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竜王の世紀  作者: 南木
第1章:グランフォード動乱
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第2期:チャンス到来早すぎる

今期の格言:その内なんてアテにならないな、今がその時さ!

      ――スナフキン

 グランフォード地方の小国、グレーシェン。

 古くから名馬の産地として知られるこの国は、竜族国家アルムテンの友好国の一つである。丘陵が多く、作物をあまり産出しない代わりに近隣諸国との関係を生かした交易で財貨を稼いでいる。

 特にアルムテンから余った食糧や魔法の触媒となる道具を仕入れ、逆にほかの国に高値で売りつけて稼いだ財貨をアルムテンに入れるなど、とにかくここの領主は商売上手としていい意味でも悪い意味でも有名だ。



「竜王が復活したそうですね、私からもお祝いの言葉を送らせていただきますよ」

「なーんだ、もう知ってるんだ。クーゼさん驚くかなと思ったんだけどなー。なんちゃって」


 政治機関の一室でそんなやり取りをする男性と、少女。

 そのうちの男性の方はこの地を治める領主……クーゼ・グレーシェン。

 一方の少女は銀色の髪の毛の狭間から生える二本の角に銀色の鱗に覆われた尻尾。そう、彼女は竜。風竜のミュニという。ミュニは主に友好国に品物を運び、売買交渉をして金貨を持ち帰るのが仕事である。



「じゃあさ、知ってるんだったら、何か竜王様宛にお祝いくれないかな?」

「ははは、お祝いですか。さてどうしましょう、やはりお酒ですかね。よろしければ先日手に入ったばかりの100年物のお酒をプレゼントいたしましょう」

「いいの! ありがとう、きっと竜王様喜ぶよ!」

「こんなのしかご用意できませんが。ああ、それとですね。こちらのお手紙を竜王に届けてほしいのです。なに、中身はお祝いの言葉ですよ。私は直接アルムテンまで行くことはできませんからせめてお手紙だけでもと思いまして」

「わかった! 竜王様に渡しておくからね! じゃあまた来週来るからね~!」



 クーゼはミュニに瓶入りの上等酒に加えて、一通の手紙を渡す。

 ミュニは特に何の疑いもなく受け取ると、今回の交易の成果とともに懐にしまうと、そのまま窓の外に飛び降りていってしまった。

 この部屋は館の二階にあるにもかかわらずためらいもなく飛び降りる彼女は、奔放な風竜の見本ともいえる。


 ミュニがいなくなった部屋にただ一人残るクーゼは、ゆっくりと執務用の椅子に腰掛けると、何がおかしいのか皮肉な笑みを浮かべた。



「ふふふ……神話にちょくちょく出てくる、悪魔に魂を売る愚か者たち。今なら彼らの気持ちもわかるような気がするな。竜王……その力を御しきることは絶対にかなわないのは承知の上だ。だがほんの一部借りるくらいなら………問題はないだろう?」

「なにが『問題ないだろう?』だよ。また何か悪巧みしてるだろう。」


 誰に言うとでもなく独りごちていたのに、なぜか何者かの返答が返ってきた


「……ケセルダ。ノックは人類最高の発明だと思わないかね」

「したよノック。クーゼが気付いてないだけだってーの」


 いつの間にか入ってきていた、クーゼと同年代の男性ケセルダ。彼はクーゼの幼馴染であり、長年彼を支えてきたかけがえのない友人である。


「ところでケセルダ、竜王は世界征服できると思うか?」

「竜王が世界征服? またなんで?」

「実はな……最近どうも生活が単調だから、大きな博打に出てみたんだ」

「ほうほう、それはまさか……」

「ああ。カルディアの協力要請突き返してやった。そしてアルムテンにある手紙を送った」

「くっははは! こいつぁ面白いことになりそうだぜ!」



 下剋上領主クーゼ、一世一代の決断だった。







 一方そのころ、アルムテンでは。



「カズミ様ー、こちらの管は埋め終わりました」

「ありがとう。じゃあそっちから水流してみてくれるかな」

「了解しましたー!」


 カズミが竜王に憑依してから三日目にして、さっそく水道の建設が行われていた。

 とはいってもこれはあくまで『ためしにやってみる』程度のもので、まだ本格的な上下水道の整備には至っていないが、それよりもまず水道の利便性を確認させて竜たちが水道建設に意欲を示してもらうための第一歩としての意味合いが大きい。


