば、
僕も次の作業に取り掛かれるしね。まずはイスカ地方の巡察かな~。
出来れば魔獣をこの目で一度見てみたいし。あとはアルムテン経済圏構想の一環として馬車の車輪幅の統一をするために、クーゼさんやゼーレさんの意見を…」
「流石竜王様……よくこれだけの量の仕事を生み出せますなぁ……。」
カズミが忙しい原因はほかならぬカズミにある。何しろ下手に前世の知識がそこそこ豊富だったせいで、ちょっと見て回るだけで改善案が泉の如く湧き出てくるため、我慢できずにノートに書き殴った案を選別し、仕事に変換する。急激に仕事量が増えたアルムテンの住人たちにとってはたまったものではないが、竜王様の為と言われれば結局喜んでやってくれるのがありがたい。
「はい、それじゃあこれはルントウの分ね。期限は特に決めないからルントウのできるペースでやってくれ。」
「…おうふ」
そう言ってカズミはルントウの前に書類の束を置いた。
その厚さは本20冊分くらいあった。地竜なので重くて持てないということはないが、どうすればここまで案件を思いつけるのかと度肝を抜かれた思いだ。。
「そうだ…そろそろ術練習も始めたいな。」
カズミ自身まだ自分の持つ術をほとんどコントロールできていないため、
竜王として恥ずかしくない程度の術を身に着ける練習をしたいと考えている。
「でも兵士たちの新しい訓練メニューも試してみたいし……」
当然教育にも積極的にかかわりたい。
「………………体もう一つくらい作れないかな。」
「ご冗談を、竜王様がもう一人いれば今頃世界は我らの物ですぞ。」
「いや、真の竜王を巡って最終的に争う未来しか見えないよ。」
この日は特に忙しかった。
「竜王様!火竜族の移民団が到着し、里長の方がご挨拶したいと。」
「分かった、行こう。」
新しい移民が到着し、受け入れの挨拶をしたり…
「竜王様、新種の植物の開発に成功しました。」
「よくやった、詳しいレポートを後で見せて、彼らには褒美を。」
新種大豆の栽培に成功、味噌の実現化を夢見たり…
「竜王様~!お昼のお魚焦しちゃいました……(涙」
「ほらほら、泣かないの。僕は大丈夫だから焦した魚に謝ろうか。」
新米コックを慰めてあげたり…
「竜王様!トイレが氾濫を!」
「またか!あれほど水道管の傾斜には気をつけろって言ったのにーっ!」
氾濫騒ぎがあったり…
「竜王様!南の谷に山族が!薬草の群生地を荒らしています!」
「えぇい、雷竜に討伐命令を出すんだ!薬草へ被害が出ないように徹底を!」
薬草のために山賊十数人を黒焦げにしたり
「竜王様、飯はまだかのう?」
「おーい!最長老がまた徘徊してるよ!誰かお部屋に連れて行ってあげて!」
「む、さては、竜王様の命令で、ここで私を待ち伏せしていたのだな。生かしておけぬ。」
「何言ってんのこの竜!?衛兵、衛兵ー!」
最長老ブラグニヒトと遊んだり………
………
……
…
そしてその日の夕方。ようやくカズミは執務にキリをつけた。
「さ、流石にこたえたなぁ…。どっと疲れが…っ!ふんっふんっ!」
「お疲れ……なのですか?でしたら素直にお休みになられた方が……」
リノアンの労いの言葉に疑問符がついているのは、カズミが疲れたと言いつつその場で激しいスクワットをやっているからだろう。本人としてはデスクワークで鈍った体をほぐしているだけに過ぎないが、竜王の半端ではない体力のせいで過酷な動きも難なくできるため傍から見ると本気で筋トレしているようにしか見えない。
「大丈夫、3時間くらい寝れば三日くらいは不眠で行けそうな気がするんだ。」
「お願いですから御体を労わってほしいのですが……。」
コンコンっ
「失礼いたします、風竜族長リヴァルただ今戻りました。」
「おっとリヴァルか…今開けるから待ってて。」
「えっ…」
「え?」
執務室の扉を叩く音と、リヴァルの声が聞こえた。
するとカズミはわざわざ自分からドアを開けてリヴァルを招き入れた。
今開けるからと云ったカズミの行動にリノアンとリヴァルは一瞬目が点になった。
がちゃっ