 水道管は煉瓦のような素材で出来た長い筒を使う。

 それを地中に埋め、連結し、台所やトイレなどに分配する。



(それにしても……術って便利なんだな。あっという間に建設が進んじゃったよ)


 カズミが驚いたのは、竜術の利便性と汎用性だった。水道管に使う大量の粘土は地竜があっという間に調達してくるし、焼き上げるのにも火竜術で一気に行うことが出来た。さらに、水道管を埋める作業すらも地竜術を使えば地面を掘ることなく、おまけに短時間で完了してしまう。森羅万象を操るということがいかにすごい事かを改めて認識させられた。



「ルントウ、君たち竜は本当にすごい力を持ってるんだね」

「いえいえ……カズミ様こそよくぞこのような高度な技術をお持ちで。手洗いに水道を通して、汚物を水に流す仕組みはまことに画期的でありますな。しかもその汚物は一転して畑の肥料にもなるというのですから驚いてしまいますわい」

「竜王様の素晴らしい知恵により、私たちの竜術が更なる進化を遂げています。やはり……カズミ様が竜王様になっていただいて正解でした」


 ルントウもベッケンバウアーも、カズミが自分たちの術の可能性を高めてくれるのをとても喜ばしく思っていた。特に地竜は他の竜に比べて日常生活で使える術が非常に少ないため、こういった場で活躍できるのが何よりも嬉しかった。(普段だと土に埋まっているものを探す程度しか利用されないのだとか)


「あとはこの設計図通りに作っていけば―――」

「……カズミ様、お取込み中失礼します。対外交渉要員のミュニさんが戻ってまいりました」

「対外交渉要員……交易に行ってた子か。わかった、今行くよ」


 リノアンに呼ばれたカズミは、建設の指示をルントウに引き継ぐと自分は外国との交易に行っていたミュニの報告を受け取りに行くことにした。


 この国の対外交渉は主に風竜や火竜の仕事だ。風竜はほかの竜に比べて圧倒的な飛行速度と航続距離があり、その上社交的で交渉上手なのでこの仕事はうってつけといえる。

 火竜も風竜ほどではないが他の竜に比べて飛翔が得意で、おまけに力持ちなので、重いものを運ぶときは火竜の出番だ。

 一方で木竜は単体でそれほど強くないので有事の際に若干不利。氷竜はコミュニケーション力に乏しく、地竜は飛翔が苦手。海竜は海でしか行動できないし、雷竜は好戦的すぎて外交関係を損ねかねない。


 よって、おのずと竜族によって役割が決まってしまうのだった。



「ミュニ、ただいま帰りました! これはグレーシェンのクーゼさんから竜王様にお祝いですって!」

「ごくろうさま。お祝いの品は……お酒か。まぁそのあたりが無難だろうね。ありがたくいただくよ」

「……それでミュニさん、今回の交易の利益はどれくらいになりましたか?」

「はい。しめて1740グランと35ペテです。中々の稼ぎですよ! 特に術力回復剤が非常に好評でしたので、もっともっと作ってたくさん儲けましょうよ!」

「そうですね。いずれは効果範囲が広い回復剤の研究も視野に入れたほうがいいかもしれませんね」

「…………」



 カズミが黙っているのは、この世界の通貨計算の方式がやや複雑なせいである。先ほど出てきた『グラン』という単位は、グランフォード地方で最も普及している通貨。それに加えグランフォードの西部と中央部と東部では仕様の異なる通貨を使っている。

 おまけに『グラン』をはじめとするこの世界の通貨は『ペテ』などの地方通貨に換算すると――――


 60ペテ=1グラン


 1グランが大体馬一頭分の値段らしいので、それを考えると今回の交易はそこそこ上手くいったと考えてもよい。なにしろアルムテンは日用品から武器まですべて自給自足で賄えるので、貨幣を使うのは外国からモノを買うときにしか使わない。そのため、それほど貨幣を多く備蓄しておく必要はない。

 まあ……あるに越したことはないが。


 金貨を一枚手に取ってみる。

 金貨一枚の価値は160グラン…銀貨160枚分、銅貨9600枚分に相当する。金含有率はだいたい40パーセント程度であまり質が良くないところを見ると、この世界の金は元の世界よりも貴重品であることがうかがえる。



「竜王様? どうかしましたか、コインをそんなにみつめていらっしゃるなんて」

「ああ、何でもないよ。それよりも僕宛に手紙があるんだって?」

「はいこちらです」


 カズミは巻物状の手紙を開く。

 その中身はいたってシンプルだったが、同時に非常に重要なことでもあった。


「……これはまた、いきなりだね」

「グレーシェン領主からは何と?」

「属国になるから……敵を追い払ってほしいってさ。」

「それは……!」


 まさかいきなり属国の申し出があるとは思わなかったカズミ。

 いずれグランフォードの諸国の一部を味方につけて、従わない国を徐々に征服していこうという戦略プランはあったが、少なくとも1年以上は猶予が欲しかった。なぜならカズミはまだ世界の情勢を完全に把握しきっておらず、軍の動かし方も調整できていないのだ。


「リノアン、至急族長級会議の用意を。あと神官たちも集まるように」

「承知いたしました!」



 とりあえず、族長や神官を集めて彼らの意見を聞くのがよいだろう。

 彼らが正しい見識を持っている保証はないが、知識がほとんどゼロのカズミが独断で決めるよりもだいぶましなはずだ。


 するとそこに、雷竜族長のレーダーが大慌てで駆けつけてきた。



「おい竜王様! たいへんだ! はんらんだ!」

「反乱だって!?」


 よりによってこんな時に反乱とは! 流石のカズミも大いに慌てた。

 アルムテンの住人はほぼ全員がカズミに服従しているように見えたが、実はカズミのことを快く思っていない一派がいたのではないだろうか……。

 いくら自分が頼りなく見えそうだという自覚があるにしても、竜王就任数日で反乱を起こされるのは明らかに舐められている証拠だ。すぐさま対処しなければアルムテンはいきなり瓦解してしまうだろう。


「それで、反乱を起こしたのはどこの誰!?」

「はっ、トイレが『はんらん』しました!!」

「…………………はぃ?」




 トイレがカズミに対して反旗を翻しました(ジャーンジャーン)



「意味が違うでしょおぉがあぁぁっ!!」


シュバーー!!(竜王ビ→ムがレーダーを襲う)


「ぎゃーす!? す、すんません間違えました! ウ…●●●が反乱を…!」



 ●●●がカズミに対して反旗を翻しました(ジャーンジャーン)



「馬鹿かきみはーーーーーーーーっ!!」


ビーーム!!


「のぉー!?」

「レーダー族長、きちんとした報告をお願いします(怒)」



 どうも反乱……ではなく氾濫というのは、作ったばかりのトイレが詰まってしまったせいで水があふれてしまったそうだ。

 カズミは呆れながらも、水道管の再配備は後回しにして掃除だけは徹底させて竜族長たちを集めた会議に臨んだ。






 族長会議は毎日開かれるようなものではない。

 むしろ、よほどのことがない限り竜族長が一堂に会する機会はそうそうない。あっても年に一・二回くらい…………逆に言えばそれほど重要な決定を下すため族長会議が開かれるということ自体に重要な意味がある。


 そんな族長会議が、このところ毎日連続して行われているのだから、今のアルムテンがいかに緊急事態であるかを如実に表している。



「グレーシェンが属国となることを申し出たと。なるほど、これは容易ならざる事態ですな……」


 神官長セムをはじめとした人間の神官たちは、何やら非常に難しい顔をしている。


「神官長たちは反対なのか?」

「ええ……我が国はは竜王様がおられるとはいえ、他国にまで干渉する余裕はありませぬ」

「そうですとも。我が国は天然の要塞に守られておりますゆえ、外に出ぬ限り手出しできる国はありません。ここはしばらく力を蓄える時かと」


 だが、竜族長たちは積極姿勢だ。


「何を仰いますのあなたがたは。竜王様、今が領土拡大のまたとないチャンスですわ!」

「そうですとも。我々氷竜にお任せいただければ、どのような大軍が来ようと軽く跳ねのけてみせましょう」


 中には…


「属国だか何だかしらねーが、全部俺がぶっとばしてやんよ! 竜王様ー、戦争しましょうよ戦争! ドンパチにぎやかになりますって!」


(ふーむ、竜たちは積極的な拡大を望んでいるけど人間たちはかなり消極的なんだな。それもそうか……彼らは竜の庇護を望んでいるわけだから平穏を乱されたくないんだろう)