「やあリヴァル!出張ご苦労様、そこの椅子にでも腰かけてよ。」
「あはは…まさか竜王様直々にお出迎え頂くとは恐縮です。リノアンが開けてくれるものと思っていましたから吃驚してしまいましたよ。」
「……申し訳ございません。」
「何、そんな細かいこと気にしなくていいよ。」
カズミの困る癖として、たまにリノアンを差し置いて自分でせっせと雑用に走る点がある。本人は別に何とも思っていないどころか、誰がやっても同じだろうとしか考えてないがその場にいるのに反応できなかった者(特にリノアンやシズナが多い)にとって畏れ多くも竜王様にご足労させてしまった罪悪感が少なからず湧いてくる。リノアンはこれをやられるたびに毎晩一人反省会をやっているらしい。
しかし、これだけではなく……
「いやー、君もあっち行ったりこっち行ったりで大変だっただろう。君が望めばそろそろ休暇を上げたいんだけど、どう?」
「私だけがそのようなご厚意は恐れ多すぎて……と、言いますか…あっ、くあっ…私は大丈夫ですから、これ以上お手を煩わせるわけには…」
「いーじゃんいーじゃん、遠慮することはないって。」
椅子に座ったリヴァルの肩をおもむろにマッサージし始めるカズミ。
妙に壺を的確に押してくる指使いが気持ちいいものの、
やられている方ははっきり言って生きている心地がしない。
なおこのサービスは男性限定です。
「そ、それよりですね竜王様!ついに隣国の内戦で決戦の動きが見られます!
シエナはかなりの大軍を動員しているようで、まるで人間が地面を埋め尽くすかのようです!それに対して反乱同盟側も続々とルティックの領土に集結中。私の見立てでは5日以内には本格的な戦闘が始まるかと。」
「なんと、ついに来たか!これはぜひ見に行かなくちゃ!」
リヴァルから、シエナとその反乱軍が戦闘をはじめ層との報を聞くと、まるでコンサートのチケットが手に入ったかのように喜ぶカズミ。実はカズミは前々から本格的な合戦の様子を観察したいと思っていた。以前あったグレーシェンとカルディアの戦いはかなり特殊な事例だったためあまり参考になる点は多くなかったが、今回は大軍同士が真正面からぶつかるのだ。実戦のデーターを取りに行く絶好のチャンスである。
「よーしそうなれば同行人員の選定と、移動計画を立てなきゃね。後はお弁当を用意して……」
「あの…カズミ様、なぜ合戦を見に行くというのにそんなにテンションが高いんですか?人間同士の争いとはいえ死人が大勢出るのはあまり見たくありませんし。」
「まあまあ、これも仕事の内と思ってよ。リノアンも付いて来てもらうから準備しておいてね。」
「はっ……、残った事務仕事は如何なさいますか?」
「とりあえず緊急の物は全部終わらせたから帰ってきてからまた片づけるさ。
シズナさんは………、どうしようかな?この前からなんか数日離れるのもいやみたいだし、かといって殺し合いを見せるのもなんだか可哀そうな気がするし。」
「では私はセルディアを招集してきますゆえこれにて失礼を。」
「頼んだ。見習士官三人も一緒にね。ふふふーん、楽しみだ♪」
『……………』
殺し合いを見に行くというのに嬉しそうな表情をするカズミを見て、
リノアンもリヴァルも「竜王様は疲れている」と結論付けたそうな。
…
三日後。
場面は、シエナとルティックの国境を隔てる河川「ネン川」。ルティック領内にあるウルソアイア湖をもとに西に流れ、途中でアントリム海から南に下るウィラフ川と合流する。
今、シエナ軍とルティックをはじめとする同盟軍はネン川の上流に陣取っている。
川幅は約50メートルほど、深さは1メートルもないだろうと思われる。ここにはシエナから続く街道が通っていて、元々橋もあったのだが橋は事前にルティックによって破壊されてしまっている。それでもこのあたりは浅瀬なので、徒歩でも十分に渡れるだろう。
「ふーん、同盟軍は川岸で迎撃するつもりか。ま、常套手段ではあるよね。」
「兵力が劣っているにもかかわらず野戦で防衛ですか。果たして野戦での勝算はあるのでしょうか、それとも本拠地が籠城に向かないか……。私が察するに恐らく理由は後者でしょうな。」