 実のところ、カズミも大体はセムたち神官の意見に賛成だ。

 今のままでは明らかに準備不足であり、ここで躓けば後に長く引きずることになる。

 しかしながら、今この機を逃してしまえば今後の拡張はグッと難しくなる。



「セム。人間の足だけでこのアルムテンからグレーシェンまで行くのにはどれだけ時間がかかる?」

「おそらく…最速でも25日ほどでしょうか。急峻な山越えと、道なき森を抜ける必要がありますゆえ」

「そんなにか。」


 それほど時間がかかってしまうと、維持するのには相当負担がかかるだろう。


「うーん、リヴァル。竜が飛んで行く分にはどれくらいかかるかな」

「飛んで行くだけでしたら一日あれば十分ですよ」

「それは風竜の話ですよ。私たち氷竜だと二日前後かかりますから……」

「なるほど」


 会議は延々2時間続いた。

 属国受け入れに積極的な竜族たちと、消極的な人間たち。

 どちらにも一理あるだけに、カズミは決め手に欠いていた。


(事は急を要する。早めに決めてしまわないと。)


 そこでカズミは、今回のグレーシェン隷属をいったん受け入れることにした。

 神官たちからは納得がいかないという意見が上がったが、カズミは次のような意見で抑えることにした。


「僕自身がグレーシェンにいこう。そこで直接あの国が僕たちのパートナーたりえるかどうか判断しよう。もし、グレーシェンが友好国としてこれからも続けられそうなら庇護を与えるけど、ダメな国だったら今回は見捨てることにする。最終的な判断はそれからでも遅くないはずだ」

「カズミ様があちらに向かわれるのですか? ですがそれではカズミ様、主従が逆ですぞ」


 ルントウが言うことももっともだ。

 普通は立場が下の者が、上の者のところに行くのが礼儀である。しかし今回に限ってはそうも言っていられない。あちらからこっちまで来るのに非常に時間がかかるため、こちらから出向いた方が効率的なのだ。

 グレーシェンの領主にアルムテンまで赴いてもらうのは、全てが終わった後でも良い。今大切なのは素早い決断なのである。


「そうと決まれば明日にはグレーシェンに行こうと思う。慌ただしいかもしれないけど、今は一刻を争う状況だ。ぐずぐずしていれば最悪グレーシェンがカルディアの攻撃を受ける恐れがある」

「分かりました。僕が明日までに随行員を選んでおきましょう」

「頼んだよリヴァル」

「水道敷設工事は私とベッケンバウアー殿にお任せください。あそこまで完成していれば、あとは我々でも引き継ぐことが出来ますゆえ。」

「ああ、まかせたよウルチ」

「竜王様、俺は?」

「レーダーは暫く兵士の訓練だけしててくれればいいから」

「おぅふ」


 そうと決まればカズミの行動は早かった。

 竜王と言っても、特にスケジュールが決まっているわけではないので比較的自由に動くことが出来る。それに何度も言うが、カズミは自分の目で見に行くのが何よりも大切だと思っているため、どうしても現地に赴かないと気が済まない。


(まあそれに、ちょっとした旅行気分にもなるし……とさすがに楽観しすぎか)



 会議が終わった後、カズミは神官長セムだけを指名して別の部屋に呼び寄せた。呼ばれたセムは一体何をされるのか不安なのか、かなりおどおどした様子で部屋に入ってきた。


「りゅ、竜王様……私めに如何なるご用でしょうか……」

「神官長さん、よく来てくれたね。ああ、そんなに怖がらなくてもいいよ。何も僕はセムに罰を与えようって言うわけじゃないからさ。リノアンがお茶を入れてくれたから、飲んで落ち着くといいよ。ただちょっと聞きたいことがあっただけだから」