我らが竜王カズミは、川辺に生えている大木の上に簡単な観測小屋を組みその上で戦闘を観戦することにしていた。同行しているのはシズナ、リノアン、リヴァルに加えてセルディアとセルジュ、それに見習士官三人を連れてきている。
「セルディア、元シエナ軍人の君から見てシエナ軍はどんな感じ。」
「悪くはないですね。全て戦術の基礎にならった配置がなされています。シエナ軍の将はマリアルイズ……彼女はそこそこのやり手ですから目立った失敗はしないでしょう。対する相手はルティック軍を先頭に右翼にオーヴァン、左翼にドレスタッド、遊撃隊としてファズレーをそれぞれ配置させています。リーダーのランジュは勇敢ですが戦闘経験はせいぜい賊退治程度、連合ということも相まって一度崩れてしまうと立て直すのは難しいと言わざるを得ません。」
「反乱軍側は装備に統一性がありませんね。ということは戦力の大半が傭兵ですね。シエナの方も半数は傭兵で占められているようですが、中央の部隊は正規兵の様です。」
士官見習いの男性が指摘したように、この世界における戦争は正規軍よりも傭兵に比率が置かれている。なぜなら正規軍は戦争が無くても雇っていなければならず、
どうしても維持費が莫大になってしまうため、財政に余裕のない国は傭兵に頼らざるを得ない。また、反乱軍各国はそもそも人口が少ないので、徴兵しようにも兵役人口は少ない。傭兵たちは斧兵や剣士と言った軽装だが動きやすいクラスとボウマンが多い。その点シエナは人口を多く有する強国であるため、ある程度の規模の正規軍の投入が可能だ。短兵とソルジャーを中心とした軽歩兵を先頭に配置し、ボウマンで援護するグランフォードではスタンダードな隊形である。そのほかにシエナには装甲歩兵が、ルティックには若干名の術士が見られる。
「……と、いうことは。」
「現状シエナ軍が優勢だね。」
カズミ達は木でできた机の上に布上を広げ、木炭で中央を横断するように線を二本書く。そして線を挟んで小さな木彫り人形を整列させた。これは戦場を簡単にミニチュアにして状況整理に使おうとするのだろう。
「はーい、皆様お茶が入りましたよ♪」
「おぉ、ありがとうシズナさん。ちょうど喉が渇いてたんだ。」
「よかったですね竜王様、奥方がお姫様でしかもこれほどまでに甲斐甲斐しいなんて。」
「おっとセルディアそこまでだ。」
「いえいえ、竜王様の妻として当然のことですわ♪」
「ちょっ…シズナ様……」
自分の役割とお決まりの台詞を取られて涙目になるリノアンであった。
「リノアン、君は記録係だから今日は忙しくなると思う。がんばってね。」
「…!お任せください!」
と、カズミから忙しい宣言が入ると、とたんに目を輝かせるのであった。
(ちょといなぁ、うん…)
リヴァルは心の中で、リノアンがいじりやすい対象だと認識してしまったようだ。
オーッ!オーッ!オーッ!オーッ!
ワーワー!ワーワー!
「騒がしくなってきたね。」
「いよいよですか。」
その日の午前9時頃、ついに両軍は戦端を交えた。
登場人物評
火竜ブラグニヒト 火竜族44Lv
???歳 男性 竜族
【地位】大長老
【武器】なし
【特技】長い説教
【ステータス】力:30 魔力:30 技:8 敏捷:5 防御:38 魔法防御:41 幸運:28
【適正】統率:E 武勇:D 政治:E 知識:E 魅力:D
【特殊能力】旧守派
長老ルントシュテットをも凌ぐ竜族最高齢の火竜。ぼけ老人である。火竜族長サーヤの高祖父にしてアルムテン初代火竜族長でもあるのだが、火竜の寿命を超越するほど長生きしているせいか凄まじい勢いでボケが進んでおり、最盛期には無敵を誇ったと伝えられている高い能力は見るも無残に衰退してしまっている。かといってアルムテン黎明期の英雄を無下に扱うこともできず、彼専属の火竜が数人、衛兵という名の介護にあたっている。それでも目を話すと度々姿をくらませ徘徊し、面倒事を起こし、時にはカズミを敵に間違えて攻撃しようとするなど周囲の気苦労は絶えない。