「はっ……でよろしければ……」


 かちんこちんに固まっているセムの緊張をほぐすため、カズミは敢えて当たり障りのない話題から入る。


「どう? 新しい水道管は、なかなか便利でしょう」

「それはもう! 術なしで、水がすぐ近くで使えるようになる利便性は計り知れませんな!」

「ただ、管理を怠ると詰まっちゃったり、病気が流行ったりするから、定期的に掃除もするようにしないとね」


 暫くは水道の話をしていたが、一旦話題を切り替えて、本題に入ることにする。


「さてと、率直に聞くけど、君たち神官は僕の封印を解いたことについてどう思ってる?」

「……ええ!当然非常に喜ばしく思っており、その――!」

「あー、うん。本当の…正直な話をしてくれると助かる。君たちは本当は僕の復活を望んでいなかったんじゃないかな?」

「いえいえいえ!本当の本当にそのようなことはございませぬ! そうでなければ私は神官長などと言う職はとうに投げ出していたことでしょう! しかしながら……竜族の方々は、時に自分の力を過信しすぎてしまうのです。それを止めるのが我々竜神官の役目なのでございます」

「なるほど……。確かに今回の属国受け入れは、アルムテンにとって非常に危険な賭けではあるね。反対なのには僕も同意だよ。けれども……ここで成功しなければ、僕がいる意味がないとも思うんだ」


 カズミはまだ竜王の力を全く発揮していない。

 というのも、今までカズミが行ってきたのはあくまで彼の知識で、他の竜のマネジメントを行ったに過ぎないからだ。それでも、それは本来の意味で王としての正しい役割ではあるが……他の生き物を圧倒する力を持つ竜王の力を使って、無理を道理に捻じ曲げる……それぐらいはしてもいいのではないだろうか。


「大丈夫、僕に任せてよ。こんなところで躓くようじゃ、世界征服なんて夢のまた夢だから……。セム、きっとこれから、息が詰まるような忙しい日々が待ってるはずだから、覚悟するように」

「竜王様……」

「あと、僕が何か間違ったことをしていた時は遠慮なくいってほしい。特に人間の視点から見て意見することは君にしかできないことだからね。」

「勿体なきお言葉」


 おそらくこれからアルムテンは休みない強行軍の連続となるにちがいない。その強行軍を支える力……人類の協力は欠かせないものになる。

 しかし時として竜たちは自分たちの力を過信し、人類の言葉に耳を貸さなくなることも多い。だからこそ、カズミは改めて、セムの言葉が欲しかった。

 彼は心の底から竜のことを大切にしてくれる存在だ。出来ることなら、彼をもっと重要な役職に就けて、竜たちとは別の視点からアルムテンを支えてほしいとカズミは思っている。



「さーて……いっちょやるとするか。ついてこれるかいリノアン」

「はい。たとえ業火の中でもお供いたします」



 カズミは自ら進んで、大動乱のトリガーを引きに行く。竜王の力は、世界をどこまで動かすことが出来るのだろうか。



登場人物評


地竜ルントシュテット 地竜族35Lv

約3300歳 男性 竜族

【地位】竜族長老

【武器】竜槍ガイアストライク(槍)

【趣味】盆栽、健康体操

【ステータス】力:31 魔力:24 技:27 敏捷:16 防御:35 退魔力:28 幸運:25

【適正】統率:C 武勇:D 政治:A 知識:B 魅力:B

【特殊能力】地の祝福 山岳戦 耐火性(強)


 竜族国家アルムテンの長老。愛称は『ルントウ』。

 大長老のブラグニヒトが完全にボケているため実質最長老として竜王不在の間政治の最高決定権を持っていた。

 温厚で思慮深く、族長たちの良き相談役であり、年の功もあって竜族人間関わらず皆からの信頼は厚い。昔は結構やんちゃだったらしいが……。竜王復活に最もこだわった人物でもあり、族長たちをうまく誘導し覚醒の儀式を半年も前倒しするなど、その政治能力は相当高い。


 最近、ぎっくり腰に悩んでいるとか。


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